○ 続金旋伝増刊号前編「さよならするのは辛いけど」 ○ 

   金玉昼金玉昼  下町娘下町娘

金玉昼「皆様、ここまでお付き合いくださり、
    本当にありがとうございましたにゃ〜!」
下町娘「お別れは辛いけど、別れがあるからこそ、
    良い出会いに巡り会うことができる……。
    皆様に、そんな良い出会いがありますように」
金玉昼「今回は増刊号ということで、本編のお話からは
    かなり横道に外れまひる。ご了承くださいにゃ」
下町娘「3ヶ所から三元中継でお送りしていきます。
    それでは、他3ヶ所の方々をご紹介しますね。
    まずはこちら、天界の杏さん、花梨さーん」

   杏    花梨花梨

 杏 「はい、こちら天界の杏です。
    こちら天界は晴天、雲ひとつありません」
花 梨「いつも晴れてるじゃないですか……」
 杏 「それでは次の中継地を呼んでみましょう。
    喫茶『王月』の月蘭さん、王異さーん」

   月蘭月蘭   王異王異

月 蘭「はい、こちら喫茶『王月』の月蘭です。
    ……ここってそんな名前だったんですね」
王 異「ああ、昨日つけたのよ」
月 蘭「そ、そうですか」
王 異「えー、こちらからはゲスト2人に来て戴き、
    その二人の料理勝負の模様をお送りします」
月 蘭「では、会場の金玉昼さんにお返しします」

   金玉昼金玉昼  下町娘下町娘

金玉昼「はいにゃー。では、一旦CMです」
下町娘「CMが開けましたら、まずは喫茶『王月』
    での料理対決の模様をお送りしまーす!」

    ☆☆☆

   髭髯鳳髭髯鳳  髭髯蛟髭髯蛟

髭髯鳳「いつでもヒゲを整える高級櫛、10金」
髭髯蛟「素敵なヒゲを保つための育毛剤、50金」

   髭髯龍髭髯龍  髭髯豹髭髯豹
髭髯龍「髭神への供物購入費、30金」
髭髯豹「ヒゲ友の会ゴールド会員の会費、200金」

    髭髯虎髭髯虎

髭髯虎「すばらしいヒゲ仲間との交流、Priceless」

    黄祖黄祖

黄 祖「お金で買えない価値がある。
    買えるものはオヒゲーカードで」

 『OHIGEH CARD』

    ☆☆☆

   月蘭月蘭   王異王異

月 蘭「それでは、お待たせしました。
    チキチキバンバン料理対決の開始です」
王 異「こちら喫茶『王月』に置いてある食材を使い、
    ゲスト2人に料理対決をしてもらいます」
月 蘭「料理を3人の審査員の方々に食べて頂き、
    それぞれ勝っていると思うほうの札を上げ
    多数決で勝者を決める、という流れですね」
王 異「さて、それでは今回のゲストは誰か?」
月 蘭「はい、こちらのお二方になります〜」

   鞏恋鞏恋   公孫朱公孫朱

鞏 恋「……よろしく」
公孫朱「よ、よろしくお願いします」

王 異「はいっ、今回は楚軍の中でも特別ファンの多い、
    このアイドル的存在のお二人が料理をします!
    そして彼女たちの料理を食し、判定を下す
    審査員はこの3人です!」

魏光魏光 張苞張苞 関興関興

魏 光「鞏恋さん一筋十数年の魏光です!」
張 苞「公孫朱さん一筋…何年だっけ。張苞っす」
関 興「あー、今は妻帯者の関興です」

月 蘭「……人選に問題がありませんか?
    これじゃ実質、審査員は一人なのでは……」
王 異「他に審査員のなり手がいなかったのよ。
    それでは早速、料理対決、スタートっ!」

鞏恋・公孫朱、両者の料理勝負が始まった。

王 異「さあ両者、まずは使う食材の品定めですね」
月 蘭「キッチンレポーターの小虎さん、お二人に
    リポートをお願いしてよろしいですか?」

    小虎小虎

小 虎「はいはいにゃー。
    鞏恋さんはお肉の山を眺めてますにゃー。
    どの肉を使うつもりですかにゃー?」
鞏 恋「……虎肉とか?」
小 虎「ヒィィィ!? サバかれるにゃー!?」
鞏 恋「冗談。この肉を使う」
小 虎「……ぶ、豚肉を取った様子ですにゃー。
    怖いので公孫朱さんの方に行きますにゃー。
    公孫朱さん、海産物の所を見回してますが」
公孫朱「私は海老を使った料理にしようかと。
    これなんか、いい大きさだと思います」
小 虎「……その手に持ってるのは、海老じゃなくて
    蟹のような気がするんだけどにゃー」
公孫朱「え!? そ、そうですよ蟹ですよね。
    これが海老なわけないじゃないですかっ!
    え、海老はこっちじゃなくて……」
小 虎「何か怖くなってきたので退散するにゃー。
    リポートは以上だにゃー」

月 蘭「初っ端から不安にさせられる内容でしたね。
    お二人は料理をしたことはないのでしょうか」
王 異「そのことについては、鞏恋さんに関して
    父親の鞏志さんのコメントが届いてるわ」
月 蘭「どんなコメントですか?」
王 異「『少しでも長生きをしたいのでしたら、
    娘の料理を口にしないほうが良いでしょう』
    ……だそうよ」
月 蘭「い、一応料理をしたことはあるわけですね。
    一方の公孫朱さんはどうなのでしょうか」
王 異「遼東にいた頃は自炊してたこともあるとか。
    一応の基本は抑えている様子ね」

張 苞「どう考えても公孫朱さん有利っすね」
魏 光「何を! 奇跡は起こすためにあるんだ!」
張 苞「ププ、奇跡とか言ってるし。
    頼むぞ関興、正直に判定してくれよな」
関 興「どちらかに肩入れしたりはしない。
    俺は俺の思ったとおりに判定させてもらう」

月 蘭「どう見ても審査員として機能しそうなのは
    一人だけです。ありがとうございました」
王 異「さてそんな中、両者とも食材を仕込み終わり、
    中華鍋を取り出し火にかけたようです。
    油を引いて食材を投入……ここらへんは
    両者ともなかなかサマになってますね」

鞏 恋「……火遊びは昔から得意。はっ!」

王 異「おおっと、料理人も顔負けのアオリ!
    これはもしかすると奇跡が起きてしまうか!」
月 蘭「一方の公孫朱さんは派手さはありませんが、
    しっかり基本を抑えて火を通してます。
    これは出来上がりも期待できそうですね」

公孫朱「ここでかんまかして(かき回して)……
    んで、さっきうるかしてた(水に浸してた)
    これを入れて炒める、と……」

王 異「これは予想以上に良い勝負かもしれません。
    さあ、両者、出来上がったようです」
月 蘭「それでは、審査員の方々にお配りしている間、
    両者に料理のご紹介をしていただきましょう。
    まずは鞏恋さん、何を作られたのでしょうか」

鞏 恋「酢豚」

王 異「ふむふむ、酢豚……酢豚?」
月 蘭「普通の酢豚はケチャップ等で赤っぽい色が
    付いているものですが、これは……」

張 苞「なんか、すっぱい匂いしかしないぞ……」
関 興「これは……匂いを嗅ぐだけでキツイな」
魏 光「分かる……分かってしまう自分が憎い……。
    これは普通の酢豚ではなく……。
    炒めた豚肉に酢のみで味をつけただけ……」

王 異「審査員の絶望感がこちらにも伝わってきます。
    さて、公孫朱さんのほうの料理は?」

公孫朱「エビチリです」

月 蘭「エビチリ……エビ?」
王 異「……この姿、格好、どう見てもサソリね」
月 蘭「殻付きの姿のまま入れてますね……」
公孫朱「え、ええっ!? やっちまったー!」

張 苞「ドジっ娘萌え!」
関 興「萌えじゃねえ!」
魏 光「\(^o^)/」

月 蘭「それにしても、なんでここにサソリなんて
    置いてあるんですか?」
王 異「一応、サソリも食材よー。一部地域では」
月 蘭「じゃあ食べてみます?」
王 異「私は遠慮するわ」
月 蘭「……はあ」
王 異「それでは審査員の皆様、
    お二人の料理を食して判定をお願いします」
月 蘭「まずは鞏恋さんの酢豚から、どうぞ」

張 苞「匂いだけでもキツイのに……」
関 興「鼻を詰まめば、匂いはなんとかなりそうだ」
魏 光「じゃ、せーので皆一緒に口に入れよう。
    せーの、もぐ」

 ぶふぁあsdfghjkl;:」!!!

王 異「おおっと全員噴き出してしまった!?」
月 蘭「おそらく、大量に使われている酢のせいで
    むせてしまったのでしょうか……。
    鞏恋さん、どれだけ酢を使いましたか?」
鞏 恋「一瓶」
月 蘭「そ、それはまた……」
王 異「えー、吐いてしまっては判定できませんので
    一口でもいいので必ず飲み込むように」
月 蘭「……鬼ですね。
    審査員の方々、ものすごく酸っぱそうな顔で
    一口飲み込んだようです」
王 異「では続きまして。
    公孫朱さんのエビチリならぬサソリチリです」

張 苞「い、一応、サソリ料理ってあったよな」
関 興「まあ、一応甲殻類ではあるし……」
魏 光「食ってみたら案外、普通の海老っぽいかも。
    じゃあ、これもせーので……せーの、ぱく」

 ぴきぃぃぃ「@¥・。、mん!!!

月 蘭「あら? 口に入れた途端、三人とも動きが
    止まってしまいましたが……」

魏 光「あ……あま……」
関 興「なんなんだ……この甘さ……」
魏 光「しかも唐辛子のせいで辛味はちゃんとある。
    食感は殻付きの海老っぽい感じではあるが、
    いかんせん味付けがこれでは……」
張 苞「これは正直マズ……いや!美味いです!」
関 興「じゃあ、全部食えよ」
張 苞「すまん無理」

月 蘭「えー、調べによりますと、かなりの砂糖が
    使われてるようですが……」
公孫朱「あ、あの、ちょっと唐辛子を使いすぎて、
    それでバランス取るために砂糖を……」
月 蘭「砂糖で辛味は打ち消せませんけども」

王 異「さあ審査員が両者の料理を食べました!
    ぐったりしてますが、判定をお願いします!
    手元の札に勝ったと思うほうの名前を記入し、
    上げてください!」
月 蘭「魏光さんは……鞏恋!
    張苞さんは……公孫朱!」
王 異「あれだけの料理を食べつつ愛を通す。
    いやー男ですねー。さて、残るは……」
月 蘭「さあ、関興さんの札で勝負が決まります!
    関興さんの札に書かれた名前は!?」

ぐったりした関興が力尽きたように札を挙げる。
そこに書かれていたのは……。

月 蘭『ウチの嫁』です!」
王 異「これは驚いた! 自分の嫁自慢かー!?」

関 興「……正直どっちにも入れたくないだけだ。
    ウチの嫁もさほど料理は上手くないけど、
    ここまで酷くはない……ガクリ」

王 異「関興さん泡を吹いて倒れました!
    ここまで料理というものを冒涜した
    二人の料理への、命を賭しての抗議!
    私、感動しました!」
月 蘭「……これで判定は鞏恋さん1、公孫朱さん1、
    無効が1ということになりますね。
    よって勝負は引き分け、ということで」

公孫朱「ははは……。
    私たち、どっちも料理は駄目みたいですね」
鞏 恋「そうかも」
公孫朱「それじゃ、これからもよろしくお願いします」

月 蘭「公孫朱さんが鞏恋さんに手を差し出しています。
    握手を求めているのでしょうか?」

鞏 恋「ちょき」
公孫朱「……あれ?」

王 異「それに対してチョキで返したー!
    やっぱり鞏恋さんは鞏恋さんだったー!」
月 蘭「というわけで、こちらからは以上です。
    それでは次のコーナーへどうぞ〜」

    ☆☆☆

   杏    花梨花梨

 杏 「はい、次はこちら天界から行きます。
    こちらからお送りするのは『没劇場』です」
花 梨「本編では使われなかった、お蔵入りの没ネタを
    いくつかご紹介したいと思います」
 杏 「まずはこちら。『韓遂叛気編』です」

   金旋金旋   韓遂韓遂

金 旋「おー韓遂、来たな」
韓 遂「お呼びですかな、殿」
金 旋「いや、ちょっと気になったことがあってな」
韓 遂「は、なんでしょう」

金 旋「『韓遂隊』と『輸送隊』って何か似てるよな」

韓 遂「……は?」
金 旋「いやほら、なんか字面が」
韓 遂「そう言われればそんな気もしますが……。
    まさか用はそれだけで?」
金 旋「おう」
韓 遂「……」

韓遂の叛気が10上がった。

金 旋「ああ、そういやさ」
韓 遂「なんでしょうか」
金 旋「お前が突撃する時に言う台詞いいよな。
    『騎馬よ、大地を踏みにじれ』
    っていうあの台詞。カッコイイよな」
韓 遂「そ、そうですか? ありがとうございます」

韓遂の叛気が10下がった。

韓 遂「では、失礼します」
金 旋「おう」

韓遂は退室した。

金 旋「何かが上がったり下がったりしたようだが、
    なんだったのだろう?」

   杏    花梨花梨

 杏 「こんな感じのネタを用意していたのですが。
    『叛気どうこう言う前に韓遂が寝返っちゃった』
    という理由で没になりました」
花 梨「正史韓遂の『叛乱しないと死んじゃう病』を
    上手く表してるネタだったんですけどね」
 杏 「では次です。『鞏志の最後編』」

   金旋金旋   鞏志鞏志

金 旋「鞏志、死ぬな、死んではならん!」
鞏 志「いえ、私はもう駄目です……。
    最後に、一言、言わせてください……」
金 旋「な、なんだ」
鞏 志「鞏志は、今日、死(きょうし)……がくっ」
金 旋きょうしー!!

   杏    花梨花梨

花 梨「鞏志さんはまだ生きてるので、使おうと
    思えば使えるネタではありますが……」
 杏 「流石に最後にギャグを言って死ぬような
    キャラではなくなったので、没です。
    やるとしたらシリアスでやるでしょうね」
花 梨「では次でーす。『金旋軍大ピンチ編』」

   金旋金旋   劉髭劉髭

金 旋「今回、勝てる率はどれくらいだ」
劉 髭「そうじゃのう……。
    南蛮に雪が降る確率くらいかのう」
金 旋「そ、それって全然ないってことか!?」

    孟獲孟獲

孟 獲「ん、この白く冷たいものは何だ?」

   杏    花梨花梨

 杏 「かなり初期の頃に考えてたネタですね。
    絶対負ける、と思った所を勝ったシーンで
    使おうと思ったんですが……」
花 梨「結局そういうシーンがありませんでした。
    その後は国が大きくなって、『絶対負ける』
    という戦いにならなくなっていますし」
 杏 「炎が大きくなって、『南蛮』というくくりで
    出せる人がいなくなってもいますからね」
花 梨「なにげに、孟獲さん初登場ですね」

 杏 「というわけで、没劇場をお送りしました。
    他にも没になっているネタはあるのですが、
    『使う機会はまだありそう』というものや、
    『ちょっと出すには稚拙なネタ』というもの
    だったりするので、これで終わりです」
花 梨「それでは、次のコーナーへどうぞー」

というわけで、増刊号後編に続く!

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