○ 第六十六章 「仇敵、そして戦友」 ○ 
215年11月

河南

11月上旬。
郭淮・司馬懿隊の救援として出撃した甘寧隊は、
両隊が退却した後も、曹操隊との交戦を続けていた。

   甘寧甘寧

甘 寧「流石は戦の天才、曹操だな。
    同程度の兵数(※)ではなかなか倒せぬか」

(※甘寧隊構成:兵2万5千、将:楽進・凌統・金目鯛・魏光)

   楽進楽進

楽 進「あの方の変幻自在の用兵は、
    他の者に真似のできるものではない。
    だからこそ、ここまで勢力を伸ばしてきたのだ」
甘 寧「元の所属君主ということで贔屓目ではないか?」
楽 進「いや、客観的な意見だ。
    残念だが、今の我が軍に彼を超える将はおらんな。
    それに、老獪な参謀である程立も傍らにいる……。
    全く厄介な相手だ」
甘 寧「しかし、司馬懿・郭淮が撃退された今、
    我が隊まで引っ込むわけにはいかん。
    金旋軍の気概を見せてやらねば……」
楽 進「うむ。若い者に我らの戦いぶりを見せてやろうぞ」
甘 寧「と、年寄りの仲間に入れないでくれ」
楽 進「何言っとるか、お主ももう50過ぎのくせに」
甘 寧「言うな〜」

さて一方、曹操隊では。

  曹操曹操   程立程立

曹 操「ふむ……なかなか粘りおる。
    同数の兵で私と互角に戦うとはな」
程 立「殿の悪癖も出ておらぬのに……。
    敵軍もなかなかやりますな」
曹 操「悪癖? なんのことだ?」
程 立「気付かぬのならそれも結構……」
曹 操「ん? まあよいが。
    しかし敵部隊の大将は甘寧か……。
    ふふふ、私が目をつけるだけのことはある。
    ますます欲しくなってきたぞ。
    ふふ……ふふふふふふ……」
程 立「(また出たか……)殿。
    郭嘉が亡くなってからもう2年になりますな」
曹 操「ふふ……む。郭嘉か。惜しいことをした」
程 立「彼の魂に報いるためにも、負けられませんぞ」
曹 操「わかっている」

    ☆☆☆

両軍の攻防は一進一退。
ここで、なんとか戦況を変えようと、
先陣の金目鯛が斬りこみをかけた。

   金目鯛金目鯛

金目鯛「金目鯛ここに参上! 曹操、覚悟ーっ!」
曹 操「ふ……金旋の息子か。
    先陣を切って立ち向かうその勇気はよし。
    しかし、知略はどうかな……?
    ……そこのお前。これを付けろ」
兵 A「え? し、しかし……。
    これは殿のひたたれではありませんか」
曹 操「構わん。早くしろ」
兵 A「は、はい……」
曹 操「よし。ではこの馬に乗り、真っ直ぐ西へ駆けろ」
兵 A「は、はあ……承知しました」
曹 操「よし、行け!」

兵士の乗った馬が西へ向かって駆け出す。
そのすぐ後に、曹操は大声で叫んだ。

曹 操「曹操が西へ向かって逃げたぞーっ!
    奴は赤いひたたれをまとっているぞ!」
金目鯛「なにっ、曹操が!
    赤いひたたれ……あ、あれか!
    追え! 曹操を逃がすな!」

金目鯛とその兵たちはすっかり騙され、
方向転換し偽の曹操を追いかけ始めた。
その間に、曹操は甘寧本隊への攻勢を強める。

兵 B「申し上げます!
    味方の旗色が次第に悪くなってきており、
    曹操隊が中央より迫っております!」
甘 寧「なんとか前線を支えねば……左翼の楽進は!?」
兵 B「踏ん張ってはおりますが、
    こちらにまで気を配れる余裕はないかと」
甘 寧「では右翼の魏光は?」
兵 B「魏光さまも、右翼を支えるので必死です」
甘 寧「む……。後は後詰の凌統だが……」
兵 B「凌統さまは将軍を親の仇と言っております。
    あてになるでしょうか」
甘 寧「そんなことを言っていられる状況ではない。
    凌統を呼べ! 曹操隊を押し返す!」
兵 B「はっ」

   凌統凌統

凌 統「来たぞ」
甘 寧「来たか。では、連携して曹操隊を押し返すぞ」
凌 統「連携して、だと? ふん、そんなことできるか。
    私は私で勝手にやらせてもらう」
甘 寧「……それは、俺がお前の父を殺したからか?」
凌 統「そうだ。本当はお前を殺してやりたいくらいだが、
    同じ軍にいるということで今はやめておく。
    しかし、その仇と仲良く連携など、
    できたものではない!」
甘 寧「はははははは」
凌 統「な、何がおかしい!?」
甘 寧「まるで子供のようなので笑ったまでだ」
凌 統「な、なんだとっ!」
甘 寧「ならば問うぞ凌統!
    金旋さまに対する忠義、俺に対する恨み!
    お前はどちらが大事と思っているのだ!?」
凌 統「……ちゅ、忠義と恨みだと」
甘 寧「俺は元々江賊をやっていた身。
    劉表に仕えてたものの、大して用いられなかった。
    しかし金旋さまに仕えてからここまで、
    重く用いられてきた。故に、この恩に報いたい」
凌 統「それがお前の忠義か」
甘 寧「報恩こそ最大の忠。これが俺の信条だ。
    お前はどうだ?
    孫権の元にいた方が待遇はよかったか?」
凌 統「む……それは甲乙つけがたい。
    しかし、受けた恩は金旋さまの方が大きい。
    そして今の私の忠誠は、金旋さまのみに
    向けられるものだ」
甘 寧「そうかそうか……。
    ならば、この場はどうすべきかはわかるな」
凌 統「頭ではわかっている!
    しかし、感情がそれを許さん……」
甘 寧「……お主の父、名はなんと言った?」
凌 統「父の名は、凌操。
    呉きっての斬りこみ隊長と恐れられていた」
甘 寧「ふむ……。
    忠義の士である凌統をそこまで仇討ちにかきたてる。
    凌操の人となりは知らぬが、立派な男だったのだろう」
凌 統「……」
甘 寧「そのような男を討てた。
    この甘寧、それを誇りに思わねばなるまい」

そのとき、二人のところへ伝令の兵が駆け込んできた。

兵 B「甘寧将軍!
    曹操隊、そこまで迫っております!」

甘 寧「……凌統。お前に選択肢をやろう」
凌 統「選択肢……?」
甘 寧「俺はこれから曹操隊に斬りこむ。
    お前の連携無しでは、俺は討たれるだろう」
凌 統「それはどういう……」
甘 寧「俺を殺したいならついて来ないでいい。
    俺の死を見届けたら、兵をまとめ城塞に戻れ。
    しかしお前が忠を全うしたいなら、ついてこい」
凌 統「な、何……」
甘 寧「ではな! 勇将凌操の子よ!
    悔いを残すなよ!」

甘寧はそう言い残すと、手勢を率いて曹操隊へ
斬りこんでいった。

兵 C「凌統将軍、我らはどうすれば……」
凌 統「……父上はな」
兵 C「は?」
凌 統「父、凌操はな……。
    戦場では常に先陣を切り、何度も功を立てた。
    私にとっても自慢の父だったのだ」
兵 C「は、はあ」
凌 統「その父が、劉表軍との戦いで討たれた。
    武名高き名将に討たれたなら、まだ納得もできた。
    しかしそれが、名もさっぱり聞いたことのない、
    ガラの悪い江賊崩れの者に討たれたという」
兵 C「それが、甘寧将軍ですか……」
凌 統「俺は認めたくなかった。
    そんなつまらない者より父が劣るということを。
    だから私がその者を討つことで、その者よりも
    凌家の者が強いということを示したかったのだ」
兵 C「ですが、今は甘寧将軍はお味方です」
凌 統「それを知ったのは金旋軍に誘いを受け、
    登用されてからのことだ。
    それ以来、目の前に仇がいながら、
    手を出せぬ日々が続いた……。
    だが今、甘寧自らが殺す機会を与えた」
兵 C「甘寧将軍を見殺しになさるおつもりか!?
    甘寧将軍は、金旋軍の大事な柱石ですぞ!」
凌 統「そのようなこと、今は関係ない。
    これはあくまで甘寧という男と私との関係だ。
    そして、甘寧は私に自分の命運を託した……」
兵 C「将軍……」
凌 統「ふ……見損なうな!
    これではますます凌家の恥が増すばかりだろう!
    続け! 曹操隊に斬りこむ!」
兵 C「は、ははっ!」

凌統は甘寧の後ろに続き、曹操隊に斬りこんだ。
甘寧・凌統の奮迅により曹操隊は押し返され、
曹操は大事を取って洛陽へと退いていった。

甘 寧「凌統、よくやってくれた。礼を言う」
凌 統「ふん、勘違いしないでもらおうか」
甘 寧「なに?」
凌 統「助けたのは、お前が父を褒めてくれたからだ。
    父を討てたのを誇りに思うと言った。
    だから助けてやった。それだけだ。
    礼など言われる筋合いはない」
甘 寧「ふむ……」
凌 統「ひとつだけ言っておく。
    父を殺された恨みは、消えるものではない」
甘 寧「そうであろうな。それは俺も覚悟している」
凌 統「だが、その殺した相手は、
    自分が思っていたほどつまらぬ者でもないし、
    勇と才を兼ね備えた素晴らしい男だとわかった」
甘 寧「ふ、そこまで言うほどではない」
凌 統「父がその者に討たれたことは、むしろ誇りに思う。
    だからだ。その者は必ず私の手で殺す。
    他の者に殺させはしない」
甘 寧「……」
凌 統「いずれ私がお前を殺す。
    それまで死ぬんじゃないぞ」
甘 寧「面白い。ならばこの剣に誓おう。
    この甘寧、凌統以外の者には討たれぬとな」
凌 統「では私も剣に誓おう。
    この私以外の者に、甘寧を討たせぬと」

相容れぬはずの二人が固く誓い合う。
キィィンと音を上げ、剣と剣が交錯した。
それは奇妙な契りであった。

   魏光魏光

魏 光「なんか、凌統さんもふっきれた感じですかね」
楽 進「そうだな……曹操軍も退却させたし、
    とりあえずは落着、か」
魏 光「そうですね……あれ、金目鯛さん」
金目鯛「おーう、すまんすまん」
楽 進「すまんじゃなかろう。どこほっつき歩いてた」
金目鯛「曹操の偽者を追いかけ回してた。
    とっ捕まえて顔みたら全然別人だしよー。
    参った参った」
楽 進「参ったのはこっちだ……ま、いいだろう。
    過ぎたことは忘れようか」
魏 光「そうですね、終わり良ければ全て良しです」
金目鯛「そうそう、終わり良ければ……」

そのとき、伝令の兵が駆け込んできた。

兵 D「申し上げます!
    孟津港に曹操軍の船団が入港したとの由!
    旗から見るに徐晃の部隊、その数2万5千!
    港よりこちらに向かってくる模様!」

楽 進「終わってなかったようだな」
金目鯛「あれまあ……さて、どうする?」
魏 光「別に退いても問題ないと思いますけど……」

甘 寧「いや、戦うぞ」
魏 光「甘寧将軍」
甘 寧「見逃して洛陽に入城されるは面白くない。
    それに、我が隊はまだまだ戦える」
凌 統「ここは一戦して、少しでも数を減らすべし!」
楽 進「ま、それでよかろう」
魏 光「しょうがないですねえ……」
金目鯛「よし、それじゃ行きますか」
甘 寧「甘寧隊、次の目標は徐晃隊だ!
    金旋軍の武、奴らに見せつけてやれ!」

オオーッと兵達の雄たけびがこだまする。
甘寧隊は、新たな敵である徐晃隊との交戦に入っていった。

    ☆☆☆

  金旋金旋   金玉昼金玉昼

金 旋「曹操は洛陽に退いたか」
金玉昼「形勢不利と見るや、さっさと引き揚げてったにゃ。
    この引き際は見事というしかないにゃ」
金 旋「で、甘寧隊は?」
金玉昼「その場に留まり、徐晃隊を迎え撃つ様子。
    ただ、曹操隊との交戦での疲労もあると思うし、
    ここは増援を出すべきだと思うにゃ」
金 旋「出撃したくてウズウズしてる奴もいるようだしな。
    よし、郭淮!」

   郭淮郭淮

郭 淮「カクワイダーでしたら、ここに」
金 旋「おう。お前は于禁・牛金・蛮望・刑道栄を伴い、
    3万の兵で出撃しろ」
郭 淮「お言葉ですが……于禁どの以外はあまり知謀には
    期待できない方ばかりですが……」
金 旋「うむ。だから徐晃隊のみを相手にしろ。
    徐晃隊は曹彰・曹洪といった武辺者しかいない。
    後は、お前と于禁で偽報に注意しろ。
    あ、洛陽にも近づくなよ。穴にハマるからな」
郭 淮「はっ、しかと肝に銘じておきます」
金 旋「甘寧隊と入れ替わりで徐晃隊に当たれ。
   甘寧には、お前の隊が到着したら退却するように
   伝えておく」
郭 淮「ははっ」
金 旋「皆、騎馬隊の得意な者ばかりだ……。
    我が軍を初めて見るであろう徐晃の前で、
    その力を存分に示してこい!」
郭 淮「はっ! では、早速準備を」

郭淮は一礼し、退室していった。

金玉昼「ちちうえ……。
    徐晃といえば北の異民族をも震え上がらせた名将。
    曹彰、曹洪もなかなか武勇の立つ者たちにゃ。
    郭淮さんの隊だけじゃ、少し辛いのでは……」
金 旋「確かにな。だから、郭淮は『繋ぎ』だ。
    本命は後から出すつもりだ」
金玉昼「本命、というと……」

   黄祖黄祖

黄 祖ということは、ワシの出番じゃな!
金 旋「ぶっ……黄祖、なんでお前がここにいる」
黄 祖「いやあ、なんか呼ばれた気がしたんでのう」
金 旋「全然お呼びじゃない!
    お前は荊州の守備を任せてあるだろう!
    こっちまで来なくてよし!」
黄 祖「ちぇ、つまらんのう」

黄祖はとぼとぼと出ていった。

金 旋「……霍峻に言っとこう。
    『黄祖から目を離すな』と」
金玉昼「別に、そこまでしなくてもいいんじゃないかにゃ」
金 旋「……なんで?」
金玉昼「いてもいなくてもあんまり変わらないし」
金 旋「なるほど。それもそうだ」

酷い言われようである。

金玉昼「で、本命って言うのは、司馬懿さん?」
金 旋「いや。不満たまりまくってる奴がいるので、
    ガス抜きを兼ねてそいつを出す」
金玉昼「あー」
金 旋「まずは、郭淮の隊でどこまで戦えるかだな。
    徐晃の隊を圧倒するくらい活躍するといいのだが」
金玉昼「んー。別な意味で圧倒はすると思うにゃ」
金 旋「別な意味……?」

郭淮隊は河南城塞を出撃。
甘寧隊と入れ替わるように、徐晃隊に攻撃を仕掛ける。

郭 淮「騎馬隊を展開させろ!
    徐晃に我らの力を見せてやれ!」

初めて金旋軍と相対している徐晃とその部隊。
彼らは、新手の郭淮隊を目にして、圧倒された。

   徐晃徐晃

徐 晃「な、なんだ奴は!?
    金旋軍にはあんなのがいるというのかっ!?」
兵 E「将軍! 兵たちが怖がっております!」
徐 晃「ええい……奴とて人間のはず!
    恐れるな、と伝えよ!」
兵 E「は、ははっ!」
徐 晃「くっ、金旋軍……。噂以上に凄い軍かもしれん!」

徐晃の視線の先には、郭淮隊の先鋒の将の姿があった。

   蛮望蛮望

蛮 望「おーっほっほっほ!
    さあ、命の惜しくない者はかかってらっしゃい!」
兵 F「ひいいい、化け物っ!」
蛮 望「んまっ……なんてことを!
    ええい、あんたなんかこうしてやるわ!」ズバッ
兵 F「ギャーッ!」

郭 淮「……流石は蛮望将軍。
    キモさと強さを持ち合わせた、ある意味最強の将だ」

その蛮望の活躍に、敵は震えあがり、
また味方も寒気を覚えたという。
そして……。

ジャーンジャーン

徐 晃「何事だ!」
兵 E「新手です、将軍!
    魏の旗の部隊が現れました!」
徐 晃「なにっ、魏の旗……!?」

  魏延魏延

魏 延「魏延文長ここにあり!
    さあ、死にたくなければ道を開けろ!」

  楽進楽進   韓遂韓遂

楽 進「張り切っているな……」
韓 遂「前に出た時は司馬懿の副将だったしな。
    かなり不満が溜まっていたようだ。
    そりゃあ、張り切りもしよう」
楽 進「そういえば、その司馬懿。
    忙しそうに何か準備していたが……。
    お主、何か知ってるか?」
韓 遂「うむ、知っている」
楽 進「知ってるのか。じゃ、教えてくれ」
韓 遂「実は、司馬懿はな……」
楽 進「うむ……」

韓 遂胸のサイズは89だそうだぞ!

楽 進「……お主に聞いた私が馬鹿だった」
韓 遂「冗談じゃい」
楽 進「で? 司馬懿は何の準備を?」
韓 遂「知らん」
楽 進「……はぁ」

   魏光魏光

魏 光「司馬懿さんは89だって……?
    鞏恋さんよりも大きいということか」

   鞏恋鞏恋

鞏 恋「聞こえてるよ」
魏 光「おわああああっ! 鞏恋さんっ!?」
鞏 恋「どこで私のサイズを知った?」
魏 光「い、いや、知りません! あくまで憶測です!」
鞏 恋「ふーん……」
魏 光「それより戦闘中です、戦いに集中しましょう!」
鞏 恋「はいはい、そっちもね。いくよ!」
魏 光「は、はい〜」

楽進・韓遂・鞏恋・魏光を従えた魏延隊3万5千は、
徐晃隊の側面を襲った。

河南

徐 晃「くうう……これで敵兵の数はこちらの倍か!
    どうやって持ち堪える……?」
兵 E「大変です、将軍!」
徐 晃「今度は何事だ!?」
兵 E「兵たちが騒いでおります!
    敵の間者が紛れ込み、良からぬ噂を流した模様!
    部隊が混乱しております!」
徐 晃「お、おのれっ……」

   司馬懿司馬懿

司馬懿「ふ、他愛のない……。
    さて魏延どの、後は貴方の手並み次第……」

魏 延「徐晃隊は混乱している! 今が好機だ!」
楽 進「ならばまず私が! 突進!」

混乱を起こしている徐晃隊に対し、楽進が突進していく。

徐 晃「楽進どのっ……!
    曹操様を裏切り、そして我らに刃を向けるのか!」
楽 進「元の主君を裏切って曹操軍に入った、
    お主らしくもない言葉だな!」
徐 晃「むむっ……」

魏 延「楽進は上手く斬りこんだようだな」
韓 遂「……では、次は私が行こう。
    よく見ているのだな、私の突撃を!」

楽進に続いて、韓遂の突撃。
これを見て、魏延は突撃を習得する。

なおこの時、郭淮隊からも刑道栄が突撃。
騎馬隊最強の攻撃を連続で食らい、
徐晃隊は多くの兵を失った。

刑道栄「見てましたか韓遂師匠! やりましたぞーっ!」
牛 金「いつの間に師弟関係に……」

魏 延「では、次は私の番だな!
    我が名は魏延!
    金旋軍随一の武……受けるのは誰だ!」
徐 晃「ふん……荊州の犬が吼えよるわ!
    我が戦斧のサビにしてくれん!
    我は徐晃、冥土の土産に覚えておけ!」
魏 延「わかった、帰ったら家のメイドに教えてやろう」
徐 晃「メイド違いだっ! うらあっ!」

魏延:武力95 VS 徐晃:武力91

魏延の薙刀と、徐晃の戦斧が交差する。
部隊の大将同士の一騎討ち。
互いに負けられぬ戦いだったが、それでも決着の時は来る。

魏 延「とあああっ!」

魏延の放った一撃。
しかしそれは徐晃を捉えることはできず、
魏延はバランスを崩し隙が出来てしまう。

徐 晃「頭ががら空きだぞ……貰った!」

徐晃の戦斧は、そのまま魏延の頭に振り下ろされ……。

 ガキッ

徐 晃「ガキッ……って」
魏 延「うおおおおお!
    ハリケーンミキサー!
徐 晃「なにぃぃぃ! そんな非常識な〜っ!」

魏延は、自らの『反骨』で戦斧を受け止め、
そのまま必殺の技で戦斧ごと徐晃を跳ね上げた。
そして徐晃は、長い滞空の後に地面に叩きつけられる。

徐 晃「ぐっ……。あ、ありえん……」
魏 延「ありえんか……。だがな徐晃」
徐 晃「な、なんだ」
魏 延ありえんが故の金旋軍よ!
徐 晃「わ、訳が分からん!」

徐晃を倒したことで、意気上がる魏延隊。
一方の徐晃隊は、大将の負傷からますます不利に立たされる。

その徐晃隊の危機を見たからなのか、
洛陽から曹操隊2万が出撃し、戦場へと向かう。
また、孟津港方面より曹操軍の新手が向かっていた。

洛陽を巡る攻防は、まだまだ続く……。

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