213年10月
新野の戦いの後、金旋は自らの足場固めを進めた。
7月には朝廷より使者を迎え、荊州牧から荊州刺史へと昇進。
また、鞏恋が抜擢した将である秦綜が宛城に合流した。
秦綜(シンソウ) 統率82 武力85 知力49 政治41
性格:剛胆 兵法:奮闘・走射・飛射・連射・連弩・井蘭など
8月・9月には、捕虜の文聘、凌統、劉曄、陳震、陶応の登用を行う。
内政では、宛城での探索を強化し、
傷寒雑病論(※1)、双鉄戟(※2)を発見。
また、秦綜・魏延が虎を退治して名を挙げた。
(※1 張仲景という人が書いた医術書。
漢方医学についていろいろ詳しく書いてあある)
(※2 曹操配下であった典韋愛用の戟。重さは八十斤)
☆☆☆
そして10月。
金旋は、朝廷よりこの年3度目の使者を宛城に迎えた。
金旋
使 者「陛下のお言葉を伝える。
『金旋、あんためっぽう強いから、
この際、中郎将にするけんね』
……お言葉は以上である」
金 旋「ははぁ〜(……けんね?)」
儀式は滞りなく行われ、金旋は中郎将の印綬を渡された。
役目を終えた使者に、魏延が労いの言葉をかける。
魏延
魏 延「さ、御使者殿、宴席の用意をしておりますのでこちらへ。
此度は以前とはまた違う趣向のものを用意しております」
使 者「確かに何度も同じだと飽きるがのう……。
何か珍しいものでもあるのか?」
魏 延「はっ、牛の脳・脊髄を調理したものを用意致しました。
また、『南蛮BSE踊り』を披露させていただきます」
使 者「ほう。それは聞き慣れぬものだのう。どんな踊りなのじゃ」
魏 延「は、『B・S・E! B・S・E!』と周りが掛け声をかけ、
着ている服を脱いでいく踊りでございます」
使 者「ほほう、それは面白そうじゃ……ムッフッフ」
南蛮BSE踊り。その起源はかなり古く、
前史時代の洞窟の壁画にも描かれている。
その写真が下図である。
さて宴席では、BSE踊りに出てきた蛮望に対し、
大ブーイングの嵐が起こった。
蛮望
蛮 望「うっふん、いらっしゃぁ〜い」
使 者「な、何だアレは!?
美女が脱いでいくのではないのか!」
魏 延「も、申し訳ありません、提案者があの者です故……」
使 者「何が楽しくてオカマの脱衣シーンなど
見なくてはならんのじゃ!?」
魏 延「はぁ、私もそう思……いえいえ。
ほら、オカマショーとかあるではありませんか。
そういうノリです。騙されたと思って見てやってください」
しぶしぶ使者たちは蛮望に目を戻す。
しかし、踊りが進むにつれて場は大爆笑の渦に。
『B・S・E! B・S・E!』
蛮 望「おーっほっほ、次はこれを脱いでいくわよ〜」
使 者「ぶわはははは! なんと滑稽な!」
そこへ、飛び入りで舞台に上がる人物が一人。
黄祖
黄 祖「お主にだけいい格好はさせんぞ!
金旋軍最年長のこの黄祖も披露しようぞ!」
蛮 望「うっふっふ、負けないわよ」
この世のものとは思えない光景が舞台上で繰り広げられたが、
あまりにも変すぎて突き抜けていたために、
逆に都会育ちの使者たちには大ウケであった。
しかし、接待役だった魏延には、
彼らの踊りを見ることはかなりの拷問であったようだ。
甘寧
甘 寧「……大丈夫か? かなり青ざめているが」
魏 延「おえっぷ……。すまん、交代してくれ」
甘 寧「……判った。後の接待役は任せろ」
だが、その交代した甘寧もしばらくした後、
楽進に交代を願い出るのだった。
☆☆☆
金旋
金玉昼
下町娘
金 旋「……というわけで、中郎将(※信望300以上で任命)だ!」
金玉昼「おめでとーにゃー」
下町娘「おめでとうございます〜」
金 旋「つい半年前まで無官だったとは思えんな。はっはっは。
何しろ中郎将だもんな!」
下町娘「すごいですねー。で、ちょっと聞きたいんですけど」
金 旋「ん?」
下町娘「ちゅーろーしょーって何ですか?」
金 旋「……あー」
下町娘「いや、偉いんだってのは判るんですけど。
州牧とか州刺史とかは判りやすいですけど、
それと比べると、イマイチ想像がつかないので」
金 旋「……玉、頼む」
金旋に託された金玉昼は、コホンと咳払いをすると、説明し始める。
金玉昼「中郎将というのはにゃ。
元々は皇帝の身辺を警護する『郎』を率いる官を言いまひる。
いわゆる、近衛軍の軍団長さんにゃ」
下町娘「へぇ〜、そうなんだ。
でも、それが州の偉い人である州刺史とかよりも偉いの?」
金玉昼「もちろん、と言いたいとこだけど、少し微妙なとこなのにゃ。
地方の職よりも中央の職の方が権威は高いけど、
州の規模によって実力も変わる刺史・牧と違い、
中郎将は権限が限定されていまひる」
下町娘「じゃあダメじゃないですか。実質降格ですよ」
金 旋「いや、現在での官爵は、
名誉を与えるだけのものになって来てるんだ。
だから別に権限は問題じゃない。
権威が上であれば、それだけ兵も民もついてくる。
ただそれだけだよ」
下町娘「ふーん、そんなもんですか」
金 旋「ま、ステータスって奴だな。
では、皆の爵位を上げてやるとするか……」
下町娘「ワクワク」
金 旋「……町娘ちゃんはまだダメな」
下町娘「ガーン!」
武官・文官ともに、序列はほぼそのままに昇進する。
ただし、文聘や劉曄など、一部重用すべき者たちには
多少上の位が与えられた。
☆☆☆
場所は変わり、江陵。
鞏志らがいるこの地に、宛から一人の将が派遣されていた。
李厳
鞏志
李 厳「お初にお目に掛かります。李厳にございます」
鞏 志「鞏志です。お役目、ご苦労さまです」
李 厳「あなたが鞏志どのですか……。ご高名はかねがね」
鞏 志「ははは、噂ばかりが先行して、中身がついて来てませんが」
李 厳「ご謙遜を。……さて、早速で申し訳ないのですが、
すぐに出立致しましょう」
鞏 志「ええ、準備は整っております。では、行って参りますよ」
趙 樊「いってらっしゃいまし〜」
趙樊に見送られ、李厳・鞏志は1万5千の兵を引き連れ、
江陵の西、夷陵へと向かった。
夷陵は永安と接している、なだらかな丘陵の広がる平野である。
南には長江の流れがあり、豊かな水の恵みがもたらされる地だ。
永安は現在、劉璋領であり、
夷陵と永安の境界線がそのまま国境となっている。
李 厳「……その永安に、不穏な空気あり、と?」
鞏 志「ええ。劉璋もここの所は、饗援領へ侵攻しておりません。
兵が永安に集められており、そのために
江陵・襄陽との戦力バランスが崩れてきています」
李 厳「それで、手遅れにならんうちに城塞を建設しておこう、と」
鞏 志「ええ、そう殿に上申したのですが……。
まさか李厳どのが派遣されるとは思いませんでした」
李 厳「城塞の建設で劉璋軍を刺激する恐れがあり、
仕掛けられた時に防げる者が必要であろう、ということでした。
今の江陵には兵の指揮に優れる者はいない、と」
鞏 志「ははは、実際そうなんですが」
李 厳「それで、城塞の完成後はどうするのですか?
私は完成後は戻るように言われておりますが」
鞏 志「城塞に駐屯する者ですか? それは私がやりますよ」
李 厳「……鞏志どのが? 失礼だが、あなたでは……」
鞏 志「あまり適任ではありませんね」
李 厳「いや、あなたは我が軍の重鎮です。
もしものことがあっては困ります」
鞏 志「いや、ここだけの話なんですが……。
この地で骨休めでもしたい気分だったもので」
李 厳「……骨休め?」
鞏 志「ええ、江陵は少し気忙しい町です。
静かなところで過ごしたいものだな、と」
李 厳「はあ。まあ、そこまでおっしゃるなら」
鞏 志「城塞作ったら、中に温泉でも作りましょうかね」
李 厳「……(意外と俗人なのだな……)」
夷陵に城塞を建設し、そこへ1万の兵と共に鞏志が留まる。
李厳には骨休めと言ったが、鞏志の本音は違っていた。
鞏 志「劉璋との戦いになれば、この城塞にいる者はかなり危険だ。
だからこそ、他の者を危険に晒すわけにはいかない……」
女の声「何をブツブツ言っておられるんですか?」
鞏 志「ギャーーーーーーーー!」
自分一人だけしかいない、と思っていた鞏志は、
いきなり背後から声を掛けられて絶叫した。
趙樊
趙 樊「な、なんですか! 人をバケモノみたいに!」
鞏 志「……な、なんだ、趙樊さんですか」
趙樊。桂陽太守であった趙範の娘(三国志演義では兄の妻)である。
桂陽陥落以降は金旋に仕えており、鞏志が江陵に移ってからは、
彼の秘書のような役割を担当していた。
将としては不適格だが、内政においての才はなかなかのものがあり、
また目鼻立ちのくっきりとした美貌の持ち主であった。
趙 樊「はい、しばらくこちらで探索任務に当たるようにとの、
殿からのご命令ですので」
鞏 志「いや、探索なら私がやりますが……」
趙 樊「それと、鞏志さんがストレスで倒れたりしないか監視しろ、
とのことでした」
鞏 志「……やれやれ、殿も心配性ですね」
趙 樊「でも、監視役も必要だと思います。
さっきみたいなこと言ってるようであれば、特に」
鞏 志「ああ、聞こえてましたか……参りましたね。
しかし、ここならば劉璋・饗援の動きもすぐ伝わります。
それを殿にお伝えしたり調整したりするには、
私自らがここにいた方がいいと思いましたので」
趙 樊「それでしたら、やはり私もいた方がいいですね。
雑用の類は、私が引き受けますから」
鞏 志「すいませんね」
鞏志・趙樊は、しばらくの間この夷陵に留まることとなる。
彼らの出番は、またしばらく後に……。
趙 樊「もっと出番増やしなさいよー」
鞏 志「まあまあ……忘れられてる人たちよりはマシな扱いですよ」
○長沙
劉 巴「ふえっくちん!」
潘 濬「ぶえっくしょい!」
劉 巴「……これはまた、同時になりましたね」
潘 濬「ずず……そうですな。風邪ですかな?」
劉 巴「いや、鳥インフルエンザかも……」
潘 濬「げ……」
劉 巴「いや、そんな蒼ざめないでください。冗談です」
潘 濬「ふう、体調には気をつけよう」
劉 巴「それより、よろしいのですか?
集まった兵を江陵まで連れていくのでは?」
潘 濬「おお、そうだった。そろそろ出なければ。
劉巴どのは何の仕事を?」
劉 巴「私はまたお助け隊ですよ」
潘 濬「ご苦労さん」
この他、荊南の都市は似たり寄ったり。
戦もなく、平穏に時は過ぎていくのだった。
☆☆☆
金旋が国内を固めている時期。
その外の様子はどのようになっているのであろうか。
この時期、金旋軍以外の勢力には、3つの対立の構図があった。
曹操と孫権。同じく曹操と馬騰。そして劉璋と饗援。
それぞれの状況を、地図を交えて解説しよう。
<曹操 VS 孫権>
曹操と孫権の戦いは、陳留での孫権軍の敗走の後は、
曹操軍が有利に事を進めていた。
もともと、自力の差では曹操に軍配が上がる。
疲弊した孫権軍の占領都市を、曹操軍はジワジワと奪い返しつつあった。
青州の北海もそのひとつ。
曹操軍の軍師、賈駆の統括する部隊が、ついに北海を奪い返した。
山東半島の小都市であるこの地は人口も少なく守りにくい所なのだが、
幽州・徐州を結ぶ海路の要所であり、ここを抑えることで、
幽州・徐州、そして揚州などへの進出が可能になる重要拠点であった。
また、先に奪い返した汝南の兵を増強。
武将も、夏侯淵や司馬懿といった有能な将を派遣し、
小沛、寿春への睨みをきかす。
幽州での攻防も、北平にいる徐晃軍団が兵を強め、
今まさに襄平を奪い返す軍をあげるか、というところであった。
対する孫権軍は、伸びきった補給路、戦力の分散という、
負けるための要素を打ち消せずにいた。
本拠である揚州は豊かなのだが、
そこからの補給はままならなかったのである。
<曹操 VS 馬騰>
次に曹操と馬騰との戦いであるが、こちらの様相はまた違っていた。
以前より馬騰軍は長安を奪うべく度々侵攻していたが、
曹操軍の厚い防御に阻まれ、今まで全て失敗してきた。
だが、曹操軍が南東部の孫権軍との対決姿勢を強めるにつれ、
西部の長安への補給が以前のようには行かなくなってきていたのだ。
これに乗じ、馬騰軍は再度長安へ出兵。
これに警戒感を強めた曹操は、自ら長安へ乗り込み防御を固める。
長安を奪われるとてしまうと潼関、そして帝のいる洛陽へと
一気に攻め込まれる可能性がある。
曹操は、長安を守りきれるのか。
<劉璋 VS 饗援>
そして、益州にて争っている劉璋と饗援。
劉璋軍が建寧にちょっかいをかけて以来、
劉璋軍は雲南、建寧に、饗援軍は成都、江州方面に度々出兵し、
互いに勢力を削り合っていた。
君主が暗愚とはいえ、将が揃い、物資量でも優位に立つ劉璋軍に対し、
饗援軍は寡兵ながら善戦していた。
その一進一退の攻防は最近まで続いていたのだが、
ある時から劉璋軍が出兵するのをやめ国力の回復に努めるようになり、
饗援もそれに同調するように軍を動かすのをやめていた。
だが両者の対立は疑う余地もなく、再び戦端が切って落とされるのか、
民は恐々としているところであった。
☆☆☆
金 旋「……と、現在はこういう状況なのだ。判ったかな?」
金胡麻「ぜーんぜんわっかんねーっ!」
金 旋「……」
金閣寺「胡麻……ちょっとは理解なさい」
金胡麻「だってー」
金目鯛の長男、金閣寺13歳。同じく次男、金胡麻9歳。
帝王学の一環としての視察、という名目でこの宛に遊びにきていた。
(三男の金魚鉢は襄陽でお留守番)
金 旋「ま、よーするにだ。
じーちゃんは曹操と喧嘩してるんだが、
他では、曹操と孫権、曹操と馬騰、
劉璋と饗援がそれぞれ喧嘩してるってことだ」
金胡麻「おー。それならわかる!
でも、よってたかって曹操を叩いてヒキョーだぞ!」
金閣寺「えーと、戦いに卑怯とかそういうのは……」
金 旋「ああ、いい、いい。俺が説明する。
んーとな、曹操はちょっと前はすんごい強かったんだ。
そりゃもう、みんなで叩かないとこっちがやられるくらいに」
金閣寺「つよいのか? とーちゃんよりもか?」
金 旋「腕っぷしは金目鯛ほどじゃないが、頭がいいんだ。
旗揚げして以来、呂布や袁術、袁紹といった強い奴らを
みーんな倒しちゃったんだ」
金胡麻「おー。かっくいい! さくせすすとーりーだ!
でも、頭いいだけでそんなに勝てるもんなの?」
金 旋「そうだなあ……。
頭いいのもあるが、大義名分を手に入れたことが大きいかな」
金閣寺「大義名分……皇帝陛下ですか?」
金 旋「そう。皇帝陛下を保護したのが大きいな」
金胡麻「へいかをほごするとどーなんの?」
金 旋「曹操は、皇帝のご命令だと言って、対抗する相手に攻めこむ。
すると相手側の兵士は、皇帝陛下には歯向かえない、と思う。
そういう弱気になったら、喧嘩には勝てないよな?」
金胡麻「うん、弱気はギュウモツなのだ。こてっちゃんマイウー」
金閣寺「それを言うなら弱気は禁物……」
金 旋「おう、こてっちゃんは美味いよな。
……でだな、そうやって曹操は大義名分を上手に使い、
相手を弱めて勝ってきたんだ。
そうやって戦ってるうちに、兵も増えて将も強いのが揃う。
こうして、大義も実力も揃えた軍が出来あがってきたわけだな」
金胡麻「んー。なんか、ずっこい……カッコよくない」
金 旋「いや、ズルくてもカッコ悪くても、結局は勝った者が偉いんだ。
だからじーちゃんも、ズルくてもなんとか勝とうとしてる」
金胡麻「んー。……じーちゃんは優しいからいいのだ」
金 旋「はっはっは、おだてても何も出ないぞ」
金閣寺「いえ、お爺様に対する民の評判はすこぶる良いです。
民の心を掴んでいる、真の仁君であると」
金胡麻「そーそー! あるおばちゃんなんか、
『かゆいところに手のとどく孫の手みたいな君主よねえ』
って褒めてたぞ!」
金 旋「……それは、ちと褒められた気がせんが。
まあ、民に快く思ってもらってるのは嬉しいことだ」
金胡麻「だからちょっとズルしても許してくれるのだ!
収支はプラス! 赤字なければすべてよしなのだー!」
金 旋「はっはっは、そうだな!
よーしじーちゃんもっともっとズルしちゃうぞー」
金胡麻「そーだそーだ!
曹操みたいに、たいぎめーぶん使って勝っちゃえ!」
金 旋「……」
金胡麻「……どーした、じーちゃん? 急にだんまりしちゃって?」
金 旋「いや、なんでもない。ほら、そろそろ寝る時間じゃないか?」
金閣寺「あ、そうですね。胡麻、風呂に入って寝よう」
金胡麻「えー。もっとじーちゃんといたいー」
金 旋「すまんな、ちょっと仕事が残ってるんだ。また明日な」
金胡麻「はぁーい……。じーちゃんおやすみー」
金閣寺「おやすみなさいませ」
金 旋「おう、おやすみ」
金閣寺と金胡麻が部屋を後にする。
それと入れ替わりに、金玉昼が入ってきた。
金玉昼「……あの子ら、行ったかにゃ?」
金 旋「ん、今出てったところだが。どうかしたのか?」
金玉昼「いや、あの子たちはちょっと苦手にゃ……」
金 旋「あぁ……まあそう言うな、玉昼オバサマ」
金玉昼「キッ!」
金 旋「……いや、すまん。冗談だ」
金玉昼「そんなことより、急報が来たにゃ」
金 旋「急報?」
金玉昼「長安が、馬騰軍の手に落ちたにゃ」
金 旋「ほう……曹操は?」
金玉昼「敗残兵をまとめ、潼関に落ち延びたようにゃ」
金 旋「負けても流石にそこらへんの手際はいいな。
捕虜となった将はいるのか?」
金玉昼「確認は取れてないけど、何人かは捕まった模様にゃ。
登用されたらすぐに引き抜きを掛けられるよう、
情報を集めておきまひる」
金 旋「ん、頼む。
あと、宛城内の兵数は現在どうなってた?」
金玉昼「ちちうえ、長安へ行くようなバカな真似は……」
金 旋「いや、ただの確認だ」
金玉昼「ならいいけど……。
ええと、宛から兵を戻したのと、徴兵したのもあって、
現在6万ほどになってまひる」
金 旋「そうか……一応、出兵はできる数字だな」
金玉昼「ちちうえ?」
金 旋「あー気にすんな。馬騰に喧嘩売る気は全然ないって」
金玉昼「んー」
金 旋「そうだな……ひとつの可能性を考えていただけだ」
釈然としない金玉昼であったが、金旋はそれ以上は語らなかった。
こうして、213年も終わりを迎え、新たな年を迎えるのであった。
次回へ続く。
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