215年3月
河南に建設された金旋軍の城塞、河南城塞。
これくらいの規模の城塞ともなると、
剣や鏃(やじり)などを自給できるほどの工房を備えている。
そこから、鍛冶工の鋼を鍛える音が聞こえてきた。
カーンカーン
魏光
鞏恋
魏 光「……あれ、鞏恋さん?
こんなところで何やってるんです?」
鞏 恋「武器作ってもらってる」
魏 光「あー。前回、槍も剣もなくしちゃいましたからねえ」
☆前回のおさらい☆
鞏 恋「槍がダメなら、剣で……」
李 典「剣を取り出すか……ならば次はこれだ!
李典酸!」
李典が袋から取り出した黒い液体を撒き散らすと、
鞏恋の頭上に振り掛かり、剣や鎧に付着した。
その途端、シュウシュウと音を立て、
付着した部分が消失してしまう。
鞏 恋「……いやああああっ!」
李 典「ふっふっふ、なかなか見ごたえがあるな。
剣も鎧もこの李典酸で全て溶かしてやる!
さあ、素っ裸になってもらおうか!」
鞏 恋「だ、誰か助けてぇっ!」
☆おさらい終わり☆
魏 光「その危機に陥った鞏恋さんを、私が無事救出、
そして二人はひしと抱きあ……」
鞏 恋「いっぺん死んでみる?」
魏 光「……ごめんなさい。嘘です。
ホントは、溶けたのは剣と鎧だけです。
で、鞏恋さんが逆転勝利を収めました」
鞏 恋「ん」
魏 光「新しい武器は、槍なんですか?」
鞏 恋「いや……もう少し使いやすいのにした」
魏 光「へえ」
鍛冶工「出来上がりましたぞ。見てもらえますかな」
鞏 恋「わかった」
魏 光「じゃ、私は用があるんで失礼し……」
ジャジャーン
魏 光「……ちょっと待ってください」
鞏 恋「ん?」
魏 光「なんですかこれは!?」
鞏 恋「作ってもらった武器」
魏 光「それは経緯を見てればわかりますが。
これって、金属バットじゃないですか?」
鞏 恋「ん、金属バットだけど」
魏 光「そ、そうですよね、バットのわけが……。
ってやっぱりバットじゃないですかあ〜!」
鞏 恋「最初からバットだと言ってる」
魏 光「そ、そうですか。でも何でバットなんかを武器に!?」
鞏 恋「金属で出来てて堅い。折られることがない。
最近のバットは軽量化されてて扱いやすい。
これで殴られると痛いどころでは済まない。
……こんなにいい面がある」
魏 光「た、確かにいい面はありますけど。
世界観というものが……」
鞏 恋「今更ガタガタ言わない。
……試し斬り第一号になってみる?」
魏 光「い、いや、あの、試し斬りったって……。
バットの場合、試し殴りって言うのでは?」
鞏 恋「ごちゃごちゃうるさい!」
コーン!
魏 光「あだーっ!」
鞏恋の武装が変更されました。
槍 → 金属バット
☆☆☆
河南を抑えた金旋は、洛陽攻略のための軍を送り込む。
司馬懿に金玉昼・甘寧・魏光・張常らの将、
そして3万5千の兵を預け、洛陽へと赴かせた。
魏延
金旋
魏 延「甘寧は連れていかれて、
何故、私が留守番なのですか!?」
金 旋「何故って言われてもな……。
じゃお前、司馬懿に命令される立場でよかったのか?」
魏 延「そのようなものは却下です!」
金 旋「結局どっちだよ」
魏 延「甘寧はどうでもよいのです。
私が聞きたいのは、何ゆえこの度の大将に、
私ではなく司馬懿を選んだのか、ということです!」
金 旋「ああ、そっちか。お前もたいがい頑固だな」
魏 延「は、そういう性分ですゆえ」
金 旋「ふむ、まあいいだろ。まずはひとつ。
司馬懿を実戦に出したかったというのがある。
まだ、建設部隊でしか実績がないからな。
以前にお前が言ったように、
司馬懿の力を証明させてやらねばならん」
魏 延「むむ……確かに。
まだ、何も見せてもらっておりませんが……」
金 旋「それにもうひとつ。
曹操を相手にするこの上洛の戦いは、
それこそ一手一手が重要になる。
そのため、冷静な将の方を優先して使いたいのだ」
魏 延「なんと……私がヘマをするとお思いですか!?」
韓遂
韓 遂「ヘマというよりはむしろ、
命令通り動いてもらわないと困るってことだろう」
魏 延「むっ……。
人を命令違反の常習者みたいに言わないでもらおうか」
金 旋「お、韓遂か。いいところに来たな。
……じゃ魏延、ひとつ聞くぞ。
自部隊の兵がまだ健在で、敵部隊が城から出てきた。
しかし退却命令が出されている。さて、お前はどうする」
魏 延「敵に後ろを見せる訳には行きませぬ。
その部隊と一戦し、駆逐してから退きます」
金 旋「……まあ、そう言うと思ったが。
では韓遂、お前なら?」
韓 遂「ふむ。状況次第ではあるが、
とりあえず命令通りにすぐ退却しますな」
魏 延「むっ、それでは後背を襲われるぞ」
韓 遂「敵をおびき寄せるための退却かもしれんし、
そこに留まっていると危険だから退け、
ということかもしれん。
まず重要なのは、命令に従い作戦を遂行すること。
それが第一だ」
魏 延「むむ……」
金 旋「まあ、そういうことだ。
今回の戦いはどうしても長丁場になるだろう。
そうなると、退却命令通りにすぐ戻ってもらわないと、
作戦を考える側としてもやりにくいのだ」
魏 延「そういうことでしたら……。
最初からそう言っておいていただければ、
私もすぐに退却させるでしょう」
韓 遂「さて、それはどうかな」
魏 延「なにっ?」
金 旋「そういきり立つな。魏延には城攻めよりも、
出てきた敵部隊の殲滅の方を任せたいと思っている。
だから今回は我慢してくれ」
魏 延「は。そういうことでしたら」
金 旋「それにどっちかというと今回の派遣は、
育成の方がメインだったりするからな」
魏 延「……育成?」
金 旋「ま、帰ってくるのを待ってな」
☆☆☆
派遣された司馬懿隊は、洛陽へ到着。
城への弩による攻撃を開始する。
金玉昼
金玉昼「当たれにゃー!」
ブス (矢が尻に命中)
傅士仁「おおっふ!」
金玉昼の連弩で、守備将の一人、傅士仁が軽傷を負う。
また、張常も連弩で攻撃。大量の矢の雨を降らせる。
これを見て、魏光のこめかみ付近にピキーンと光が走った。
魏 光「むっ……見切った!
連弩の扱いを理解したぞ!」
金玉昼「見切ったも何も……。
目の前で見せてるんだし」
魏光、そして甘寧が連弩を習得した。
荊州から戦いに参加してきた将の多くは、
城攻めの際に、常に弩兵を扱ってきていた。
そのため、数名の将は、弩兵法最高奥義(?)である
『連弩』を扱えるレベルにまで達してきていたのである。
金旋はこの緒戦を、彼らが連弩を覚える機会にと考え、
武将の教育や武関守備等で覚えていた金玉昼や張常から
彼らが習得できるようにと、この部隊に派遣したのだった。
甘寧
司馬懿
甘 寧「よし、連弩の扱い方は憶えた。
後は練度を上げるだけだな!」
司馬懿「……甘寧どの。そういうのは、
『オヤジギャグ』というのではないですか?」
甘 寧「オ、オヤジとは失礼な!」
金玉昼「……もう立派にオヤジの歳だにゃ」
魏 光「まあ、見た目は若いですが。
中身は歳相応なんですかね」
戦いながら、将に経験を積ませる。
金旋は先を見据えた戦い方を常に取っていた。
☆☆☆
4月。
季節も夏となり、冷やし中華が美味い頃である。
今日の金旋の昼食も、冷やし中華であった。
金旋
下町娘
金 旋「いやあやっぱり夏は冷やし中華に限るなあ。
……(ジュルジュル)……」
下町娘「あれ? 金旋さまはマヨネーズつけないんですか?」
金 旋「ふん、マヨネーズを使うなど邪道!
酢の効いた醤油だれ、そしてカラシだけで味わう!
それが冷やし中華の王道というものだ!」
下町娘「王道ですか……。残念ですねえ。
マヨネーズかけの冷やし中華も美味しいのに……」
ぶちゅうううう (マヨネーズをかける音)
金 旋「……マテ。それはいくらなんでもかけ過ぎだ」
下町娘「え? これくらいが美味しいんですよ」
ぐーるぐる
金 旋「……とぐろ巻いてるぞ」
下町娘「いいんですよ、これくらいで。
マヨネーズのほのかな酸味とまろやかさが、
たれ酢のとがった酸味を包んでくれるんです」
金 旋「それは単にマヨネーズ味にしてるだけ、いやむしろ、
『冷やし中華味のマヨネーズ』という感じだが」
下町娘「こういうのは人それぞれですから。
ほっといてください……(じゅるる)
んー、おいちー」
金 旋「……うーむ」
郭淮
郭 淮「武将刑事カクワイダー、入室致します」
金 旋「おー、郭淮」
郭 淮「私の名は武将刑事カクワイダー!」
金 旋「はいはい、わかってるよ。
略称で郭淮って呼んでるんだ。
で、どうかしたのか」
郭 淮「は、呉の孫権から書状が参ったのですが……。
御食事中でしたら、また後に」
金 旋「ああ、別にいいぞ。
手紙なら、食いながらでも見れるし」
郭 淮「では……。これにございます」
金 旋「どれどれ……」
下町娘「あ、郭淮さんは、お昼ごはん食べました?」
郭 淮「いえ、まだです」
下町娘「あ、それなら冷やし中華食べます?
一人前くらい残ってますけど」
郭 淮「左様ですか? では遠慮な……
(マヨネーズてんこ盛りの下町娘の皿を見て)
……いえ、遠慮します」
下町娘「そうですかー」
金 旋「……不安なら自分でよそえ。それなら安心だろう」
郭 淮「はっ、そう致します……」
下町娘「なんか気にかかりますね……。
ま、それはそれとして、手紙の内容は一体?」
金 旋「反曹操連合の呼び掛けだ。
『曹操の暴虐に対し、力を合わせ立ち上がるべし』
……と書かれている」
下町娘「連合ですかー。確か連合組むと、
その勢力間では戦争にならないんですよね」
郭 淮「正確には戦いを仕掛けること自体は可能です。
しかし、それをすると信望を失う諸刃の剣。
素人にはお奨めできません」
金 旋「しかし、連合組むと盟主の勢力がボーンと
信望が上がっちゃうからなー。
あんまり俺としてはやりたくないかなー」
郭 淮「何を言っておられますか……。
今回連合を組めば、盟主となるのは金旋さまです」
金 旋「へ? そうなの? 孫権じゃないの?」
郭 淮「はい、孫権は盟主にはなりません。
信望の一番高い勢力が、無条件で盟主となります。
すなわち、それは我が軍であり、金旋さま、貴方です」
金 旋「そ、そうなのか、へー知らんかった。
そうかー盟主かー、へっへっへ。
よーしパパ盟主になっちゃうぞー!」」
下町娘「……安易ですねえ」
金 旋「いや、盟主だよ? リーダーだよ?
いわば、いかりや長介だよ?」
下町娘「長さんはあんまりいいポジションじゃないような……」
金 旋「はっはっは、まあいいじゃないか!
よーし郭淮、連合参加の返事を出すように!」
郭 淮「わかりました。
では、その書状を御渡しください」
金 旋「ん? なんでだ?」
郭 淮「この書状、往復はがきになっておりまして。
参加の際は、この欄に○をつけて送り返すようにと」
金 旋「おお、確かに欄が……。こりゃ参ったな」
下町娘「ん? 何が参ったんですか?」
金 旋「いや、冷やし中華食いながら見てたもんだから。
ほれ、たれがハネて……」
下町娘「うわあ、汚い……。
それを送り返すのはものすごく失礼ですねー」
郭 淮「……わかりました。私が書き直して送ります」
金 旋「おー、すまんな郭淮」
郭 淮「私の名は武将刑事カクワイダーです!」
金 旋「はいはい、わかってるってー」
215年4月。
金旋を盟主に、反曹操連合が結成された。
参加勢力は、金旋、孫権、馬騰。
劉璋と饗援からは返事はなかった。
金 旋「劉璋は大体想像してたが、饗援が不参加とはな」
下町娘「曹操とは領地が接してませんからねー。
別に気にしなくてもいいんじゃないですか?」
金 旋「ま、これで孫権・馬騰と協力して曹操を叩けるんだ。
いいことづくめで良かった良かった」
下町娘「盟主にもなりましたしねー」
金 旋「ふ、盟主か……良い響きだ」
下町娘「よっ、盟主さまー」
金 旋「ぬっふっふ、良いのう〜」
韓遂
韓 遂「盟主。少しよろしいですかな」
金 旋「おう韓遂。どうしたどうした」
韓 遂「この度、見所のある若者を抜擢致しました」
金 旋「ほう、抜擢か。久しぶりだな。
で、どのような人物だ?」
韓 遂「は、魏緒(ギショ)と申す者で、統率力に優れます」
金 旋「魏緒……なんか魏姓が多いな、我が軍は」
韓 遂「魏延・魏光、魏劭と三人おりますからな」
金 旋「よし、では魏延に預けることとしよう。
同姓ということで教育も熱心にするだろうし」
韓 遂「あ、お待ちくだされ。
私としては、魏延よりも司馬懿にお願い致したい」
金 旋「ん? 何故だ?」
韓 遂「司馬懿は統率力に優れ、また計略などにも通じている。
一軍の大将を育てるならば、司馬懿の方がよいかと」
金 旋「ふうむ……。
確かに、魏延では直接攻撃系しか覚えられんな。
計略・謀略に通じる将を育てるには、司馬懿がよいか。
……で、本音は?」
韓 遂「教育するとなれば朝から晩まで一緒にいることになるし、
後で司馬懿の生態を教えてもらおうかと……」
金 旋「……正直だな」
韓 遂「できればワシ自ら、教育してもらいたいところだがな!
ぶわっはっは!」
金 旋「町娘ちゃん、ちょっとお灸据えてやって」
下町娘「はーい、わかりました。
韓遂さん、こっち来てもらえますか?」
韓 遂「ウホッ、下町娘ちゃんが教育してくれるのかの?」
下町娘「まあそんなところです」
下町娘と韓遂は、隣りの部屋に入っていく。
そしてしばらくして、韓遂の奇声が聞こえてきた。
韓 遂「あ、あああっ! や、やめてくれぇぇぇ!」
下町娘「ダメですよ。では、ここにこれを……」
韓 遂「あつっ! あづづづづ!」
下町娘「そりゃ熱いでしょうねえ。
でも我慢しないとダメですよー」
韓 遂「か、勘弁してくれ! ワシにこんな趣味はない!」
下町娘「そりゃ、普通の人は趣味ではやらないでしょうね。
はい、今度はこっち」
韓 遂「あぢぢぢぢぢ!」
下町娘「まあ、お灸ですから。我慢してください」
韓 遂「それにしてもあづづ、少し多すぎないかあぢっ」
下町娘「そういう教育です♪」
韓 遂「と、との〜。お助けぇ〜」
金 旋「……ま、いい薬だろう。健康にもなるだろうし」
韓遂の抜擢した魏緒が、司馬懿の下で教育されることとなった。
早速、洛陽を攻撃している司馬懿の下に送られ、
教育が開始される。
そして5月。
新たに洛陽攻撃の部隊として
郭淮隊3万5千(金閣寺・于禁・牛金・楽淋)、
韓遂隊3万(秦綜・謝旋・呂曠・鞏恋)を派遣。
どちらの部隊も攻城兵器を使わずに通常陣形を採用。
短期で洛陽を陥落させるというよりは、
長期戦で防衛網の弱体化を狙う部隊であった。
曹操
諸葛亮
曹 操「ふ……金旋め。
攻城兵器を使わず、じわじわと攻めるつもりか。
しかし長期戦なら、こちらとて対処しようはある」
孔 明「はっ。まずは堅く守り、増援を待ちましょう。
10万の兵が押し寄せようと、城の中にいれば
そうそうやられるものではありません」
曹 操「曹操だけに、そうそうやられん……。
そういうことか」
孔 明「……別にシャレのつもりはなかったのですが。
えー、敵部隊の構成が報告されております。
郭淮隊・韓遂隊ともに騎射部隊が多い模様です。
こちらの書簡が詳細になります」
曹 操「ふむ……郭淮、于禁、牛金、楽淋、呂曠。
少し前まで我が軍にいた将ばかりだな……」
孔 明「捕虜となった後に登用された者ばかりです。
こればかりは、しょうがありますまい。
彼らを捕らえ、再度説得なされませ」
曹 操「うむ。しかし金旋は、
人をたらしこむのが上手いようだな。
于禁や楽進をこうもあっさりと寝返らせるとは」
孔 明「天下の風聞を上手く利用しておるのでしょう。
今や仁政を布く名君と呼ばれております。
閣下も、天下万民の信望に気を配られますよう」
曹 操「うむ……以前はそのようなこと気にしてなかったが、
こうも将を奪われていくと流石に考えるな。
私も金旋の将を配下に奪いたいものだ」
孔 明「ほう……かの軍に、閣下のお目に叶う者が?」
曹 操「なかなかどうして、金旋軍も侮ったものではない。
中でも甘寧という将、奴は素晴らしい。
是非とも我が配下に加えたい将だ」
孔 明「甘寧でございますか。
確かに一軍の将として素晴らしい人物……。
そういえば、今回洛陽を攻めている司馬懿隊に、
甘寧もおるとか」
曹 操「……なにっ。それはまことか」
孔 明「は、物見からの報告では」
曹 操「そうか……そうか甘寧が来ておるか!
よし、出陣だ! すぐに仕度をしろ!」
孔 明「……は?」
曹 操「ええい、出陣だと言っている!
兵2万5千、早く準備をせんか!」
孔 明「い、いや、閣下。先ほど堅く守ると……」
曹 操「甘寧がいるのだぞ!
捕らえて我が配下としてやるのだ!」
孔 明「そ、そんな、無謀でございます! ご再考を!」
曹 操「ええいうるさい! とっとと用意をしろ!
ふふふ、甘寧……今度は逃がさぬ!」
孔 明「……だめだこりゃ」
曹操は状況不利な中、あえて2万5千の兵を率い出撃。
司馬懿隊に攻撃をしかける。
司馬懿「ふっふっふ……お馬鹿さんですね、曹操。
甘寧どの、殲滅しますよ」
甘 寧「了解した……うっ」
司馬懿「……どうかしましたか?」
甘 寧「い、いや……何か悪寒がしたのだが。
大丈夫だ、気のせいだろう」
曹 操「甘寧……甘寧甘寧甘寧! ふふふふふふふ」
金旋軍の三部隊は、出撃してきた曹操隊を包囲。
司馬懿、郭淮、韓遂の指揮の下、これを殲滅する。
流石の曹操も、3倍以上の兵力の差を跳ね返すことは、
どうあがいてもできなかったのである。
結局、曹操は貴重な兵力を失っただけで、
ほうほうのていで洛陽へと逃げ帰った。
曹 操「くうう……甘寧が……私の甘寧が……」
孔 明「かの者を捕らえる機会などは、
後にいくらでもありましょう。
それより、減った兵力はどうされますか。
このままでは危険です」
曹 操「……兵力? そうだな、虎牢関から連れて来い。
今は、守備兵として2万が常駐している。
それを全てこちらに回せ」
孔 明「虎牢関の守備はどうされますか?
別働隊を送られて占拠されるかもしれません」
曹 操「ふ、それはない」
孔 明「……ない? どうしてでございますか」
曹 操「金旋は堂々とこの洛陽を落とすつもりだ。
今更、我が軍の分断を図るような、
そんなセコイ真似はせん」
孔 明「そうでしょうか。効率を考えれば、
洛陽を孤立させ援軍を入れさせないのが上策。
それをせず、ひたすら攻撃をするなど……」
曹 操「諸葛亮。全て効率だけで語ろうとするな。
金旋は実よりも名を重んじる男なのだ」
孔 明「は……」
曹 操「……まあ、倚天の剣や馬を望んだりと、
俗っぽいところもあるがな。
しかし目先のことのみにとらわれる者であれば、
ここまで勢力を伸ばしてはいないだろう。
とにかく、虎牢関の兵をこちらに回せ」
孔 明「承知致しました」
曹操軍は、減った洛陽の守備兵の補充に、
虎牢関の守備兵を充てた。
数日のうちに、虎牢関より2万の兵が到着。
金旋軍はこれを見て、一時部隊を河南城塞に退却させた。
洛陽の攻防は、まだまだ続いていく。
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