○ 第二十章 「金旋茄子〜甘寧興覇を篭絡せよ」 ○ 
210年6月

ミニマップ江陵周辺

6月上旬。
江津港より江陵に入った金旋は、城内の復興は後に回し、すぐに再軍備を進めた。

その少し前に『(江陵陥落後に解放した)劉表が、烏林港に逃げ込んだ』との報告を受け、
その烏林を攻める準備を進めていたのだ。
しかし、劉表1人が逃げ込んだだけなら、構わず放っておいただろう。
烏林の兵は1万3千ほどいたが、劉表が率いている限り物の数ではない。

烏林を攻める理由は劉表本人にはなかった。
もう一人逃げ込んだ将にこそ、金旋は用があったのである。

   金旋金旋

金 旋「欲しい……。あの男が欲しい。あの男が……」

ブツブツ言っている金旋の様子を遠巻きに見つめる、町娘と玉。

   下町娘下町娘    金玉昼金玉昼

下町娘「ねえ玉ちゃん……」
金玉昼「なんにゃり?」
下町娘「金旋さまっていつからホモに?
金玉昼「ああ……最近、とある男に惚れちゃったらしいのにゃ」
下町娘「そうなんだあ……。
    確かに最近は女性の話してなかったけど……。
    で、受けの方? 攻めの方?」
金玉昼「ちちうえの性格からして、攻めかと思うにゃ」
下町娘「んー、でも結構、ホモの人ってその時は豹変したりするらしいし〜」

金 旋だぁれがホモだー!
下町娘「ひえっ」
金玉昼「あ、気付かれたにゃ」
金 旋「そりゃー人の方チラチラ見て妖しい会話してたら気付くわい」
金玉昼「まあまあちちうえ、愛の形は千差万別にゃ」
下町娘「そうですよ、男を好きな男の人がいてもまったく構わないですよ。
    いやむしろ萌えます!
金 旋「いや、勝手に萌えられてもな……。
    つーか還暦間近のオヤジだぞ俺は。相手も50歳くらいだし。
    それでも萌えなのか?」
下町娘「いいんです! 汚い部分は脳内変換して消しますから!
    その設定自体が萌えるんです! それがやおいなんです!
    それにむしろ私個人はオジさん同士の絡みの方が……」
金玉昼「あー町娘ちゃん、ちょっと暴走気味にゃー。
    やおいを語り始めたら長いまひる」
下町娘「そもそもやおいとホモは似て非なるものなんです。
    ホモは男による男と男の恋愛、現実にあるものですが、
    やおいは女が想像する男と男の恋愛。
    つまりやおいは空想の世界でしか有り得ない、理想の男同士の恋愛なんです!
    そう、現実的な部分は取っ払って、好きなものだけ残す!
    ああ、なんて合理的な思想なんでしょう!」
金 旋「し、思想なんだ。やおいって」
下町娘「そうです! 思想なんです!
    男性にだって処女信仰とかおっぱい占いとかあるじゃないですか!」
金玉昼「おっぱい占いはなんか違う気がしまひる……」
下町娘と・も・か・く!
    脳内でハァハァできるセッティングなら、現実でどうなってようと構わないんです!
    まあ現実でも脳内のような世界になってくれるのが理想ですけどね……ふふふふふ」
金 旋「なんかいっちゃってるな……。
    まあ、やおいの思想はよくわかった」
下町娘「そうですか。ご理解いただけて嬉しいです〜」
金 旋「ということはだ、脳内の設定こそが大事で、現実はあまり見ないと」
下町娘「まあ、極論すればそうですね」
金 旋「じゃあ俺がホモじゃなくてもいいわけだ」
下町娘「え〜っ!?」
金玉昼「町娘ちゃん、本気にしすぎにゃ。ちちうえは普通の女好きにゃり」
金 旋「玉、そーいう言い方はやめれ。『普通のスケベ』と言うようにしなさい」
金玉昼「……大して変わりないにゃ」
下町娘「そんなあ……。がっかり……」
金 旋「いや、そんなにがっかりされると、俺が悪いみたいじゃないか」
下町娘いーえ実際に悪いんです!
金 旋そんな理不尽な!?
下町娘「大体、誰なんですか! そんな紛らわしいほどに欲しがるような人って!?」
金 旋「うむ。よく聞いてくれた。その人はな……」

   甘寧甘寧

金 旋「この男だ」
金玉昼「わー。キリっとしてカッコイイにゃ。ホントにこの人50代?」
下町娘「……こんな写真持ってるなんて……。
    金旋さま、表ではあんなこと言ってホントは……」
金 旋「はいはい、妖しい想像は脳内だけで済ませてくれな。
    名を甘寧という。劉表配下の将で、荊州随一の武勇を誇る」
下町娘「へええ…凄い人なんですねえ。
    魏延さんもかなりのものですけど、どっちが強いんですかあ?」
金 旋「ん〜どうなんだろうな。
    甲乙つけがたいだろうが、甘寧の方が紙一重上手のような」
下町娘「へええ〜。それはそれは、欲しがるわけですね。
    そしてこのカッコよさ……惚れても仕方ないですねえ
金 旋「あーのーなー、なんでそっちに持ってこうとするかな!?」
金玉昼「そういうわけで、この人の逃げた烏林を攻める準備を今しているのにゃ」
下町娘「なるほどなるほど、ここのところの慌ただしさはそのせいだったんですね」

   魏延魏延

魏 延話は聞きましたぞ!
金玉昼「わ。びっくりしたにゃー」
金 旋「おう、どうした魏延」
魏 延「はっ……烏林攻め、どうか私を先鋒にしてくださいますよう!」
金 旋「え、ああ。そりゃあ今の我が軍一の将はお前だし、それは考えていたところだ。
    いくら敵の大将が劉表とはいえ、甘寧がいることを考えると、万全を期したいしな」
魏 延「むっ……甘寧ごとき、この魏延にかかればただの凡将だということ、
    しかとお見せ致しましょう!」
金 旋「……なに興奮してるんだ、少し落ち着け」
魏 延「は、はっ、失礼しました」

下町娘「これは……」
金玉昼「あ、町娘ちゃんも気付いたにゃり?」
下町娘「うん、これは間違いないわ」
金玉昼「うん。魏延さん、嫉妬してるにゃ」
下町娘「やっぱりね……。魏延さん、金旋さまに惚れてたのね!?
金玉昼「……えーと、ちょっと違うような……」
下町娘「いやいや、あの興奮具合はきっとそうよ。
    惚れた金旋さまが他の男に気を奪われてるから、
    激しくジェラジー燃やしてるのよ!」
金玉昼「あー。そういう取り方もあるのにゃー」
下町娘「金旋さまを巡って、魏延さんと甘寧が相争う……。
    いいわ! 萌える! 次の本のネタは決まり!
金玉昼「最近なにか描いてると思ったらそういうことだったにゃりね……。
    あ、町娘ちゃん、その本出来たら買いまひる」
下町娘「ふっふっふ、越後屋……そちも好きよのぅ」
金玉昼「いえいえ、お代官さまほどではありませんにゃー」
二 人……いっひっひっひっひっひっ

魏 延「あの二人、何やら雰囲気が怖いのですが……」
金 旋「……ほっとけ。俺はもう疲れた」

少しして、金旋は江陵より2部隊、兵は各1万5千を烏林港へ向け出撃させる。
一方は大将に魏延、副将に魏光。

   魏延魏延    魏光魏光
魏 延「甘寧がなんだ……目にもの見せてやる」
魏 光「ううっ、鞏恋さんはまた別の隊なのかぁ」

一方は大将に金目鯛、副将に鞏恋。

   金目鯛金目鯛    鞏恋鞏恋
金目鯛「魏延どの張り切ってるなあ」
鞏 恋「燃えてたね」

両隊は先を争うように烏林へ向かった。

金玉昼「行ったにゃりね」
金 旋「……いいのか? 魏延に言わずに。
    どうせ烏林につけば分かるだろう?」
金玉昼「多分言うと怒りまひる。
    『私を信頼しておらんのですか』とか絶対言ってくるにゃ」
金 旋「まあそりゃそうなんだが。あいつプライド高いし」

実は、今回出撃しているのは江陵から出た2隊のみではなかった。
江津港に集まっていた兵1万5千を卞柔に率いらせ、水路から烏林を攻めるように指示してあったのだ。
魏延・金目鯛両隊が烏林につく頃には、もう戦い始めているだろう。
三隊、しかも陸と河、両面からの攻撃。
万全に万全を期しての用兵であった。

金玉昼「戦い始めたら怒りなんてどっか行きまひる。
    それよりも、水軍の戦闘力を見ておきたいのにゃ」
金 旋「ああ、それはある。今後も水軍での戦いは有りえるからな。
    江津港攻略の時は相手が小兵だったから参考にならん」
金玉昼「どれほどの被害となるのか……今回はいい実験なのにゃ」
金 旋「うむ。……まあ、俺は甘寧さえ捕らえてくれればそれでいいや。
    なんか知らんが魏延も張り切ってるしな」
金玉昼「……町娘ちゃんも張り切ってまひる」
金 旋「は?」

金旋と金玉昼が状況を見守る中、烏林港での戦闘は始まった。

まず水路を下った卞柔隊が、一足早く到着し、攻撃を開始する。
蒙衝(突撃用の中型船)を用い、兵を倒すとともに港の施設の破壊を試みる。

   卞柔卞柔    甘寧甘寧
卞 柔「かかれ! 蒙衝で港を破壊せよ!」
甘 寧「……ふん、俺に対し水路から来るとはな!
    弩隊! 奴らをハリネズミにしてやれ!」

甘寧の手勢が矢を連射し、卞柔隊を撃退する。
卞柔は水軍の扱いが下手なわけではないが、それでもかなりの打撃を受けた。
これは甘寧の武が勝るということなのだろうか。

烏林の兵がこれに歓声を上げたとき、彼らの背後、陸側から魏延隊が襲いかかる。

魏 延「……ちっ、なぜ卞柔隊まで来ているんだ。
 ええい、攻めろ攻めろ! 我が隊の武を示せ!」

魏延隊より1日遅れて、金目鯛隊も攻撃を開始する。

状況は一変した。
烏林港は大将である劉表の指揮もまずく、局地的に甘寧が踏ん張ってはいたものの、
陸側の防衛線は崩壊寸前となった。
また水路の卞柔隊の兵は減らしていたものの、罵声を浴びせられて次第に士気を奪われていく。

結局、魏延隊が打ちかかってから半月もたたずして烏林港は陥落する。
陥落の際、大将の劉表は逃亡した。

そしてもう一人……。

   魏延魏延    甘寧甘寧

魏 延「……お前が甘寧か」
甘 寧「ああ。そういうお前はあの悪魔超人」
魏 延「名で呼べ。俺の名は魏延だ」
甘 寧「そうかそうか、よろしくなバッファ○ーマン」
魏 延ぎ・え・ん・だ!
    殿がお前を欲しがってなければ、ここで斬り捨てているところだぞ!」
甘 寧「はっはっは、それは残念だったなあ」
魏 延「ぐぐぐぐぐ」

   金目鯛金目鯛

金目鯛「ま、まあまあ魏延どの……。
    甘寧どの、とりあえずは獄に入ってもらおう。
    いずれオヤジの使いがお主を説得しに参るはずだ」
甘 寧「かまわんよ。敗軍の将は大人しくしておこう」

甘寧は獄へと連れていかれた。
それを憎々しげに見送る魏延。

魏 延「くっ……なぜ捕らえた将にバカにされなければならん!
    あの舌引っこ抜いてやりたいわ!」
金目鯛「まーまーまー、落ち着いてくれ。
    今後の軍編成を考えると、甘寧はどうしても欲しいんだってよ」
魏 延「だから我慢している!」
金目鯛「ま、とりあえず寝てる時に流す歌を用意しとかんとな……。
    今のところ登用される意思はなさそうだし」
魏 延「……自分もそれを掛けられていた、と後で知った時には驚いたものだ」
金目鯛「劉髭の爺様の話じゃ、人の先入観を消すだけだって言ってたがな。
    先入観がなければ、その者の本質を見てくれる。
    だから話も聞いてくれるってな」
魏 延「ふむ」
金目鯛「(しかし、それだけじゃねーような気はするけどなあ……)」
魏 延「何か言われたか、金目鯛どの」
金目鯛「いんや、別に」

甘寧に対する睡眠学習催眠登用法は翌日より実行された。
しばらく様子を見ることにする。


210年8月

さて一方、江陵。
金旋は烏林陥落の報とともに、北より別の情報も入手していた。

   金旋金旋    金玉昼金玉昼

金 旋「襄陽が曹操軍に攻められてるようだな」
金玉昼「らしいにゃ。まあ、まだ落ちそうにはないけどにゃ」
金 旋「曹操軍がとうとう上陸してきたか……」
金玉昼「とはいえ、これで江陵はしばらく安全にゃ。
    周りには攻めてくるところはないまひる」
金 旋「確かにな。永安の劉璋は戦後まもない。柴桑の孫権は遠い。
    で、襄陽は戦中ときたもんだ」
金玉昼「襄陽の状況次第では、すぐに軍を出すことも有り得るにゃ。
    烏林の軍を呼び戻しておきまひる」
金 旋「わかった」

烏林には兵5千を残し、魏延らを呼び戻した。
なお、代わりの守将に胡渉を派遣。
捕虜の甘寧が逃亡しないよう見張らせる。

なお江陵の捕虜であった秦泌(シンフク)、劉埼は解放され、自領へと戻っていった。
秦泌は劉表から解放の要請(※)があったからであり、
劉表の子である劉埼は捕虜にしても登用に応じないと判断したためである。

(※ 外交にて捕虜の解放を求めてくることがある。無償で解放すれば人望が上がる。
 また金やアイテムを要求することも可能)


秦泌の解放には金玉昼が難色を示したが、

金 旋「どーせ武力弱いし、またいつでも捕らえられるさ」
金玉昼「それもそうにゃー」

……のやりとりであっさり解決した。

なおこの後、蔡瑁も返してほしいと使者が来たが、
さすがに蔡瑁は今後の戦いに影響が出るため、拒否。
また、甘寧の返還要求も同様に来たのだが、これは即答で断った。
さて、その甘寧は……。

金 旋「どうだ。俺の配下にならないか」
甘 寧「断る」
金玉昼「今入ると、限定品の金旋くん人形をお付けしまひる。
    その上同じものがもう1個ついて大変お得にゃ」
甘 寧「断る」
下町娘「我が軍に入れば、食事3食のほか、3時におやつが出ますよ」
甘 寧「断る」

幾回にも及ぶ登用の誘いにも、甘寧は断り続けたのだった。
人形が10個になっても、おやつのほかに食後のプリンや夜食のラーメンがついても、
甘寧の首は縦には振られなかったのである。

   金旋金旋    下町娘下町娘    金玉昼金玉昼

金 旋「参ったな。ここまで頑なだとは思わなかった」
下町娘「例の賛美歌はずっと流してるんですけどねー」
金 旋「うーむ、どうしてもアイツは登用したいんだがな……」
下町娘「でしたら、ここは一度解放してみては?
    寛大なところを見せてやれば、次は応じるんじゃないでしょうか」
金 旋「いや、それはしたくない。
    解放すれば劉表軍を強めることになるし、曹操に攻められて捕虜にされても困る」
下町娘「うーん、難しいですねえ」
金玉昼「……ここは奥の手を使うしかないにゃり」
金 旋「奥の手?」
金玉昼「そうにゃ……ここは歌を変えるにゃ」
下町娘「歌を? 賛美する歌じゃなくて罵倒する歌にするとか?」
金 旋「いや、それはどう考えても逆効果だから」
金玉昼これを見てほしいにゃ……
金 旋「こ、これは……?」
金玉昼「これはとあるエッチなゲームにゃり」
金 旋「玉! こういうゲームやるのは18歳以上になってから!
    そーいうことする子に育てた覚えはないわよ!」
下町娘「……なぜお姉言葉?
金玉昼「やってはいないから安心しまひる。歌は聞いたけどにゃ」
金 旋「むう……それなら構わんか。で、これがどうした?」
金玉昼「このゲームの主題歌は電波ソングなのにゃ」
下町娘「で、でんぱ?」
金玉昼「これの歌はかなり中毒性が高いのにゃ……。
    聞いた人の多くが、その魔の手に落ちたそうにゃ」
下町娘「な、なんか怖いね〜」
金 旋「う、うむ」
金玉昼「これの替え歌で賛美歌を作り、流しまひる。
    さすれば、今までのが効果薄かった甘寧さんにも、がっちりハートをキャッチにゃ」
金 旋「むー。そんな強力なものを使って大丈夫なのか?」
金玉昼「深層意識に深く働くから、少し情緒不安定になるかもしれないにゃ。
    でも、今はこれ以外に方法は考えられないにゃ」
金 旋「……背に腹は変えられんな。よし、やってくれ」

早速、作戦は開始された。
巫女みこナース主題歌の歌詞を変えて作られた金旋の歌は、夜な夜な甘寧の耳に届く。

『金旋ナース! 金旋ナース!』
『セクシャルバイオレット 金旋ナース!!』
『金旋ナース! 金旋ナース!』
『ソウルトレイン 金旋ナース!!』

甘 寧「う、うう、きんせんなーす……きんせんなーすぅぅぅ」

しかしこの歌を用いても、甘寧の意思が変わるにはもう少しの月日が必要だった。
常人であれば、途中で発狂したかもしれない。
なんという強固な意志だろうか。

さて、時はしばらく過ぎ11月に。
ようやく甘寧は、元同僚の蔡瑁(少し前に登用された)に説得され、登用に応じる。
実に数ヶ月にも及ぶ捕虜生活であった。
金旋ナースを聞き続けたのも、1ヶ月以上になる。

   金旋金旋    金玉昼金玉昼

金 旋「甘寧が着いたか……」
伝 令「はっ。金旋さまに挨拶に参るとのことで」
金 旋「よし、出迎えよう。玉、お前も来い」
金玉昼「はいにゃ」

   甘寧ハイパー甘寧
   ギュワーーーーン

金 旋「か、甘寧……」
甘 寧「はっ、なんザンスか」
金 旋「ざ、ザンス?」
甘 寧「ミーの言葉遣いが変ザンスか?」
金 旋「い、いや、まあその、構わん。
    それよりも、そのヒゲは……」
甘 寧「ミーは年齢の割に若く見られがちだから、ヒゲを伸ばしてみたザンス。
    おフランスの貴族みたいでダンディでナイスミドルな男になったザンショ?」
金 旋「そ、そうか……。オホン、それは今はいいとしよう。
    此度は、登用に応じてくれて感謝している」
甘 寧「はっ、ミーのために何度も何度も使者を送ってくれて恐縮ザンス。
    今後は金旋さまのためにパウダーボーンクラッシュボディの心構えで頑張るザンス」
金 旋「ぱうだーぼーん……ああ、粉骨砕身か。
    わ、わかった。とりあえず出番があるまで休め」
甘 寧「承知ザンス。それでは、金旋ナース!
金 旋「……」

甘寧は退出した。
後に残った金旋は硬い表情のまま、玉に話しかける。

金 旋「玉よ……強化しすぎたな……」
金玉昼「……」
金 旋「言葉も出ないか」
金玉昼「(こくこく)」
金 旋「あの歌は今後封印することにしよう。危険すぎる」
金玉昼「(こくこくこく)」

かくして、甘寧は金旋軍の幕下に入ったのだった。

なお、この後すぐに金旋は精神科医を手配、甘寧をなんとか治そうとする。
懸命な心療治療の結果、言葉遣いは元に戻すことができた。
だが、そのヒゲだけはカールしたままであった。

甘 寧「このヒゲは俺の命だ! 剃るなどできるか!」

外見はともかく、これで魏延、甘寧と勇将を揃えた金旋。
次に目を向けるは襄陽か。

次回、『曹操と袂を分かつ』にご期待あれ。

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