211年12月末
12月も最終日、大晦日。
金玉昼が新野にいる現在、襄陽の金旋宅には金旋しかいない。
いつもは世話をする下働きの者はいるのだが、
それも大晦日ということで休みになっているはずであった。
下町娘
下町娘「多分寂しく一人でテレビでも見てるんだろうなぁ。
よーし。どうせ私も暇だし、遊びに行こうっと」
下町娘は金旋宅へと向かった。
ピンポーン
チャイムを押す。
すると、『はーい』と女の声。
下町娘「え゛?」
???
???「はい、なんでしょう?」
下町娘「あ、えー、その……」
???「あ、金旋に御用ですか?
どうぞ、お上がりになってください」
下町娘「あ、いえ、私はあの、そのですね、
金旋さまがひとりでいるのかと思って、その……」
???「いえいえ、私にはお気遣いなく。ささ、どうぞ」
見知らぬ女に上がるよう勧められて、
下町娘はどうしたものか迷ってしまった。
下町娘「(はぁ〜、それにしても綺麗な人だなぁ)」
???「……?(にこにこ)」
金 旋「おーい、誰か来てるのか……って、
町娘ちゃんじゃないか」
金旋
下町娘「あ! 金旋さま!?」
金 旋「おう、遊びに来たのか? それなら上がって……」
下町娘「そ、それよりちょっとこっちに!」
下町娘は金旋を外に連れ出した。
金 旋「おいおい、まだまだ外は寒いだろ。
中で話せばいいだろが。うー、さむ」
下町娘「そんなことはどうでもいいです。
それより、どこで引っ掛けたんですか!?」
金 旋「は? 何がだ?」
下町娘「あの美人のひと!
今まで全然そんなそぶりもなかったのに!」
金 旋「……ああ、そういうことか。
どうも誤解してるようだが彼女は……」
下町娘「いくら玉ちゃんがいないからって、
家に連れ込むのはどうかと思いますよ!
そりゃ今は独身ですから個人としてはいいですけど!」
金 旋「……話聞けって」
下町娘「でもでも、フォーカス写真なんか取られたりしたら、
スキャンダルになっちゃうじゃないですか!
『仁君と呼ばれた君主の裏側、ただれた私生活』
とかなんとかタイトルが付いちゃって!
やっぱり君主なんですからもう少し慎んで……」
金 旋「話を聞けい!」
下町娘「は、はい」
金旋は一呼吸おいて、話す。
金 旋「彼女は目鯛の妻だ」
下町娘「……は?」
金 旋「俺から見た場合、息子の嫁だな。
君の考えるような後ろめたい関係ではない。
というわけで安心するように」
下町娘「嫁……金目鯛さんの奥さん……。
はあ、なーんだ。金目鯛さんの奥さん……。
って、えぇぇぇ!?」
金 旋「こ、今度は何だ?」
下町娘「え、だ、だってあんな美人な……え?
え? ギャグ?」
金 旋「……まあ、そう思う気持ちも判らんではないがな。
本当、真実だ。間違いなくトゥルー」
下町娘「だ、だって、どう考えても金目鯛さんに
あの奥さんは変です!」
金 旋「全然歯に衣着せないな。
まあ、彼女も特異な趣味なんだろうなぁ」
下町娘「金旋さまも歯に衣着せないですね」
金 旋「ま、そういうことなんで気兼ねなく遊んでいきたまへ」
下町娘「は、はぁ〜い」
下町娘は、家の中に案内される。
中では子供が二人、駆け回って遊んでいた。
金魚鉢「あははは、にーちゃん待てー」
金胡麻「ほーら魚鉢、捕まえてみろー」
金 旋「お、胡麻、魚鉢。
確か……以前に一度は会ったよな。
金目鯛の次男、金胡麻。同じく三男の金魚鉢だ」
下町娘「そうですねー。
でも、以前会ったときよりずっと大きくなりましたね」
金 旋「ほれ、お前たち。お客様に挨拶なさい」
金胡麻「おばちゃん、こんにちわー」
金魚鉢「こんにちわー」
下町娘「お……おば……」
金 旋「ダメだぞ胡麻。
こういうときは『お姉ちゃん』って呼ぶのが礼儀だ」
金胡麻「はーい。お姉ちゃん、ごめんね」
下町娘「あ、あはは、いいのよー。
胡麻君は何歳になったのかなー?」
金胡麻「7歳だよー!」
下町娘「魚鉢君は?」
金魚鉢「5さいー」
下町娘「そっかー。あははー」
金 旋「じゃ、居間に行こうか。
それじゃお前たち、あんまりうるさくするんじゃないぞ」
金魚鉢「はーい」
金胡麻「うん、それじゃおばちゃんまたねー」
ドタドタドタ
下町娘「お、おば……」
金 旋「い、いやその……子供の言うことだから」
下町娘「子供が言うからグサッと来るんじゃないですかー」
金 旋「ま、確かにな」
金旋は下町娘を居間に通した。
そこには、先ほどの二人よりも少し大きな子がこたつに入っていた。
金閣寺「お客様ですか。こんにちわ」
下町娘「あ、こんにちわ……」
金 旋「金目鯛の長男の金閣寺だ。歳は11歳」
下町娘「なんて利発そうなお子さん!」
金閣寺「……て、照れます」
金 旋「閣寺、ちょっとお茶淹れてくれんか」
金閣寺「はい、わかりました」
二人に茶を淹れる金閣寺。
それを見ながら、金旋は下町娘に聞いた。
金 旋「で、今日は単純に遊びに来ただけか?」
下町娘「え? え、ええ、まあ……。
いるのは金旋さま一人だけだと思ってたんですけど」
金 旋「ああ、今年は嫁と孫たちが引越してきてたんでな。
どうせなら一緒に年越そうと思ったらしい。
玉も目鯛も新野に行ってるしな」
下町娘「そうですかぁ〜」
金 旋「ま、ゆっくりしてけ。嫁も孫も喜ぶだろう」
下町娘「はい、それじゃ遠慮なく……あ、そうだ」
下町娘は思い出したように一通の書類を差し出した。
金 旋「ん? これは?」
下町娘「ええと、兵士の一人からの上奏文です。
金旋さまに目を通してほしいって」
金 旋「上奏……どれどれ?」
(前略)
現在我が軍は曹操軍と事を構えておりますが、
東の孫権がこのまま勢力を拡大するといずれ脅威となります。
そのため、曹操軍が各地に分散され、
孫権軍が曹操領に侵攻している今のうちに、
南方を固めておいては如何でしょうか。
即ち、南の饗援の領を奪い、後顧の憂いを絶つのです。
さすれば安心して荊南を生産国として活かすことができましょう。
それが適わぬのならば、
孫権同様に友好を保つようにすべきかと思われます。
(後略)
金 旋「ふむ……」
下町娘「書いてあることはもっともだと思いますけど」
金 旋「閣寺はどう思う?」
金閣寺「え? ええと……遠征はしない方がいい、
というか、できないと思います」
金 旋「ふむ。我が軍の主力は新野に集中している。
南に送るには遠いからな」
下町娘「でも、攻める分くらいの兵なら、
荊南で徴兵できそうに思えますけど」
金閣寺「兵だけなら……でも、それを率いる将がいません。
よしんば将がいたとしても、攻めるには遠すぎます。
あちらに着く頃には兵の士気が萎えてるでしょう。
それでも攻め落とす気なら、大規模な軍を送らないと。
でも、そんな余裕はあるんでしょうか?」
下町娘「う、うーん……。ないと思うなぁ……」
金 旋「兵を出す余裕があっても、俺は辞めた方がいいと思うな」
下町娘「そうですか?
だって、荊南を攻められる心配がなくなるんですよ?」
金 旋「しかし攻め取った先、例えば交趾を取ったなら、
そこには守備兵を置く必要がある」
下町娘「あ、そうか」
金閣寺「交趾はこちらからは遠いので、
攻められた時になかなか援軍が届きませんね」
金 旋「結局攻めるんなら、反抗できないように滅ぼすまで
徹底的に攻める必要があるわけだ」
下町娘「うーん……なるほどぉ」
金閣寺「それに、荊南が攻められるのは当分ないと思いますよ」
下町娘「え? なんで?」
金閣寺「交趾から零陵までの距離がありすぎます。
こちらから攻めるのには骨が折れますけど、
これはあちらにも言えることです」
下町娘「あ、なるほど」
金閣寺「それに今、劉璋が南にちょっかいを出し始めてます。
劉璋以外に軍を出せるほど、余裕はないと思います」
下町娘「すごーい。頭いい〜! ぱちぱちぱち」
金閣寺「え、えへへ」
金 旋「ま、そういうことだ。
最低限の兵を零陵付近に置いておくだけで守りは事足りる。
ここはむしろ饗援を援助して劉璋を攻めさせ、
弱体化させたいと思うんだが……」
下町娘「ということは、贈物で仲良くするんですね」
金 旋「そゆこと。これが一番スマートなやり方だろ。
下町娘「そうですね。君主はスマートじゃないですが」
金 旋「うるさいな。
……ということで、年明けにでも誰か使者に送ろう」
下町娘「はいー」
この後、年が明けてから魏劭を使者として饗援に金を贈った。
完全に信用できるわけではないのだが、
とりあえず目先の安全は確保されたと言っていいだろう。
金 旋「というわけだ。
……高政惇どのは納得していただけたかな?」
下町娘「感想フォームからの上奏、ありがとうございました」
さて、大晦日の夜は更ける。
金旋は町娘や孫たちと、テレビを見て団欒を楽しんでいた。
テレビは、何でも武将ベスト10という特番を放送していた。
いろいろな武将を順位付けて、
そのベスト10・ワースト10を発表する番組である。
司会A『というわけで、今年の君主信望ナンバー1は孫権です!
信望ポイントは370!』
司会B『曹操、金旋らを抑えての堂々の1位!
やっぱり連合盟主はエライ! スゴイ!』
司会A『孫権さんには金の米粒が送られまーす』
司会B『なお、換金はできませんのでご了承ください』
下町娘「あんなちみっちゃい上に、
換金できない金なんて要りませんよねえ」
金 旋「まあ、こういうのは名誉なもんだからな。
とはいえ、信望が高いと連合盟主になる、
盟主になると信望上がる、てのはちとズルイような……」
下町娘「でもそういうシステムですし……。
頑張って信望1位になればいいじゃないですか。
そうすれば、盟主にもなれますよ」
金 旋「その頑張るのが大変なんだって。
まあ、お助け任務を皆でやってもらってるから、
そのうち曹操は抜けるだろうが……」
金胡麻「あ、各国のデータが出るみたいだよー」
勢力名 | 官 職 | 信 望 | 兵 力 | 領 地 | 武 将 |
孫権 | 中郎将 | 370 | 42万 | 8 | 77 |
曹操 | 大将軍 | 300 | 51万 | 17 | 112 |
金旋 | (無官) | 250 | 23万 | 7 | 38 |
馬騰 | 州刺史 | 220 | 15万 | 4 | 19 |
饗援 | 州牧 | 190 | 10万 | 3 | 15 |
張魯 | (無官) | 120 | 5万 | 1 | 9 |
劉埼 | 州刺史 | 120 | 2万 | 1 | 9 |
劉璋 | 州牧 | 110 | 19万 | 4 | 33 |
司会A『曹操の軍事力・人材は流石ですねえ』
司会B『しかし孫権もかなり拮抗してますよ。
領地あたりの人材数は1位です』
司会A『ここ1年の快進撃も頷けますねえ』
司会B『しかし曹操軍も攻められっぱなしとは思えません。
来年は怖いですよ』
金 旋「イライライライラ」
下町娘「な、なんかイライラしてますね」
金 旋「曹操とか孫権とかはどうでもいい!
俺の話をしろ! 俺の話を!」
下町娘「そ、そういうことですか」
司会A『しかし3位の金旋ですが……』
金 旋「おおっ! な、なんて言うんだ?」
司会A『ププッ、こんなに信望あるのに無官ですって』
司会B『確かに恥ずかしいですよねえ』
金 旋「あ、あんだと貴様ら! そこに直れい!」
下町娘「ちょ、ちょっと金旋さま!
テレビに怒鳴りつけてもしょうがないですよ!」
金魚鉢「おじいちゃん怖いよぉー」
金 旋「はっ……。す、すまん、少し大人げなかったな」
下町娘「でも、やっぱり無官なのが目立ちますよね。
他は3番手なのに」
金 旋「く、くそ……絶対官職を得てやるぞ。
そのためには宛と西城を取らねば……」
金閣寺「州牧になるには州を制覇しないとダメなんですよね」
金 旋「よく知ってるな。俺の場合は荊州牧を目指すから、
後は宛と西城を取ればいいのだ」
下町娘「どっちも曹操領ですねぇ」
金 旋「それに結構兵士が多くてな……。
だから新野の兵を増やしてるわけだ」
金胡麻「頑張れじいちゃん!」
金 旋「おう、頑張るぞ!」
番組は進み、今度は個人武将のランキングになる。
統率・武力・知力・政治の順でベスト10が表示された。
金 旋「我が軍の将は誰も入ってないなぁ……」
下町娘「まあ、曹操や孫権より人数少ないですから」
金胡麻「あ! 玉おばちゃんの名前あるよ!」
金 旋「なぬ!?」
知力のランキングで、金玉昼は陸遜らと並んで10位に入っていた。
金 旋「よっしゃああああ!!」
下町娘「すごいすごーい」
金閣寺「流石は玉おばさん」
金魚鉢「おばちゃんすごーい」
その頃の新野。
金玉昼
金目鯛
鞏恋
金玉昼「ふえっっっっっっっっっっくちょい!」
金目鯛「のわ! 汚いなあ」
鞏 恋「はい、ちり紙」
金玉昼「あ、あんがとにゃー。ちーん」
……さて番組は、今度はワースト10の表示がされていく。
金 旋「あのさあ……」
下町娘「あ、あはあはあは」
金 旋「さっき『人数少ないからしょうがない』
って言わなかったか?」
下町娘「あはははは」
金 旋「じゃあこれはなんだ? なんなんだ?」
下町娘「あはははははは」
表示されているワースト10。
その中の統率の9位、武力の8位に、下町娘がランクインしていた。
その他には。
政治5位の甘寧。
政治6位の刑道栄。
知力9位&政治2位の蛮望。
統率3位&武力2位の王粲。
知力6位の卞志。
知力10位の呂曠。
おまけに知力で1位を取ってしまった蔡和。
……などそうそうたるメンバーがランク内にいた。
司会A『統率・武力の2部門を、楊松が制覇しました』
司会B『しかし特筆すべきは金旋軍ですねえ。
かなりの人数がランクインしています。
これは個性的な人材が揃ってる、と言うべきですか』
司会A『全くですねぇ〜、あっはっは』
金 旋「ぐぬぬぬ……コ・ロ・ス」
金胡麻「じいちゃん怖いよー」
金 旋「お、おお、すまんすまん」
司会A『さて、特別コーナーです!
特別に、金旋軍内のランキングを発表です!』
司会B『この個性的な軍団のベスト・ワースト10を御覧あれ!』
金 旋「な、なんだと?」
下町娘「こ、これってスゴイんじゃないですか!?
全国の民が見てるんですよ!」
金 旋「でもあんまりいい意味での注目じゃないような……」
金閣寺「あ、ベスト10が出ますよ」
ベスト | 統 率 | 武 力 | 知 力 | 政治 |
1位 | 甘寧 87 | 甘寧 94 | 金玉昼 96 | 卞志 90 |
2位 | 魏延 83 | 魏延 92 | 卞質 84 | 韓浩 89 |
3位 | 卞質 79 | 鞏恋 90 | 王粲 81 | 金玉昼 85 |
4位 | 楽進 78 | 金目鯛 87 | 甘寧 78 | 潘濬 85 |
5位 | 霍峻 77 | 楽進 86 | 蔡瑁 76 | 王粲 83 |
6位 | 蔡瑁 75 | 蛮望 84 | 卞柔 75 | 劉巴 80 |
7位 | 卞志 75 | 刑道栄 77 | 霍峻 72 | 魏劭 79 |
8位 | 卞柔 75 | 卞柔 73 | 劉鏡 72 | 蔡瑁 77 |
9位 | 鞏恋 74 | 胡渉 73 | 劉巴 72 | 卞柔 76 |
10位 | 金目鯛 73 | 樊郭 72 | 向朗 72 | 向朗 74 |
(※役職&アイテム修正有)
下町娘「ふつーですね」
金 旋「まあ、ベスト10はな……。
しかし、武力はいいセン言ってると思わんか?」
下町娘「そうですね、上位が拮抗してますね。
トーナメントバトルとかやらせたいですねえ」
金 旋「いいねえー。今度企画してみるか」
金胡麻「あ、ワースト10出るよー」
金 旋「……問題はこっちだ」
ワースト | 統 率 | 武 力 | 知 力 | 政治 |
1位 | 王粲 7 | 王粲 3 | 蔡和 3 | 蛮望 5 |
2位 | 下町娘 10 | 下町娘 5 | 卞志 10 | 甘寧 13 |
3位 | 孔休 14 | 潘濬 16 | 蛮望 13 | 刑道栄 15 |
4位 | 劉巴 19 | 趙樊 17 | 呂曠 14 | 呂曠 28 |
5位 | 趙樊 26 | 向朗 18 | 金目鯛 21 | 陳応 30 |
6位 | 向朗 28 | 劉巴 20 | 金旋 22 | 卞質 32 |
7位 | 劉鏡 32 | 孔休 21 | 下町娘 25 | 蔡和 34 |
8位 | 碗朗 39 | 劉鏡 27 | 胡渉 30 | 魏延 35 |
9位 | 蔡和 43 | 金玉昼 27 | 高定 33 | 鞏恋 36 |
10位 | 鞏志 44 | 董蘭 28 | 刑道栄 35 | 金目鯛 37 |
(※役職&アイテム修正有)
下町娘「あれ、こっちも普通ですね」
金 旋「そうだな、見た感じは……」
司会A『ふむ、あまり特異なランキングではありませんね』
司会B『いえ、特筆すべきは知力ランキングです。
100人以上将がいる曹操軍でも、知力20以下は2人だけです』
司会A『なるほど、それなのに40人にも満たない金旋軍では……』
司会B『そうです。馬鹿の集まりですね。
それに君主自らが6位に入るあたり面白いですねえ』
金 旋「ぐ、ぐぬぬ……おのれぇ!」
下町娘「お、落ち着いてください! たかがテレビです!」
司会A『おや、3部門に名前を連ねてる人がいますねえ』
司会B『そうですねえ。2つ低い人は他にも結構いますが、
3つも低い人ってのはもうダメな人ですね』
司会A『蔡和と下町娘。この二人はもうお荷物というわけですね』
司会B『あっはっは、そうですねえ。ダメダメですね!』
下町娘「うぬぬぬ! コ・ロ・ス!」
金 旋「お、落ち着け! たかがテレビだろう!」
金胡麻「(小声)兄ちゃん、怖いからチャンネル変えちゃおうよ」
金魚鉢「(小声)そうしようよー」
金閣寺「(小声)そうだね……。ポチッと」
チャンネルは代わり、紅白歌合戦に切り替わる。
今は、ちょうど堀内孝雄が歌っているところだった。
下町娘「キャー! 堀内さま〜ん♪」
金 旋「お、今年も出てるのか」
金魚鉢「(小声)うまくはぐらかせたね」
金胡麻「(小声)にいちゃん、ぐっじょぶ」(´∀`)b
金閣寺「(小声)よかったよかった」
夫 人「はーい、お蕎麦できましたよ〜」
金 旋「お、できたか。町娘ちゃんもしっかり食えよ」
下町娘「はーい、いただきまーす」
かくして一年が終わり、次の年がやってくる……。
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