○ 第三章 「老いたる者は去り、若き者は参る」 ○ 
218年4月

場所は荊州、漢津港。

 漢津(陸口周辺)

    金旋金旋   下町娘下町娘

金 旋「ありがとう、よくわかった」
下町娘「いえいえ、どういたしまして」

金旋は、下町娘からこれまでの経緯の説明を受けた。
ほとんど金旋の記憶と大差はないが、
いくつかの事柄で違う点があった。

金 旋「皇帝陛下は許昌に疎開してたのか。(※1)
    確かに洛陽は危ないだろうからな」
下町娘「許昌なら以前にいたことありますし、
    汝南方面の道は石兵で遮断されてますしね」

(※1 以前の場合は三国志9無印から始めたので
 このシナリオの後漢皇帝の所在は洛陽だったが、
 PKから始めると皇帝の所在は許昌になる)

 皇帝疎開

金 旋「陛下がどこにいても、大して変わらんがな。
    ……んで、これが現在の人材の一覧か」
下町娘「楚王になってからの爵位も併記してます。
    公の時の爵位は、金旋伝75章をご参考に」

☆ 文 官 爵 位 ☆
光 禄 勲金玉昼
大 司 農鞏志
衛 尉 費偉
廷 尉 馬良
尚 書 令潘濬
太 僕 劉巴
太 常 韓浩
光禄大夫魏劭
中 書 令劉曄
御史中丞張既
執 金 吾蒋済
少 府 崔炎
秘 書 令司馬孚
侍 中 董允
留府長史陳矯
太学博士厳峻
謁者僕射伊籍
都 尉 楊儀
黄門侍郎孟達
太 史 令何晏
郎 中 田疇
従事中郎王粲
長 史 秦泌
司 馬 卞質
太 楽 令何曾
大 倉 令卞志
武 庫 令糜竺
衛 士 令郭奕
主 簿 公孫朱
諌議大夫蛮望
侍 郎 魏光
中 郎 下町娘
☆ 武 官 爵 位 ☆
征東将軍司馬懿
征南将軍燈艾
征西将軍徐庶
征北将軍郭淮
鎮東将軍魏延
鎮南将軍甘寧
鎮西将軍朱桓
鎮北将軍韓遂
安東将軍金満
安南将軍于禁
安西将軍李厳
安北将軍金閣寺
左 将 軍霍峻
右 将 軍楽進
前 将 軍李典
後 将 軍満寵
軍師将軍呉懿
安国将軍鞏恋
破虜将軍金目鯛
討逆将軍厳顔
威東将軍凌統
威南将軍蒋欽
威西将軍文聘
威北将軍魯圓圓
牙門将軍閻柔
護 軍 牛金
偏 将 軍黄祖
碑 将 軍髭髯龍
忠義校尉孔奉
昭信校尉卞柔
儒林校尉楽淋
建議校尉髭髯鳳
奮威校尉髭髯豹
宣信校尉馮習
破賊校尉張南
武威校尉雷圓圓
☆ 無官 ☆
刑道栄、陳応、張常、留賛、朱異、夏侯徳、
張苞、周倉、高沛、呉蘭、張允、秦朗、高翔、
向朗、趙累、王修、陳震、簡雍、董蘭、趙樊、
劉鏡、劉埼、劉綜、蔡和、蔡中、申耽、申儀、
陶応、陶商、高定、蘇由、蔡瑁、萌越、
向寵、黄射、鄒横

金 旋「でもって、抜けた奴らがこれ、と……」

☆ 除籍 ☆
魏緒、孔翊、謝旋、秦綜、鄒興、趙囲、
樊郭、胡渉、陳慶、程近、孔休、何簿

金 旋「能力が飛びぬけてた奴らではないが、
    これだけの数が抜けるのはキツイな」
下町娘「除籍理由ですが、病気治療のため引退、
    怪我を負い後遺症が残ったため引退、
    150万ドルの違約金を支払っての除隊、
    任務失敗により円形の穴に落ちて死刑、
    炉心を引っこ抜き敵軍に特攻した名誉の死、
    子犬のために新幹線を止めようとして轢死、
    ある人物の背後に立ってしまったため射殺、
    ビデオ見てたら画面から出てきた女に呪殺、
    従姉に殺人鬼と誤解され胸を突かれて死亡、
    風呂で身体を洗う時髪から洗わずに切腹、
    高所で誤ってローリングしたための転落死、
    などなど、それぞれに事情があります」
金 旋「死んでるのが多いな……。
    で、誰がどれなんだ?」
下町娘「ナイショです」
金 旋「内緒?」
下町娘「除籍理由はその人の名誉にかかわるので
    公表はしちゃいけないんです」
金 旋「俺、君主なんだけど」
下町娘「それでもダメです」
金 旋「さよけ。で、こっちのリストが新顔か。
    さっきの一覧にも入ってはいたが」

☆ 合流 ☆
向寵、黄射、孔奉、鄒横、魯圓圓、雷圓圓

金 旋「向寵は確か向朗の一族だったよな。
    で、あとの奴らは……」
下町娘「黄射さん(※2)は黄祖さんの実子です」

(※2 新武将登録された史実武将)

金 旋「え〜。あのヒヒ爺の子だと〜。
    あんまり会いたくねえなぁ〜」
下町娘「いや、それがめちゃイイ人らしいです」
金 旋「へえ」
下町娘「親と子がそっくりになるとは限りませんよ」
金 旋「……何で俺の顔を見ながら言うんだ」
下町娘「魯圓圓、雷圓圓は会いましたよね。
    孔奉さん、鄒横さんと合わせて、
    この4人が抜擢された方たちです」
金 旋「この孔奉と鄒横はどこにいるんだ?」
下町娘「鄒横さんは桂陽にいます。
    病気引退した鄒興さんの養子になって
    その後を継いだそうです」
金 旋「ふーん、養子ねえ。
    ……そうか、鄒興は病気引退か」
下町娘「あ、言っちゃった。
    もー金旋さま、聞き上手なんだからー」
金 旋「別に聞き出そうともしてなかったが……。
    で、孔奉の方は?」
下町娘「彼はここに……あ、噂をすれば」
金 旋「ん?」
下町娘「彼が孔奉さんです」

    孔奉孔奉

孔 奉「…………」
金 旋「おや? お前は確か……。
    秦綜じゃないか? 辞めたんじゃないのか」
下町娘「孔奉さんですよ」
金 旋「いや、だってこの顔は……」
下町娘「孔奉さんですって」
金 旋「しかし……」
下町娘「孔奉さんなんですってば」
金 旋「……事情はよく知らんが、
    そういうことにしておきたいのか」
下町娘「しときたいも何も、彼こそが孔奉さんであって
    孔奉さん以外の何者でもないんですってば」
金 旋「わかったわかった。
    そうコーホーコーホーと連呼するな。
    まるでウォーズマンみたいだぞ」
下町娘「ウォーズマンなんて古いですねー。
    ダースベイダーと言ってくださいよ」
金 旋「どっちも古さは変わらんような……。
    んじゃ、孔奉、これからもよろしくな」
孔 奉「……(こくり)」
金 旋「(無口なところもそっくりなんだがな……)
    ……で、何か用事でもあったか?」
孔 奉「……手紙を」
金 旋「手紙? ……むっ、お悔やみ情報?」

手渡されたその紙には、楚軍の将であった
蔡瑁と萌越が病気で死亡したこと、
その告別式が襄陽で行われることが記されていた。

金 旋「二人とも病により永眠……。
    蔡瑁が64歳で、萌越が62歳か。
    荊州統一戦からの功臣たちが逝ったか……」
下町娘「さほど目立ってはいませんが、重要なところで
    活躍してましたからね」
金 旋「特に蔡瑁は痛いな。荊州水軍の長として、
    対呉戦で活躍してもらおうと思ってたのに」
下町娘「金旋さまと同い年ですしね」
金 旋「同級生が次々に死んでいくのは堪える……と
    どこぞの爺様が言ってたが、本当だな。
    ……彼らの葬式には立派な花環を贈ってくれ」
下町娘「え、ハニワを贈るんですか?
    ハニワを一緒に埋める風習は、もう廃れたと
    思ってたんですけど」
金 旋「あのなー。誰がハニワと言ったか。
    ハニワじゃなくて、ハナワ! 花の環!」
下町娘「え? ……ハナワですか?」
金 旋「そう。ちゃんと大きい奴を贈ってくれよ。
    俺の名前をどーんと入れてな」
下町娘「わかりました。特注&超特急で作らせます。
    ……でも、ハナワを贈るんですか。
    地方によって葬儀のやり方って違うんですね」
金 旋「そうか? どこも共通だと思ってたが……。
    じゃ、よろしくな」
下町娘「では、さっそく発注します」

そして、彼らの合同告別式が襄陽で行われた。
いずれも劉表時代の重臣であったので、
襄陽にも馴染みは深く、告別式にも多数の
財界人・文化人が訪れた。

司馬徽「おお、劉埼どの。この度はご愁傷様でしたな」
劉 埼「これは水鏡先生……。先生もご出席でしたか」
司馬徽「交友もあったし、焼香くらいはせんとな。
    ところで、あの金旋の名がデカデカと入った奴、
    ありゃ一体何かね。変ではないか?」
劉 埼「あ、ご覧になりましたか……。
    私も変だとは思いましたが、閣下からの贈り物、
    無碍にするわけにもいきませんし……。
    閣下の出身地あたりではああやるのだ、
    と周りには納得させましたが」
司馬徽「いや、金旋どのは京兆の出であるが、
    あそこらのしきたりにはあんなものはないぞ」
劉 埼「そうですか……。閣下は一体、
    どのような意図であのようなものを……」
司馬徽「見た奴を笑わせるためではないか?」
劉 埼「まさか」
司馬徽「いや、わからんぞ。
    湿っぽくなるなということかもしれんな。
    笑って彼らを見送ってやろう、という意味を
    篭めているのやも」
劉 埼「なるほど……。
    流石、楚王にまでなる方は違うものですね。
    ……では、我らも笑顔で彼らを見送りましょう」
司馬徽「うむ、そうしようではないか。
    ちょっと可笑しいがな、あの死に顔は」

二人が見た蔡瑁・萌越のその死に顔。
そこには、立派な鼻輪 (金旋のネーム入り)
が光っていた。

さて。
場面は戻って、漢津港の金旋のところ。

金 旋「告別式は終わった頃か。
    しかし、以前からいる者も大分歳をとったな」
下町娘私は18歳です
金 旋「……流石にそれ、今は無理があるぞ」
下町娘「無理があろうと無かろうと私は18歳です」
金 旋「じゃ、そういうことにしとこうか」
下町娘「そーいうことってなんですか! 私は……」
金 旋「そうムキになるなって。
    俺から見れば、実年齢でもまだまだ若いぞ。
    これから先は、今10代から30代くらいまでの
    若手の者たちに頑張ってもらわんとな」
下町娘「……えーと、私や玉ちゃん、恋ちゃん、
    司馬懿さんや燈艾さん、郭淮さんあたりですか」
金 旋「金満や費偉、馬良とかもそうだなあ。
    そうそう、魯圓圓、雷圓圓とかもだな」

    雷圓圓雷圓圓
 
雷圓圓「呼びました〜?」
金 旋「どわあ!? いきなり現れるな!」
雷圓圓「ふっふっふ。メイドたるもの、
    ご主人様に呼ばれたら即参上しなくては」
金 旋「……メイド?」
下町娘「雷圓圓! 貴女はもうメイドじゃないんだって!
    何度言えばわかるのかな、もう!」
雷圓圓「私はメイドをやめたつもりはないですよぉ」
下町娘「貴女はもう武将なの!」
雷圓圓「じゃあ武将兼メイドという方向で」
金 旋「どういう方向だか……。
    ……この娘、以前はメイドだったのか?」
下町娘「……あ、彼女らのことは忘れてるんでしたっけ」
雷圓圓「うわぁ、酷いです。
    私と過ごした、あの心躍る夜のことも
    忘れちゃったと言わはります気なのですか」
金 旋「いっ!? そ、そんなことが!?」

    魯圓圓魯圓圓

魯圓圓「こら、雷!
    あなたの言葉はいつも誤解を招くのよっ!」
金 旋「また出た……。ノックくらいして入れ」
魯圓圓「あっ……申し訳ありません。
    雷がご迷惑掛けてると思ったら、つい……。
    次回より、ちゃんとノックします」
雷圓圓「私は守備は苦手なので、ノックよりも
    バッティングの方をやりたいです〜」
魯圓圓「誰も野球の話なんてしてないっ!」
雷圓圓「あう〜、お姉さま怒らないでくださいよぉ」
魯圓圓「だから、そのお姉さまっていうのも……」
金 旋「まあ待て。いい機会だ。
    君らの話を詳しく聞いておくことにしよう」
魯圓圓「……何の話でしょうか?」
下町娘「えーとね、簡単に説明すると、
    金旋さまは特殊な老人性痴呆症になって、
    貴女たちの事を綺麗さっぱり忘れちゃったの」
雷圓圓「うわぁ、可哀想に……」
金 旋「その憐れんだ目はやめろ。
    ……だから、君らが抜擢された経緯とか、
    なんで魯圓圓を姉と呼ぶのかとか、そこらを
    聞いておきたいのだ」
魯圓圓「そういうことでしたら。
    でも、私は普通に兵士から抜擢されたんですが」
金 旋「推薦は誰が?」
魯圓圓「張南どのです。同郷ということで
    目をかけていただきました」
金 旋「なるほど……。教師役は?」
魯圓圓「鞏恋お姉さまです」
金 旋「……お姉さま?」
魯圓圓「あ、いえ、別に本当の姉というわけではなく、
    私が勝手に尊敬して、姉のような存在として
    慕ってるだけですから……」
金 旋「あ、そう。尊敬ね……。
    ……って、尊敬できるような人物か?
    確かに有能だとは思うが……」
魯圓圓「優しくてかっこよくて頼りになって、
    とってもいい方じゃないですか」
雷圓圓「そーですよぉ。面白い方ですし」
金 旋「……上司と後輩の立場の差かね?
    俺は、その『優しい』とこを見た事ないが」
魯圓圓「確かに表にはあまり出しませんけど……。
    教育期間中、いろいろと助けていただいて、
    それでわかったんです。
    『とても思慮深く人を思いやる人なんだ』
    ということが」
金 旋「思慮深い、ねぇ……。
    まあ、そのことは今は別にいいんだが。
    しかし、ごく普通の抜擢のされ方だな」
魯圓圓「そうですね。
    この子に比べたら皆そうでしょう」
雷圓圓「そんな、褒めないでくださいよ〜」
下町娘「誰も褒めてないよ」
金 旋「……じゃ、次は雷圓圓、君だ。
    どういう経緯で抜擢された? ……と、
    その前にメイドだったという話だが?」
雷圓圓「今もメイドですよぉ」
金 旋「そのことは脇においとけ。
    んで、最初はメイドとしてきたのか?」
雷圓圓「そうですよ〜。『お掃除のできるメイド募集』と
    ハローワークに出てたので、応募したですよ」
下町娘「洛陽に入ってから結構多忙でしたよね。
    それで身の回りの世話ができるメイドを雇おう、
    となったわけなんです」
魯圓圓「実際のところは、メイドというより
    掃除婦って感じでしたけど」
金 旋「ふーん。だからメイドと言ってるのか。
    ……で、なんでそういう経緯で来た者が
    武将に抜擢されるんだ?」
雷圓圓「そのきっかけは、あの夜のことなのです。
    あの特別な夜……私がかっかのために
    息を切らせて激しくご奉仕したので、
    かっかが気に入って推薦してくれたですよ」
金 旋「え、えええっ!? ご、ご奉仕って何を!?」
魯圓圓「だから〜。誤解を招くようなこと言わない!
    あなたワザと言ってるでしょ?」
雷圓圓「えー、何がワザとなんですかぁ?」
下町娘「私の方からちゃんと説明しますね。
    その夜に、賊が侵入してきたんです」
金 旋「賊?」
下町娘「はい、数名の賊で、後からの調べでは
    魏の潜入部隊とのことでした。
    それが、金旋さまの命を狙ったんです」
金 旋「そんなことがあったのか……」
下町娘「丁度、警備が手薄な時だったので、
    金旋さまを守る兵は全て倒されてしまい、
    残るは金旋さまと……」
雷圓圓「その時お部屋をお掃除してた私だけでした。
    そこで、かっかのピンチを助けるべく、
    斬りかかってきた賊たちを、私がモップで
    全部倒していったのですよ」
金 旋「……モップ? 掃除用のか?」
雷圓圓「そうですよー。えいやーっと」
魯圓圓「この子、棒術が得意なんです」
金 旋「ほう。それで当時の俺は、この娘の技を見て
    抜擢を決めたわけだな」
雷圓圓「賊を全部倒したら、かっかがいきなり
    『俺のためにずっと働いてくれないか』
    と言われたですよ。
    それで、はいと答えましたです」
金 旋「……大分興奮してたんだな、言葉が不明瞭だ。
    はっきり武将として〜とか言うべきだったな」
雷圓圓「そうなのですよ。私はメイドとして永久就職が
    できるのだと思ったのに〜」
下町娘「でもそのすぐ後で、抜擢に関してのことは
    説明したはずでしょう?」
雷圓圓「あ、あは〜。その時は聞いてなかったです〜。
    耳に入っても逆の耳から抜けてましたです」
金 旋「それじゃダメだろう。
    ……で、魯圓圓を姉と呼ぶ理由は何なんだ?
    さっきの魯圓圓が鞏恋を呼ぶみたいな、
    尊敬の念からなのか?」
雷圓圓「尊敬してもいますけれど〜。
    魯お姉さまは、私のお姉さまだからですよ」
金 旋「は? でも実際には、
    姉妹っていうわけではないんだろ?」
雷圓圓「確かに、会うまではずっと他人同士でした。l
    でも、初めて会った時にすぐ気付いたのです。
    『ああ、この人は私の魂のお姉さまだ』って」
魯圓圓「だからー、それやめてほしいんだけど……。
    魂とかなんとか、電波飛ばさないでよ」
金 旋「……なるほど。要するに雷圓圓の思い込みか」
魯圓圓「そうなんです。それもかなり強烈な」
金 旋「その割には、仲いいように見えるが。
    実はまんざらでもないんじゃないか?」
魯圓圓「……私がこの子に関わってるのは、
    周りが勝手に保護者扱いするからですよ。
    この子が何か問題を起こしたりすると、
    真っ先に私が呼ばれるんです」
金 旋「……そりゃ、ご愁傷様。
    そんなに嫌なら、配置転換も考えるが……」
雷圓圓「えー、そんなぁ〜」
魯圓圓「……あ、いえ、別にこの子が嫌いとかではなく、
    単にこの子の御守りが大変だというだけです。
    もう少し大人しくしてくれれば、
    それで構わないんですが……」
雷圓圓「はいっ! 大人しくします!」
魯圓圓「……いつもその時だけはいい返事なんだから」
金 旋「よくわからんが、配置は一緒でいいんだな」
魯圓圓「はい」
金 旋「……そうか。(なんだかんだ言ってるが
    やっぱりまんざらでもないんだな)」
魯圓圓「それじゃ、話も終わったようですし
    失礼します。……ほら、雷、行くわよ」
雷圓圓「あ〜ん、お掃除くらいさせてください〜」
魯圓圓「ダメだってば、もう」

二人は部屋を後にした。

下町娘「……ようやく嵐が去りましたね」
金 旋「新たなトラブルメーカーか……。
    そういや、蛮望はどうしてるかな」
下町娘「江夏近くの夏口にいますよ。
    毎日男を追っかけ回してるそうです」
金 旋「……全く、やれやれだな。
    ……さて、状況もよくわかったことだし、
    そろそろ計画を実行に移すとするか」
下町娘「……計画?」
金 旋「うむ……。とりあえず、
    甘寧と朱桓を呼んできてくれ」
下町娘「わかりました」

漢津港に駐屯している将の最上位2名。
その甘寧と朱桓が金旋の元に来た。

  甘寧甘寧   朱桓朱桓

甘 寧「お呼びですかな」
朱 桓「何かお話でもおありで?」

金 旋「うむ、この度の艦隊指揮官となる
    お前たちの意見を聞こうと思ってな」
甘 寧「……艦隊指揮官?」
金 旋「うむ、いわゆる『提督』だな。
    ……陸口を攻める攻撃艦隊の、な」
二 人「陸口を……!?」

金旋の言葉に、甘寧・朱桓は驚きの声を上げた。
いよいよ、楚軍本隊が動き出すのか。

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