○ 続金旋伝増刊号後編「次の回まで ごきげんよう」 ○ 

   下町娘下町娘  劉髭劉髭

下町娘「さて、次はこちら本部よりお届けします。
    ミニ外伝『カクワイダーvsマスクドスヒヤ』
    をお送りします。なんか、先ほどの没劇場と
    被ってる感じもしますが……」
劉 髭「わしのは被っておらんぞ!」
下町娘「うわあ!? 急に出てこないでくださいよ。
    劉髭さん、天界のほうにいたはずでは?」
劉 髭「出番が無いんで降りてきたんじゃ。
    ほれ、玉昼ちゃんは準備で忙しかろう?」
下町娘「この出たがり爺様は……。
    ところで被ってるって何がですか?」
劉 髭「ん? 皮の話ではなかったのかの?」
下町娘「私が言ってたのはネタの話ですが……。
    そういう話するならセクハラで訴えますよ」
劉 髭「なっ、死んでからも訴えられるとは!?」
下町娘「それでは、準備も出来たようなので
    ミニ外伝『カクワイダーvsマスクドスヒヤ』を
    どうぞ〜」

    ☆☆☆

武将刑事カクワイダー
  vs
   仮面軍師マスクドスヒヤ

郭淮……もといカクワイダーは悩んでいた。

    郭淮郭淮

郭 淮「どうやったら雷の矢を出せるのだろう」

諸君は覚えているだろうか。
220年初頭に彼が一人の少年と交わした約束を。

   郭淮郭淮   司馬昭司馬昭

子 供「そうだカクワイダー!
    ここで雷の矢を撃ってみてよ!」
郭 淮「え、ええっ?
    い、いや、ここでは危ないから駄目だよ」
子 供「えー? 見たいよー」
郭 淮「ま、また今度な。その時に見せるよ」
子 供「絶対だよー? 約束だよー?」
郭 淮「ああ、わかった。約束だ」

司馬懿の次男、司馬昭と交わしたその約束を、
彼はまだ果たせていなかった。
楚軍のマッドサイエンティスト李典にも相談を
してみたが、まともな方法はいまだひとつもない。

郭 淮「彼もずっと子供のままではない。
    成長して大人になればなっていくほど、
    小手先のやり方ではバレてしまうだろう」

もしもこのまま、司馬昭に技を見せられないまま、
彼が成長してしまったら?

郭 淮「カクワイダーは約束を守らなかった、
    だから自分も約束は守らなくてもいい……。
    そんな風に思うダメな大人になってしまう!
    それだけは、それだけはしてはならない!」

変な強迫観念と義務感に苛まれる郭淮であった。
だが、司馬昭との約束を果たすための策は、
未だ見つからず終いである。

……そんな折、彼の前に現れた影。

???「はーっはっは!
    悩みを抱えているようだな、カクワイダー!」
郭 淮「だ、誰だ!? どこにいる!?」
???「ここだ……とうっ!」

 つるっ ごつっ

影は高いところから飛び降り、見事に着地した……
かのように見えたが、何故か濡れた雑巾を踏んづけ
後頭部を強打していた。

しばらく倒れたまま悶絶するその人物。

???「い、いだぁ……」
郭 淮「大丈夫か? ……あ、貴女は!」

頭に出来たたんこぶをさすりながら立ち上がる
彼女こそ、彼が仮面をつけるきっかけを与えた
仮面軍師マスクドスフィアその人であった。

    Masked Sphereマスクドスフィア

スフィ「ふ、フフフ。久しぶりね、カクワイダー」
郭 淮「お久しぶりですな……。以前に会ったのは
    洛陽攻略前でしたから、かれこれ6、7年は
    経ったことになりますな。
    マスクドスフィア殿もお変わりないようで」
スフィ「少しは胸も成長している!」
郭 淮「い、いえ、胸の話などはしてませんが……」
スフィ「……コホン。それより貴方。
    悩みを抱えているようね。仮面に出ているわ」
郭 淮「ええっ!? 仮面に悩みが出るのですか?」
スフィ「ええ、私にはわかる。
    今なら私もヒマ……もとい余裕があるから、
    貴方の悩みを聞いて解決できるかもしれない」

この人ならばどうにかしてくれるかもしれない。
そう思い、郭淮は彼女に悩みを打ち明けた。

スフィ「ふむ……。雷の矢、か。
    それならば、どうにかできないこともない」
郭 淮「ほ、本当ですか!?」
スフィ「要は矢を放った時に雷のように見えればよい。
    私が考えるに、小さな火薬の玉を連続して
    射抜き、それを発火させることができれば、
    雷のように見えるのでは、と思うのだが」
郭 淮「な、なるほど……!」
スフィ「ただ、確実に全ての玉を射抜かねばならぬ。
    それが出来ねば例え子供といえど、容易に
    作り物だと見破られてしまうだろうな」
郭 淮「弓ならば任せてください。
    確実に射抜いてみせましょう」
スフィ「わかった、では私が準備をしよう。
    お主はその子をその場所まで連れてくるのだ。
    ただし、その矢の話はせずにな。
    その場でとっさに出したように見せねば、
    仕掛けを怪しまれる可能性がある」
郭 淮「わかりました」

マスクドスフィアが準備をしている間、
郭淮は司馬昭の元を訪れ、外へ連れ出した。

   郭淮郭淮   司馬昭司馬昭

司馬昭「どこへ行くんですかー?」
郭 淮「や、特別目的のない遠乗りだよ、ハハハ」

そう言いつつ、マスクドスフィアの指定した
場所へ馬を走らせる郭淮。
その場についてみると、そこには。

郭 淮「なんだ、あれは?」
司馬昭「何か大きいのがあるよ」

そこにあったのは、巨大な箱型の戦車。
攻城兵器の衝車よりも大きいシロモノだ。
そして、その上に立っているのは……。

    Masked Sphereマスクドスフィア

スフィ「ほーっほっほ!
    ようやく現れたわね、カクワイダー!」
郭 淮「む、マスクドスフィア?」
スフィ「フフフ……違う。
    私はマスクドスフィアではない……。
    私はブラックマスクドスフィア!
    カクワイダー、貴様の敵だ!」
郭 淮「ええっ、敵!?」

突如登場したブラックマスクドスフィア。
しかし格好は以前のマスクドスフィアのままだ。

司馬昭「ねえカクワイダー。
    あの変なおばさんって誰?」
スフィ「ぉ、おばっ!?」
郭 淮「え、えーと……」
スフィ「カクワイダー、何をモタモタしている!
    とっとと勝負せい! あとそのクソ生意気な
    ガキは邪魔だから、遠くにやっとけ!」

マスクドスフィアがブンブンと扇を振るのを見て、
郭淮はようやく気付いた。これは演出なのだと。

郭 淮「すまない司馬昭。
    少しの間、私から離れて見ていてくれ」
司馬昭「う、うん」

郭淮は、司馬昭を少し離れた場所へやった。
これで、準備完了……のはずである。
あとは出すタイミングだけだ。

スフィ「フフフ、この戦車ハリボテ……もとい。
    ゴリアテは李典のラボよりかっぱらってきた、
    決戦用戦車よ! 戦車砲の威力を見よ!」

砲身からいきなりズドンと音がした。
すると、郭淮の近くの地面が爆発する。

郭 淮「おおお!?」

地面に埋めておいた火薬を破裂させたのか。
なかなか凝った、というか凝りすぎた演出だ。
少しでも立ち位置が近ければ、怪我しかねない。

スフィ「どうだカクワイダー!
    これで貴様の命運も今日で終わりだ!」
司馬昭「カクワイダー! 頑張れ!」
郭 淮「う、うむ! ブラックマスクドスフィア!
    私は負けぬ! その戦車ハリボテとやら、
    私の必殺技で破壊してみせよう!」

郭淮は弓矢を構える。

今いる立ち位置から、ゴリアテまでの間に
いくつもの小さな火薬玉が吊り下げられている。
それら全てを射抜き、かつゴリアテの砲身に
矢を打ち込まねばならないのだ。

郭 淮「全てはこの一発次第……!」
司馬昭「カクワイダー、やっちゃえー!」
郭 淮「おお! 食らえっ!
    カクワイダーサンダーアロー!!

 びゅん!

郭淮の放った矢は、火薬玉を貫きながら、
ゴリアテに向かって飛んでいく。
火花が連続するその姿は、司馬昭の位置からは
本物の雷のように見えたであろう。

そして、矢はゴリアテの砲身へと飛び込む。
次の瞬間、ゴリアテの全体から火が吹き出した。

スフィ「くっ、カクワイダー、やってくれたな!
    この借りは次に返してみせるぞ!」
郭 淮「マスクドスフィア、服に火がついてるぞ」
スフィ「あ、あぢぢぢ! さ、さらばだっ!」

マスクドスフィアは服についた火を必死に
消しながら、その場から消えた。

炎を上げて燃え盛るゴリアテ。
それを背に、カクワイダーは司馬昭へ近づいた。

司馬昭「かっこよかったよ、カクワイダー!」
郭 淮「ありがとう。君の応援のお陰だ。
    君に必殺技を見せることもできたし、
    これでひとまず安心だな」
司馬昭「うん! すごかったね!
    まるで本物の雷みたいに見えたよ!」
郭 淮「ははは、そうだろうそうだろう。
    本物の雷みたい……みたい?」
司馬昭「あの戦車砲の演出もすごかったね。
    今日はいろんなすごいものが見れたよ」
郭 淮「あの……司馬昭くん?」
司馬昭「今日は僕のためにすごい劇をありがとう!」

時の流れとは残酷なものだ。
2年という歳月は、彼を大きく成長させていた。
その間に、彼は大人も顔負けの智謀を備える
ようになっていたのだ。

当然、今回の郭淮の必殺技も、どういう原理で
見せられたのか、すぐに見破ったのである。

郭 淮「そんな……」
司馬昭「前にした必殺技を見せてくれるって約束、
    忘れてなかったんだね。
    ぼくも人との約束、絶対守るようにするよ!」
郭 淮「……あ、ああ。約束は守らなくちゃな」

約束を守る、ということは見せられた。
それだけが彼にとって救いであったか。

郭 淮「……マスクドスフィアの智恵もそれほど
    意味がなかったということか。
    彼女には悪いことをしたな」

マスクドスフィアはその後、彼の前に現れなかった。
彼女は一体、どこの誰なのだろうか。

なお、これは話の本筋とは全く関係がないが、
金玉昼が火傷を負ってしまい、しばらくの間
華佗の世話になったという……。

-外伝 終-

    ☆☆☆

    金玉昼金玉昼

金玉昼「私は火傷損かにゃー!」

   下町娘下町娘  劉髭劉髭

下町娘「あら、どうしたの?
    玉ちゃんの火傷は今回の話に関係ないんでしょ」
劉 髭「そうじゃな、どういう理由で火傷をしたか
    知らんが、怒るような話ではあるまい?」
金玉昼「むっ……むぐぐぐ」

下町娘「というわけでミニ外伝をお送りしましたー。
    さて、後半はお便りコーナーです」
金玉昼「皆様からお寄せいただいたご質問に、
    それぞれお答えしていくにゃ……」

下町娘「まずひとつめ。
    『羌族と南蛮はどうしてるんですか?
    ほとんど空気と化してますが』
だそうで」
金玉昼「全然動かんから仕方ないのにゃー」
劉 髭「始める時に饗援→南蛮、馬騰→羌の友好を
    上げてしまったせいもあるかもしれん。
    まあ、下手に兵力減らしてもらっても困るので
    これで良いといえば良いんじゃがな」
金玉昼「次にゃー。
    「このわs…南蛮大王孟穫様の出番は
    どうしたのだ』
だそうにゃ」
劉 髭「残念ながら南蛮大王じゃない炎軍武将の
    孟獲の出番はしばらくないのう。
    戦いにも出てこないんでこれも仕方ない」
下町娘「奥さんの祝融は一度出てますね」
劉 髭「出番が欲しければ頑張って活躍せい、
    としか言えんのう。まあ頑張るがよいぞ」

下町娘I love 鞏志さま。荊州内政班は後半
    何をしてたのでしょう?
とのこと」
劉 髭「鞏志は揚州攻略戦中から前線勤務じゃぞ。
    現在は魏延と共におるな。
    あの反骨と意外に相性が合うんじゃよ」
金玉昼「他の政治力高い人らは、揚州など開発中の
    都市に派遣されて都市機能向上のため
    頑張っているにゃ」
下町娘「荊州は開発しきっているので、
    残っている人って少ないんですよねー」

劉 髭『金玉昼の想い人って誰ですか?』
    という質問がきとるぞ」
金玉昼「のーこめんと!」
下町娘「じゃ、ヒントだけでも」
金玉昼「……王子さまのような人にゃ。
    それ以上は絶対に教えないにゃ」
劉 髭「王子みたい、というと馬超とかかのう」
金玉昼「馬超なんて、もうおっさんにゃ!
    しかももう子持ちじゃないかにゃ!」
下町娘「なるほど、歳は馬超よりももっと下、
    子供がいる人じゃない、と……」
金玉昼「あああ、もう喋らないにゃ!」
下町娘「というわけで、後はご想像にお任せします♪」

下町娘「また玉ちゃんへの質問ね。
    『金玉昼のセクシーが足りないのでは』
金玉昼「増えてる! 胸も若干増えてるにゃ!」
下町娘「へえ〜。どれくらい?」
金玉昼「……ミリ単位で」
劉 髭「ぶわっはっはっは!! ミリか!
    センチにも満たんのか、ぶわはははは!」
金玉昼「死ね、このジジイ!」
劉 髭「もう死んどるもーん。
    にしても、胸以外でもセクシーさが足りん。
    もっと町娘ちゃんを見習わんか」
下町娘「いやあ、えへへぇ。それほどでもぉ〜」
金玉昼「世にはタイプ別需要というのがあるから、
    仕方ないのにゃー!」

下町娘「……あれ? これでお便りは終わり?」
金玉昼「ん、いやー。他にも来てるんだけど……。
    その中身がほとんど同じような内容で」
下町娘「なんて?」
金玉昼「総合するとこんな感じにゃ。
    『本当に終わっちゃうんですか』
下町娘「あぁ……まあ仕方ないかー。
    でも最初から決まってたことだし……」

劉 髭「ん? お主ら聞いておらんのか?」
二 人「何を?」
劉 髭「第三期の話」
二 人「ええええええ!?」
劉 髭「なんじゃ、知らされてなかったのか。
    てことは君らの主君も知らんのか?」
下町娘「はあ、中途半端な終わり方だったので
    ずっと不貞寝してます」
劉 髭「仕方ないのう。一緒に説明するから、
    ここに連れてくるんじゃ」
金玉昼「はーい」

    金旋金旋

金 旋「増刊号なんか勝手にやっててくれよ……。
    俺の出番はもうオワタ」
劉 髭「ところがどっこい、終わっておらん!」
金 旋「おお軍師、ひっさしぶりー」
劉 髭「ひっさしぶりー、じゃないわい。
    全く、ヒマなら第3期に向けて準備せんかい」
金 旋「なにっ!? 第三期だと!?
    ジュラ紀、白亜紀の後に続くのか!?」
劉 髭「ツッコミ辛いボケじゃのう。痴呆症か」
金玉昼「華佗さんの診察ではまだ大丈夫らしいにゃ」
金 旋「そんなことはどうでもいい。
    その第三期とやらの詳細を教えてくれ!」

劉 髭「詳細言うても、大した話じゃないがの。
    『続々金旋伝 〜楚国高祖紀〜』
    は2008年10月にスタートする予定じゃ」
金 旋「おおお!?」
下町娘「始まるまで少し間が空きますね」
劉 髭「第三期は完全完結させなきゃならんため、
    伏線まとめたり長期構想を立てる必要がある。
    ゲーム自体も先に完全統一までやるようじゃ」
金 旋「良かった……。
    マスクドスフィアとまた会えるのかな。
    是非、彼女の正体を知りたいからな!」
金玉昼「い、いやあ〜。それはどうかにゃ〜」
劉 髭「これも尻切れでは終わらせたくない、
    という作者の我が侭なんじゃがな。
    これまでお付き合いくださった方々には、
    もう少し、話に付き合ってほしいのじゃ」
金 旋「そうとなればこうしてはおれんな。
    俺も準備せねばー!」

下町娘「では、第三期でまたお会いするということで」
金玉昼「皆様、しばらくお待ちくださいにゃー」

金 旋「また会おう、諸君!」



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