○ 第二十四章 「世界変わってぱわーあっぷ」 ○ 
211年1月

ミニマップ

211年1月。場所は雲南。
ここは『炎』と名乗る蛮族の一軍が支配していた。
この蛮族は、女が男を支配するという珍しい風習を持っていた。
当然、君主や将軍たちも女ばかりとなる。

君主、饗援(キョウエン)。
彼女は類い稀なる統率力を持ち、武を誇る一族をまとめ、この雲南を支配していた。
だが、これまで東の建寧で蛮望と董蘭の戦闘が激化しても、軍を動かすことはなかった。
安易に攻めることなく兵を増やし調練を施し、屈強な軍を育成していたのであった。
その兵力、10万。1都市のみを支配する君主の兵力としては不釣合いな多さ。

……その不動の姿勢が変わる時が来た。

   饗援饗援    慧雲慧雲    櫂貌櫂貌

饗援「慧雲(ケイウン)。兵の状態はどうか」
慧雲「は。士気も高く、いつ戦になっても存分に働いてくれるでしょう」
饗援「左様か。櫂貌(カイボウ)、董蘭が攻め落とした建寧の様子はどうだ?」
櫂貌「はい。間者の報告によれば、兵は2万にも足らず、城壁の修復も未だ半ば。
    守るに難く攻めるに容易くなっております」
饗援「そうか……いよいよだな」
櫂貌「と、いうことはついに……」
慧雲「我が軍の威勢を見せ付ける時でございますな!」
饗援「うむ。今までよく耐えたな。
    中途半端な兵力で攻めては、必ず他の勢力に漬け込まれる。
    そのため、有無を言わさず敵を撃破できる兵数が欲しかったのだ」
慧雲「はっ。心得ております」
饗援「だが、今こそ好機だ。
    蛮望を倒すために疲弊し切った董蘭軍など恐るるに足らず。
    ……我が軍はこの時を持って董蘭軍に宣戦を布告する!
    我ら『炎』の旗をなびかせるのだ!」
二人「ははーっ!」

建寧へ向け雲南を発した遠征軍5万。
部隊を率いるのは饗援、その娘の饗嶺(キョウレイ)、統率は軍随一の鴻冥(コウメイ)。

   饗嶺饗嶺    鴻冥鴻冥

そして随行する将に、饗援の懐刀である櫂貌、武勇に優れる慧雲。
智謀に優れる琥昆、その娘で双子の姉妹である琥胡尚(クコショウ)、琥胡選(クコセン)等々。

   琥昆琥昆    琥胡尚琥胡尚    琥胡選琥胡選

その一軍は、董蘭の将である徐序(ジョジョ、徐栄の子)と兵1万5千程度が守る建寧など、
あっという間に飲みこんでしまった。

建寧を奪うやすぐに、饗援は董蘭の本拠である交祉へも軍を向かわせる。
まさに疾風怒濤。
董蘭は野戦にてこの軍を追い返そうとするも、逆に壊滅的被害を受け逃げ帰った。
交祉を包囲され、今にも滅亡しそうな董蘭軍。
南方の様相は一変しようとしていた……。


211年2月

場所は襄陽。
年も明けて、劉埼軍から金旋軍へと支配が変わった襄陽も、
ようやく落ち着きを取り戻していた。
さて、そのとある朝。

   金旋金旋    下町娘下町娘

金 旋「『新興勢力台頭、その名も饗援……ドキッ女だらけの危ない蛮族』か」
下町娘「おはようございまーす。……何読んでるんですか?」
金 旋「今日の新聞だが。東武スポーツ、略して東スポ
下町娘「……なんでそんな妖しそうな新聞取ってるんですか?」
金 旋「いや、なんか劉表が1年契約してたらしく、
    契約切れるまではこっちに送ってくるそうなんだ」
下町娘「あー。引っ越した先のアパートで、
    前住んでた人の新聞が配達されるみたいなものですね。
    で、何か面白い記事でも?」
金 旋「うむ……今、益州南部の勢力争いが面白いらしい。
    董卓の娘である董蘭が勢力を伸ばしてたが、
    今度は雲南の饗援軍が破竹の勢いで支配域を広げてるそうだ」
下町娘「ふーん……って、けっこう荊南から近いじゃないですか」
金 旋「いやー、いくら勢いづいたからって、さすがに交趾から零陵の方まで
    攻めてくるとは思えんな。
    ま、鞏志たちには一応注意しとくようには言っておくが」
下町娘「そうですね、用心しとくに越した事はないです。
    でも、饗援軍は今まで全然動いてなかったはずなのに、いきなり動き出しましたね」
金 旋「そうだな、蛮望軍滅亡前なんかは軍を出しててもよさそうだったんだが。
    まるで人が変わったようだな」
金玉昼それなのにゃ!
金 旋おわっ!? 玉、いつからそこに!?」

   金玉昼金玉昼

金玉昼「今来たとこにゃ。……で、饗援軍の豹変だけどにゃ」
下町娘「玉ちゃん、何か知ってるの?」
金玉昼「これは『ぱわぁあっぷきっと』の影響にゃ」
金 旋「ぱわーあっぷきっと?」

   劉髭劉髭    杏

劉 髭説明しよう! パワーアップキットとは!?
 杏 「それはですね。三国志9をより面白くするための追加キット、なのですよ」
劉 髭「……まあ、こんなもん出さずに一本で完成された機能で出せ、
    という気もしないでもないがのう」
 杏 「それは言いっこなしですよ。
    さて、その機能は、と言いますと……」
劉 髭1、抜擢システムの追加
    2、CPUが好戦的に
    3、勢力統合システム
    まあ他にもあるんじゃが、リプレイに関係しそうなのはこんなとこじゃな」
 杏 「1、の抜擢システムですが、
    これは兵士の中より能力のありそうな武将を選び出して教育することで、
    新しく武将を追加することができるのです」
劉 髭「ま、あまりにも安易に強い武将ができてしまうので、
    気分が萎えてしまうこともあるんじゃがな。
    そうポンポン名将クラスの将が生まれてはたまらん」
 杏 「ですので、このリプレイで登場する抜擢武将は、
    一部能力をデチューンして(下げて)登場させます。ご留意ください」
劉 髭「2の、『CPUが好戦的に』じゃが。これは歓迎すべきじゃな。
    何しろ、これまでは攻められるということが少なすぎたからのう」
 杏 「やはり、ピンチがあってこそ盛り上がるもの。
    攻められて落城寸前、どうするのっ!?というのがありませんと」
劉 髭「3の勢力統合システムじゃが、これはCPUの弱小勢力同士が統合し、
    強大になって立ちはだかる、というものじゃ」
 杏 「後半、強大になった金旋軍に対抗すべく、敵側が統合するかもしれませんね」
劉 髭「ま、こんなところじゃ。これで5800円は高いのう。
    本体と合わせると1万5千以上じゃ」
 杏 「だから言いっこなしですってば。
    ……そんなわけで、この211年より、パワーアップキットを導入しております」
劉 髭「さっそく影響が出てるようじゃな。
    ……それにしても、PKの購入はしばらく前にしておったろうに。
    筆者はここまで何やってたんじゃ」
 杏 「リプレイを書くのがなかなか進みませんからねぇ。
    プレイするだけならいくらでも出来るんですけどね」
劉 髭「この分じゃ、終わるのはいつになるのやら……。
    さて、以上で解説は終わりじゃ。
    解説は、コラムがご無沙汰で出番の欲しい天才老軍師、劉髭と」
 杏 「ちゃっかり解説キャラに収まった金旋夫人、杏
    この幽霊解説コンビがお送りしました〜」
劉 髭ではまた会おう! とおっ!


金 旋「……なんか今、幻が見えたような」
金玉昼「気のせいにゃ」
金 旋「そうか……で、そのパワーアップキットの影響で、
    饗援軍の侵攻は始まったと、そういうことか?」
金玉昼「そうにゃ。今まで攻めてくることがなく安心だった勢力も、
    今後はどうなるかわからない、ということにゃ」
下町娘「ということは……今まで以上に守備に気を使ってかないといけない、と」
金 旋「やれやれ、厄介になったもんだな。
    だが、その程度で我が覇道は止められん!」
下町娘「波動……みよんみよん」
金玉昼「町娘ちゃん、それあんまりおもろないにゃ」
金 旋「さて、現在の状況なんだが……」


劉 髭「そこで再び登場! 劉髭と!」
 杏 「杏です。二人合わせて」

二 人幽霊解説コンビ〜

劉 髭「ちゃっかりと再登場させてもらったぞい」
 杏 「あらあら、大丈夫ですか? 歳寄りの冷や水って言うじゃないですか」
劉 髭「何言っておるかね、杏ちゃんこそ生きておれば今頃50……」
 杏 「うふふふふふふ……」
劉 髭「……ま、まあ、二人とも死んでおるわけだし、歳の話は言いっこなしじゃ!
    は、はは、はははははは」
 杏 「はい、それでは、私たちが211年初頭の情勢を解説致しますね」
劉 髭「正確には2月前後の情勢じゃな。それでは早速、マップおーぷん!」

211年2月勢力分布図
211年勢力図

 杏 「白縁の文字が君主勢力、黄色縁の文字が異民族です。
    210年中に戦闘が行われた地区に、×印がついています」
劉 髭「また、勢力が滅亡したところが3つあるのう」
 杏 「卞霊と蛮望については、リプレイ中に滅亡の話が出てましたね。
    また、211年に入ってすぐに、寿春の髭親父の勢力が曹操・孫権の双方に攻められ
    滅亡しています」
劉 髭「巨大勢力に挟まれた弱小勢力の定めであろうか……。
    むしろ今まで持っていたのが不思議なくらいじゃ。
    そういや、あそこにおった髭の5兄弟はどこへ行ったんじゃろうか」
 杏 「大体が曹操に降ったみたいですよ」
劉 髭「そうか……また曹操が強くなってしまうのう」
 杏 「南に目を転じますと、先にありましたように、蛮望の旧領で董蘭の治めていた
    建寧を饗援がさらに奪いとってます」
劉 髭「女軍団がいよいよ動き出したか……。
    今まで全く戦をせずに兵を溜め込んでおったからの。
    今後も版図を伸ばしそうじゃな」
 杏 「なお、馬騰・張魯は曹操軍と激しくやりあってますが、一進一退。
    状況はこんな感じです」
劉 髭「うむ、解説終わりじゃ。それでは、また会おうぞ!」
 杏 「さようなら〜」


金 旋「……俺、もうだめかも」
金玉昼「え?」
金 旋「見えてはいけないものが見える」
下町娘「ちょっと疲れてるんですよ。今日は休養されたほうが……」
金 旋「うむ……そうさせてもらう」

金旋はその日は休養したそうな。
さて、パワーアップキットに移行しさらに物語は続く。
次回「金旋軍チャンピオンシップシングルマッチ〜襄陽アリーナより生中継」にご期待あれ。


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