○ 第二十章「戦え勇将! 舞えよ功臣!」 ○ 
218年8月

  夏口近辺

   魏延魏延   蛮望蛮望

魏 延「孫尚香隊の前に出てきたのは……。
    孫奐と燈芝の隊か」
蛮 望「兵の数は総勢2万5千ほどってところね。
    現在の我が隊の5割増しくらいかしら」
刑道栄「はっ、その程度の差、構うこたねえぜ!
    大将! 一気に打ち破ろう!」
魏 劭「ちょっと待ってくだされ。
    こちらの陣形は守りの薄い鋒矢の陣。
    数の多い敵との交戦は避けるべきでござろう。
    ここは一度下がって新たに増援を出してもらい、
    それと共同で当るべきとそれがしは思いまする」
魏 延「魏劭、お前も楚軍では古株の方だろうが」
魏 劭「はあ、将軍とほぼ同期ですな」
魏 延「だったら、そういう意見が私に通ると思うか?」
魏 劭「全く、これっぽっちも思いませんなあ」
魏 延「だったら言うな」
魏 劭「いやあ、そう言われましても。
    それがしがこの部隊に配属された理由は
    そういう役割を期待されてのことでしょう。
    ですから一応言うだけは言っておかないと、
    後で給料を減らされますから」

    公孫朱公孫朱

公孫朱「……随分、あっさりしてるんですね」
魏 劭「ムダだと思ったら執着せぬこと。
    合理的というのはそういうものですぞ」
公孫朱「で、結局はどうするんですか。
    このまま敵部隊と戦うということですか?」
魏 延「うむ、我が隊でやれるところまでやる。
    なに、数的不利などは心配することはない。
    攻撃力だけならこの隊はトップクラスだ」
公孫朱「逆に言えば、それ以外に取り柄はない、と」
蛮 望「あらん。朱ちゃん。
    取り柄がないなんて、それは違うわ。
    この私の美貌を忘れてもらっては困るわよ」
魏 延「まあバカがいるのは認めるが」
公孫朱「……ですよね」
蛮 望「何でこっち見て言ってんのよ!」
刑道栄「ごちゃごちゃ言ってないで、行こうぜ!」
魏 延「おう。……金楚の武を示してやれ!」

 『おおうっ!』

1万6千の魏延隊は、そのまま呉軍第二陣との
戦闘に突入した。

蛮 望「よーし、今度こそ一騎討ちしちゃうわよー」
公孫朱「えっ」
蛮 望「私の色香と強さを見せ付けてやるから!」
公孫朱「……(これは、また私がどうにかしないと)」

公孫朱は、蛮望が名乗りを上げるよりも早く、
自分から前に進み出て一騎討ちを呼びかけた。

公孫朱「我が名は公孫朱!
    誰か私と一騎討ちをする者はいないか!」

ざわざわと孫奐の隊はざわめく。
すでに彼女が太史慈を破ったことは知れており、
その者が再度一騎討ちを仕掛けてきたとあっては
孫奐隊も放っておくわけにはいかなかった。

李 異「フーッ、それがしが……お相手いたす!
    ホアチャアアアッ!
公孫朱「……そういう貴殿は?」
李 異「孫奐隊、先鋒……フアチャ!
    ジークンドーの使い手……アチャア!
    ブルース・李異と申す!
公孫朱「……あの、大丈夫ですか?」
李 異「敵将に心配されるいわれはない!
    フゥー、ハァァァッ! オチャア!
公孫朱「え、えーと、武器は何を……?」
李 異「このヌンチャクで十分! ホアチャ!
    さあ、勝負せよ! アチャオチャア!
公孫朱「で、では……勝負!」

公孫朱:武力87 VS 李異:武力80

 ……ガッ

李 異「アチャー、相手が槍を持っていると……。
    ヌンチャクでは……届かぬとは……ッ!」
公孫朱「戦う前に気付いてください……」

勝負は公孫朱の圧勝だった。
流石にアホくさい勝利だったからか、
公孫朱は李異を捕らえずに逃がしてやる。

李 異「新たな技を編み出し、いずれ再挑戦するぞ!」
公孫朱「その前にまず、頭を磨いてください……」
李 異「なにっ、頭だと!」
公孫朱「え、ええ……?」
李 異「そうか……頭を使った技を編み出せと!
    頭突きとか、カポイエラとかか!
    そういうことか、覚えておこうッ!」

公孫朱が訂正する間もなく、李異は走り去った。

公孫朱「……バカはどこにでもいるんだなぁ」

ともあれ、この勝利で魏延隊の士気は向上。
孫奐隊への攻撃をさらに激しいものにする。

  夏口近辺

だが、側面に回った燈芝隊にも攻撃を受け、
じわじわとその兵力を減らしていく。
士気は高くとも、いかんせん兵力の差は
すぐにひっくり返せるものではなかった。

魏 延「この程度の数の差がなんだ!
    孫奐隊のみとの比較なら互角の兵力だ!
    脇に構うな、前方のみに攻撃を集中!
    ……くっ、まだ頭がクラクラするな」

まだ太史慈にやられた傷は癒えてはいない。
頭を抑えながら指揮を執る魏延に、
中軍を預かる刑道栄が歩み寄ってきた。

刑道栄「大将、ここは俺に任せてくれ」
魏 延「刑道栄か……。よし、お得意の突撃を頼む。
    敵陣に大穴を開けてこい!」
刑道栄「あいさー!」

刑道栄は、手勢を率いて孫奐隊へ突撃を敢行。
大鉞を振り回し、蛮勇を大いに振るう。

刑道栄「オラオラオラーッ!
    頭を割られたい奴は前に出てこいっ!」

孫奐隊の将、馬謖は、その刑道栄を討ち取るべく
怖れる部下を何度もけしかける。

    馬謖馬謖

馬 謖「怯むな! 奴は猛牛魏延でもなくば、
    赤き疾風公孫朱でも、化け物蛮望でもない!
    三流武将にいいようにやらせるな!
    斬れっ! 刑道栄を斬れっ!」
刑道栄「なんだと小僧!
    俺のどこらへんが三流だっていうんだ!?」
馬 謖「わかりきったことを!
    顔が出てない時点で三流扱いだろう!」
刑道栄「き、き、貴様ぁ……っ!
    人が思い切り気にしていることを!
    自分が嫌だと思うようなことを相手にするな、と
    貴様は教わらなかったのかーっ!」
馬 謖「うわあ!? こっちに来る!」
刑道栄「頭カチ割ったるわーっ!」

刑道栄は呉兵を蹴散らしながら馬謖に迫る。
そして今にもその大鉞が振り下ろされる、という時。
刑道栄は何かに気付いて、攻撃をやめた。

刑道栄「……お前、名は?」
馬 謖「え?」
刑道栄「名を聞いているんだ。答えろ」
馬 謖「馬謖……字は幼常」
刑道栄「ああ、やはり馬良どのの弟か。
    馬良どのの言っていた通りの人相だな」
馬 謖「え? 兄が?」
刑道栄「うむ、『私の人相から、若返らせて
    眉毛を黒くして小生意気にしたのが弟です』
    と言っていたぞ。全くその通りだ」
馬 謖「……私が馬良の弟と知ってどうする」
刑道栄「流石に殺すわけにはいかんな。
    とはいえ、先ほどの言葉はやはり許さん。
    そこで……うりゃあっ」

 ドガッ

馬 謖「ぐはあっ!」

刑道栄は馬に乗ったまま馬謖にブチかました。
馬謖の身体は派手にぶっとび、地面を転がる。

刑道栄「馬謖! 呉を捨てて楚に来い!
    それが兄のためでもあり、お前のためだ!」

だが馬謖は、鼻血を出し白目を剥いて気絶しており、
その刑道栄の言葉は聞こえてはいなかった。

    ☆☆☆

その頃、夏口。
戦況を見ていた燈艾は、諸将を集め新たな命を下す。

    トウ艾燈艾

燈 艾「……魏延隊の救援を行う」

   金目鯛金目鯛  費偉費偉

金目鯛「いいのか? ここで出張ってしまうと、
    『まだやれたのに余計なことを』とか
    ヘソ曲げたりしないかな」
費 偉「しかし、このまま魏延隊だけで戦うのは
    少し厳しい状況なのも事実ですが」
燈 艾「……救援部隊の標的は燈芝隊のみ。
    ……魏延隊は孫奐隊のみに集中する。
    これで、よろしい」

   金閣寺金閣寺  張苞張苞

金閣寺「なるほど、あくまで魏延隊に気持ちよく
    戦ってもらうための救援ですね」
張 苞「そんなことをするなら、最初から魏延隊の
    兵を多くしておけばよかったのに……」
燈 艾「……この戦、ただ勝てばいいわけではない」
張 苞「は?」
費 偉「戦闘の中で諸将が経験を積んでいくことも
    重要である、ということですよ。
    だから、魏延隊だけで追い払ってしまっては
    残った方々が経験を積めません」
金目鯛「経験ねぇ。まあ細かいことはどうでもいいや。
    とりあえず、出撃部隊に俺は……」
燈 艾「……留守をお願い致す」
金目鯛「なにーっ? 今度もかよ!」
燈 艾「……兵2万を私が率いて出撃致す。
    張苞、金閣寺、費偉、卞質を連れていきます」
費 偉「今回は育成が主なのです。野戦のプロである
    金目鯛どのは、経験を積む必要がない。(※)
    ですから今回は、留守役ということで……」

(※ すでに歩兵・騎兵ともに熟練値1000)

金目鯛「ちぇー。若ぇもんだけで出撃かよ……。
    って卞質は40歳過ぎてるぞー」
卞 質「私は教唆が使えますから。計略予防になります」
金閣寺「父上が出られるまでもないということです。
    ここは我慢してください」
金目鯛「ちぇーちぇー! 俺も行きたかったのに!」
張 苞「そう駄々こねないでください。
    何かお土産持って帰ってきますよ」
金目鯛「わーい、お土産ー。
    ……とでも言うと思ったか! こら!」

しぶしぶ留守を預かる金目鯛を残し、
燈艾隊2万は夏口を出て、燈芝隊を急襲。

  夏口近辺

燈 艾「……突進せよ」

突進攻撃を仕掛ける燈艾隊。
燈芝隊は、脇を突かれてたちまち崩れていく。

この効果的な攻撃で、燈芝隊を数日のうちに撃破。
わずかな期間で、燈艾隊は夏口に戻っていった。

燈 艾「……これでよい。帰還する」
金閣寺「うーむ……。燈艾将軍が、以前よりも大分
    落ち着いたように感じるのですけど、
    一体どうしたのでしょう?」
張 苞「話すときにドモらなくなったからだろうか?
    しかし、何をすれば治るのか……」

費 偉「フフフ。気付いてない、気付いてない!
    私が密かに燈艾どのの着ぐるみのところに
    サブリミナル装置をつけていることに!
    誰一人として気付いていない!」

説明しよう。このサブリミナル装置とは何か?

ドモりというのは、上手く言葉が出てこないうちに
声を出してしまうことによって発生するものである。
ならば、言葉が出てくるまで何も声を出さなければ
ドモらないということなのだ。

この装置は、意識に『言葉が出るまで声を出すな』
と何度も何度も言い聞かせるというものである。
言い聞かせると言っても一瞬で終わるものなので、
つけている本人も気付かないほどである。

燈 艾「……あとは魏延隊に期待しよう」
金閣寺「落ち着き払った燈艾将軍……。
    なにか、風格のようなものを感じる」
張 苞「あれでまだ22歳とは……末恐ろしいな」
費 偉「……(フッフッフ)」

一方、魏延隊は孫奐隊を追い詰めつつあった。

  夏口近辺

魏 延「敵の左側の守りが薄いな……。
    公孫朱! 突進で左翼を突けい!」
公孫朱「了解!」

公孫朱はこの突進を成功させ、武力も向上させる。
(武力+1で88に)

魏 延「よし、もはや孫奐隊は戦える士気ではない。
    攻撃を集中し、一気に撃破を……」
楚 兵「申し上げます! 敵の別働隊が江夏近辺に!」
魏 延「な、なに!?」
楚 兵「燈艾将軍より、救援に向かうようにとのこと!」
魏 延「くっ、命令では仕方ないな」

魏延隊は方向転換をした結果、孫奐隊は無事退却。
だがこの伝令、実は呉軍の偽報であった。
実際には別働隊など現れてはおらず、
従って燈艾の命令もなかったのである。

魏 延「くそ、騙された……」
魏 劭「騙されましたなあ」
魏 延「……お前が見破らないでどうする!
    そのためにお前が配属されたんじゃないのか!」
魏 劭「は、そうですな。勉強になりました」
魏 延「勉強になりましたって……くっ、頭痛が」
魏 劭「怪我が癒えておりませんな。
    夏口に戻り、まず休みを取りなされ」

(魏劭、この時に教唆を習得する)

魏延隊は夏口に帰還した。
太史慈との一騎討ちに敗れて怪我を負い、
また兵2万のうちほぼ半数が死傷したものの、
3万以上の軍を相手に勝利を得たのである。

一騎討ちに敗れたり、偽報を受けたりはしたものの、
それでも勇将、魏延の武名は更に高まった。

逆に呉軍は、4万の兵と孫尚香らを注ぎ込んだが
結局のところは敗退してしまった。
孫尚香、孫奐の隊がなんとか帰還したことにより、
兵力の大幅な減少は避けられたのが救いであった。

この後、この地方は再び戦場になるのだが、
それはまた次の機会とすることにしよう。

    ☆☆☆

季節は冬に変わり、月は10月。
場所も変わって、洛陽方面は孟津港。

  孟津

ここに、命の灯火が終わりに近付いている男がいた。

    于禁于禁

于 禁「もういっぺん言ってみい!
    楽進の状態は、どうだというのだ!?」

普段は冷静なはずの于禁が声を荒げる。
彼と対する医者は、困った顔で再度答えた。

医 者「残念ながら、手の施しようがありません……。
    もはや、命の尽きるのは時間の問題かと」
于 禁「貴様、適当言っておるとぶった斬るぞ!?」
医 者「て、適当ではありません!
    将軍の病は、死病です。掛かったが最後、
    進行が遅れることはあっても治りはしません」
于 禁「むむ……そ、そうだ、華佗ならば治せよう!
    華佗は今、どこにいるんだ!?」
医 者「華佗様は、番組収録のロケで留守です」
于 禁「な、なんだその番組収録というのは!?」
医 者「はあ、『特番スペシャル・どっちの手術ショー
    スーパードクターKada VS ゴッドハンド張仲景』
    とかいう番組に出演するらしいのですが」
于 禁「そんな馬鹿らしいものに出てる奴があるか!
    天下の名医である華佗でなくては……」
医 者「いくら華佗様であっても、死病である
    この病を治すことは無理です。
    残念ですが、楽進将軍の命運はもはや……」
于 禁「ええい、馬鹿を言うな!
    楽進がこの程度の病でやられるか!」

    楽進楽進

楽 進「ごほ、ごほっ……于禁!
    その医者の言ってることは正しい……。
    この病、もう治らんのだ」
于 禁「楽進……! 聞いていたのか!?」
楽 進「ああ。それに、病についても全て知っている。
    一度、華佗にも診てもらっているのだ。
    だが華佗でも、サジを投げるしかなかった」
于 禁「なに!? か、華佗が……!?」

 (于禁の想像)

   華佗華佗   左慈左慈

華 佗左慈! これから貴様を投げる!
左 慈「な、なんじゃと!?」
華 佗ふんぬ! どっせーい!
左 慈「おおーっ!? なんという馬鹿力ーッ!?」

 (想像終わり)

于 禁「それは是非とも見てみたかった」
楽 進「……何か変なことを考えてる顔だな。
    ゴホッ……この病は、いくら華佗でも治せぬ」
于 禁「華佗でも無理……。で、では……」    
楽 進「私の寿命も、あと少しということだ。
    もう少し、持つかと思っていたんだが……。
    まあ、60歳まで生きれば、十分だろう」
于 禁「待て楽進! まだ天下の統一は成っていない!
    ここで倒れては、悔いが残るぞ!」
楽 進「統一は成ってないが、その道すじは、
    なんとか作ることができたと思っている……。
    金旋さまや、お主らがその道すじを通って
    統一を果たしてくれれば、それでいい」
于 禁「では、この世に未練はないというのか?」
楽 進「ない……とは言い切れんな。
    ふたつばかり、心残りがある……」
于 禁「その、ふたつとは?」
楽 進「ひとつは、息子、楽淋のことだ。
    少しは武将らしくはなってきたようだが、
    私からみればまだまだヒヨッコだ……」
于 禁「そうは言うが、まだ二十代半ばだろう。
    これからまだまだ成長する」
楽 進「うむ……そこで于禁。楽淋を頼む。
    お主が親代わりになってあいつを導いてくれ」
于 禁「……わかった。請け負おう」
楽 進「特に……スーパーモードは使わせるな。
    あれは諸刃の剣。武の極みを知らずして使えば、
    いつか必ず危機に陥るだろう……」
于 禁「承知した」
楽 進「……これで、心残りのひとつは消えたな。
   残るは、もうひとつ……」
于 禁「もうひとつ、それはなんだ?」
楽 進「これまで、私は地味だ地味だと言われてきた。
    別に私は地味で十分だと思っていたのだが、
    一度は派手なことをやってみたかったという
    気持ちも、少しは心にはあったのだ……」
于 禁「派手なことをやりたい、と?」
楽 進「……うむ。実はすでに用意してあるのだ。
    于禁。我が演舞、見てくれぬか」
于 禁「演舞?」
楽 進「この楽進の、最後の晴れ舞台……。
    どうか、その目に焼き付けてくれ……。
    でなければ、死んでも死にきれぬ……」
于 禁「わ、わかった。見る、見させてもらう」
楽 進「そうか……では、少し待っていてくれ。
    少しばかり準備があるからな……」
于 禁「お、起き上がって大丈夫なのか?」
楽 進「少しの間なら、大丈夫だ……。
    では、しばし、待っていてくれ」

楽進は奥の部屋に入り、ガサゴソとやり始める。
于禁の内心は、何が始まるのかという不安と期待、
そして楽進を心配する気持ちとが入り混じっていた。

やがて、楽進が準備を終えたか、声をかけてきた。

楽 進「……用意が出来た。始めるぞ」
于 禁「う、うむ」
楽 進「見ておれ于禁……。いくぞ!

そう言って飛び出してきた楽進。
その姿に、于禁は絶句した。

  ガクシンサンバ
    ジャァァァァァァン!!

于 禁「…………」(声も出ない)
楽 進「この楽進の、一世一代の晴れ舞台……!
    ガクシン・サンバだ!
    それでは……ミュージックスタート!」

 ジャジャーン♪

ガクシンサンバ(U)

叩け凡愚 響け産婆
おのれ南野ハンニバル
ダリもカールも 浮かれポンチ
光るハゼが弾け跳ぶ

熱い風邪に カラシ菜漬け
心逝くまで 嘔吐レバー
奈美も歌うよ 愛の産婆を
群れにあぶれる この沈む

俺〜 俺〜 ガクシン産婆〜
俺〜 俺〜 ガクシン産婆〜

あぁ鯉ぜよ 亜美囲碁
オドリャー 専用リーダー
根掘りさえ忘れて 踊り赤そうめん

産婆 ビ〜バ 産婆〜


ガ・ク・シ・ン 産婆〜

俺!

(メロディを忘れた方はこちらの試聴から思い出せ)

楽 進「…………」
于 禁「…………」
楽 進「…………」
于 禁「…………」
楽 進「……ぐふっ!
于 禁「楽進!? 楽進ッ!」

倒れこむ楽進を受け止め、于禁は叫ぶ。
だがいくら呼ぼうが、楽進の答えはなかった。

于 禁「楽進! 死ぬな! まだ死ぬな!」

心のうちでは、もう声は届かない、
そうわかっていても言わずにはおれなかった。

于 禁こんな格好で死ぬんじゃないーッ!

楚国右将軍、楽進。享年60歳。
金旋に、楚に統一の夢を見た一途な武人は、
その夢が果たされる前にこの世を去った。

60歳という年齢であり、決して早死にではない。
しかし、もう少し生きていてほしかった。
楚国の皆に、そう思わせる人物であった。

真っ直ぐに生きた武骨の戦士、楽進。
ここで物語から退場する。

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