○ 第二十七章 「再動! 金旋お助け隊」 ○ 
211年4月下旬

場所は襄陽。
金旋、金玉昼は政務を小休止し、下町娘の淹れた茶で一服していた。

   金旋金旋    金玉昼金玉昼    下町娘下町娘

金 旋……気に入らんな
下町娘「えっ……。今日のお茶、美味しくなかったですか?」
金玉昼「わ、ちちうえ酷いにゃー。
    いつも淹れてもらってる癖に文句言うなんて、何様のつもりにゃー」
金 旋「何様って……。
    えーと、わたくし一応、これでも金旋軍の君主やっておりますが……」
金玉昼「わー! 権力を傘に着てやりたい放題にゃー!
    為政者の風上にも置けないまひる!」
下町娘「そ、そういう方だったなんて……幻滅しましたっ!
金 旋違ーうっ! 茶が気にいらないわけじゃない!
    むしろ町娘ちゃんが淹れる茶は好きだ、大好きだーーー!
下町娘「ぽっ……そんな、誉めても何も出ませんよ」
金 旋「いやいや、本心だ。というわけで、おかわり」
下町娘「あ、はーい」こぽこぽ
金玉昼「何にゃ、気に入らんとか大好きだとか訳がわからないにゃー」
金 旋「俺が気に入らんって言ってたのは、これだ」

カタ、と置いた竹簡(※1)
それを広げてみる玉と町娘。

(※竹で出来た巻物。
 この頃はまだ紙は高級品なので、手紙などにはまだ竹簡を
 使用することが多い……って中途半端にリアリティ出すな>筆者)


下町娘「なになに、漢帝国データバンク調べ、
    君主信望ランキング211年最新版……?」
金玉昼「この情報は、天下万民がその君主にどれだけ信望を寄せているかを
    データを元に客観的に表したものである……とな、ふむふむ」
金 旋「それのランキングが気に入らんって言ってるんだ」
下町娘「1位が孫権、2位が曹操……と。
    金旋さまは3位の馬騰についで4位ですね」
金玉昼「うんうん、まあ順当なとこにゃ」
金 旋「……別に曹操はいい。
    多くの都市を支配し、それだけの実績があるからな」
下町娘「そうですね、統一に一番近い勢力っていったらやはり曹操軍ですし」
金 旋「百歩譲って孫権もまあ許す。
    反曹操連合の盟主としての名声は評価すべきだ」
金玉昼「この前まで見下してたけどにゃ〜」
金 旋「うっさいな。
    上の2人はいいとしてもだ……馬騰はなんだ?
    全然領土増やしてもいないのになんで俺より高い?」
下町娘「そりゃ名門の一族ですし、曹操軍とずっと戦ってるわけで、
    信望が高いのもしょうがないと思うんですが……」
金 旋「名門っていえば俺もなんだが……まあとにかくだ。
    数ある君主の中で、この金旋は曹操に次ぐ数の6都市を領している。
    その俺が人望で馬騰ごときに負けるというのが、気に入らんのだ」
下町娘「少し前まで『いやいや俺は仁君なんてガラじゃない』とか言ってたのに」
金玉昼「勢力が大きくなると欲まで大きくなっちゃうのにゃー。
    浅ましいことにゃー」
金 旋「いいじゃねーかよ、統率力も知力も曹操や孫権にゃ敵わないんだ。
    俺の誇っていけそうなのは人望くらいなもんなんだよう……」
下町娘「あああ、そう暗くならないでください……はいお茶です」
金 旋「お、悪いな……(ずずず……)
    ぷはー、やっぱ美味いなー」
金玉昼「……確かに、今のちちうえの信望は武陵1都市の頃と大差ないにゃ。
    今のうちにやれることはやっておいた方がいいかもしれないにゃー」
金 旋「うむ……ここのところは領土拡大とかで控えていたが……。
    玉、アレをやるか」
金玉昼「はいな。以前よりも人材は多いし、効果は以前の数倍になりまひる」
下町娘アレってアレですか?」
金 旋「うむ! アレだ!」

♪どーこからとーもなく あーらわれるー♪
♪ひーみつのぐんだん あなたの元へ♪
♪あーなたをたすけて 人望ゲトズサー♪
♪あーなたも嬉しい ぼくらも嬉しい♪
♪みーんな嬉しいー わっはっはー♪
♪そーさ ぼくらは 金旋お助け隊〜♪


金玉昼「うわ、ダッサ
下町娘「な、何ですかこの歌は?」
金 旋「金旋お助け隊のテーマソングだ。
    作詞は俺、曲は魏劭に作ってもらった」
金玉昼「魏劭さん……あの人も多芸な人だにゃー」
下町娘「暇だったんですね……」
金 旋「ふっふっふ。金旋お助け隊、荊州全域で本格活動だ!
    我が下僕たちよ!
    仁君金旋の名を天下に轟かせるのだ!
金玉昼「ら、らじゃー」
下町娘「りょーかいですー」
金 旋「そして、お助けの際はテーマソングを口ずさみながら現れるのだ!」
金玉昼「それは却下にゃ」
下町娘「遠慮しときます」
金 旋「な、なぜだ!? インパクト高い登場の仕方だろう!」
金玉昼「そんなダサいインパクトいらないにゃ」
下町娘「普通が一番です」
金 旋「しくしく……せっかく考えた歌が……」

金旋の落胆を余所に、各都市の将たちへお助け隊出動命令が発布された。
これは探索任務を通じて、困った人民を助け人望を得ようという作戦である。
大量のお助け隊が各地で活動を開始した。

そして10日後。
金旋は、襄陽にて探索任務についていた者たちの報告を聞く。

金 旋「……さて、今回の報告を聞こうか」
金目鯛「おう、小銭を見つけてきた」
金 旋「お前はいつもそれだな、ホントに小銭だし。次」
鞏 恋「江賊を退治してきた」
金 旋「良くやった、民も感謝してくれるだろう。次」
下町娘「悪徳商人を倒そうとしましたが返り討ちに遭いましたぁ、はふぅ(※2)
金 旋「……民に失望されたな。これでプラマイゼロか。
    とりあえず早く怪我を治しなさい。次」
甘 寧「華陀に会ってまいりました。
    怪我人の面倒を見てくださるそうです(※3)
金 旋「これで下町娘の怪我もチャラか。次」
蛮 望「ごめんなさぁい、何も見つかりませんでしたぁ♪
    お詫びに私をあ・げ・る♪
金 旋「反省文を一筆書いて提出しなさい。それ以外は結構。次」

(※2 失敗すると人望-2、そのうえ武将も大怪我をする)
(※3 天下の名医華陀先生に会うと武将全員の怪我が治る)

他の者やその他の都市からの報告を聞き終わり、
金旋は満足気に茶をすする。

金 旋「よしよし。元手も使わず信望が上がるとは、実に美味しいねえ」
金玉昼「金も拾ってきてくれるので財政も助かりまひる」
金 旋「しばらくはお助け隊の活動を継続する。
    がっぽり稼いで、目指せ信望1位、だ!」
金玉昼「……人望ある人が言う台詞じゃないにゃー」

これ以降数ヶ月に渡り、荊州全土で活動するお助け隊。
そのうちのいくつかをお伝えしよう。

   下町娘下町娘

団 長「すいません、ここで劇団の活動をしてよろしいでしょうかな」
下町娘「きゃ、渋めのおじさま……いいですよ、どーぞどーぞ♪」
団 長「ありがとうございます。よければ私どもの劇などお見せ致しましょう」
ある時は、下町娘が劇団の活動を容認。
(寛容な君主であると認められ、信望アップ)

   鞏恋鞏恋

鞏 恋「……はっ」
ひゅっ……ずばっ!
民 A「スゲェ! 虎の眉間に矢を命中させるなんて!」
鞏 恋「まーね」
ある時は、鞏恋が虎退治。
(民の期待に応えて信望アップ&鞏恋の武力+1)

   鞏志鞏志

鞏 志「……はっ」
ひゅっ……すかっ
 虎 「グルルルルルル……」
鞏 志「し、しまった外したっ!? うわああああ!」
ある時は、鞏志が虎退治を試みるが反撃を食らい重傷。
(民の期待を裏切ったので信望ダウン&鞏志大怪我)

   霍峻霍峻

華 陀「ぶわっはっは! その面白い顔の礼に、怪我人を診てしんぜよう!」
霍 峻「……は、はあ」
華 陀「くくく、それにしても、面白い顔じゃ、ブォッフォッフォ」
ある時は、霍峻が華陀と会い怪我人を診てもらう。
(怪我人が全快)

   魏光魏光

民 B「そこのカッコイイ将軍さま〜」
魏 光「は、あははは、か、カッコイイだなんてそんな!」
民 B「金をちょっとばかし恵んでくださらんかのぅ」
魏 光「はっはっは、それくらいお安い御用ですよっ!」
ある時は、魏光が民に金を恵む。
(民に優しい君主と認められ信望アップ)

   甘寧甘寧

左 慈「おう、そこのひげちょびん。酒代くれんか」
甘 寧「ひ、ひげちょびん……?」
左 慈「まあいいじゃろ、酒を飲ませてくれい」
ある時は、甘寧が左慈に酒代をおごる。
(酒代分の金ダウン。なぜか信望アップ)

   魏延魏延

魏 延「のわわわわわ! 化け物めっ!」
土地神「キシャー!」
魏 延「負けるか! 我は魏延文長ぞっ! とあああっ!」
ある時は、魏延が悪さをする土地神と大バトルの末に勝利。
(おもろい見世物を見せたので信望アップ)

   金目鯛金目鯛

司馬徽「というわけなのじゃよ、フォッフォッフォ」
金目鯛「爺様の話は長ぇなぁ……」
司馬徽「うむうむ、それも良き哉、良き哉」
ある時は、金目鯛が司馬徽と会って長話。
(司馬徽と仲良くなり、門下の将(諸葛亮・徐庶ら)と親密度が上がる)

   金玉昼金玉昼

兵A「それでは、祭事をはじめましょう」
金玉昼「はいにゃ。……ベントラーベントラー、
 エロイムエッサイムエロイムエッサイム」
兵A「な、なんと怪しげな呪文を!?」
ある時は、金玉昼が楚の荘王を祭る碑文を建設。
(偉人を敬うことで信望アップ。金玉昼が政治+2と兵法「井蘭」を習得)

   蛮望蛮望

蛮 望「そこの江賊! 悪さしてるようだから退治するわよ!」
江 賊「キモっ! なんだこのオカマ!」
蛮 望「だーれーがーキモイのよーっ!」
ある時は、蛮望が江賊退治。
(キモいけど民を助けたので信望アップ)


   鞏恋鞏恋

兵 B「それでは、祭事をはじめましょう」
鞏 恋「南無。……はい終了」
兵 B「そ、それで終わりですか?」
ある時は、鞏恋が[シ目]羅(ベキラ)で屈原を祭る。
(偉人を敬うことで信望アップ。鞏恋が政治+2と兵法「石兵」を習得)


このような善行を行うことにより、金旋の信望は急速に高まっていった。
数ヶ月のうちに信望ランキングは馬騰を抜き、3位へ。
その急激な上昇はまるで、老体にムチ打って運動している
老人の鼓動のようであった。

金 旋「誰が老人か!!」
下町娘「だ、誰も金旋さまのことだなんて言ってませんよ」
金 旋「そうか、ならばよし!」
下町娘「はあ」

次回へ続く。

[第二十六章へ戻る<]  [三国志TOP]  [>第二十八章へ進む]