210年1月〜2月
1月上旬、金旋軍は劉表に対し宣戦を布告した。
同時に軍を進発し、江陵侵攻作戦が開始される。
まず第一の目標は、武陵の目の前にある公安港の奪取だった。
武陵から出撃した軍勢は総勢6万。
第1陣は金目鯛隊、兵1万5千。副将に陳応と刑道栄。
第2陣は鞏恋隊、兵1万5千。副将に金玉昼と胡渉。
第3陣は魏延隊、兵1万5千。副将に魏光。
後詰に金旋隊、兵1万5千。副将に下町娘。
同月中旬には、第1〜第3陣が公安港に到着、攻撃を開始する。
守る劉表軍は、兵こそ1万3千はいたものの、それを統率できる将がいないため、
結果としてただ散発的に反抗するのみであった。
同月下旬、金旋隊も到着。
全軍で攻めかかった結果、抵抗する兵は全て討ち果たし、
金旋軍は大した被害もなく悠々と公安港に入ったのであった。
金旋
魏延
金玉昼
金 旋「……月は出ているか?」
魏 延「は?」
金 旋「月は出ているかと聞いている!」
金玉昼「ちちうえ、見えないならその虞羅参外したらどうにゃ」
金 旋「……いや、いいんだ、見えてるんだ。ただ言いたかっただけなんだ。
すまんな、魏延」
魏 延「はあ、構いませんが」
金 旋「しかし公安も、またあっさりと落ちたもんだな」
魏 延「将がいなければこんなものですな。
凡将であっても誰ぞ一人いれば、こうは行きますまい」
金玉昼「劉表の警戒不足、ってとこにゃー。ようするに舐められていまひる」
金 旋「ベロベロと舐めてくれて結構。その分楽できるってわけだ。
さて、次の目標は江津港か」
金玉昼「そうにゃー。兵も千ほどしかいないし、速攻で攻めるべし、にゃ」
金 旋「よし魏延、兵1万5千を預ける。すぐに江津港に攻めかかれ。
副将には玉と鞏恋、陳応、魏光を連れていけ」
魏 延「はっ!」
金 旋「我が軍初めての水戦だ。兵は少ないが油断するなよ」
魏 延「承知!」
金 旋「続いて、兵2万と残りの将は俺の隊として出陣だ。
で、この港は高定(※)・劉鏡あたりを呼んで任せようかと思うが」
(※高定:少し前に韓浩が孫権の元から登用してきた。知力・政治が低い凡武将)
金玉昼「それでいいと思いまひる」
金 旋「よーし、とっとと対岸に上陸するぞっ!」
魏 延「あ、殿。よろしければこれをどうぞ」
金 旋「……ん? なんだこの袋は?」
魏 延「えちけっと袋と申す物です。
船に酔ってエロエロやりたくなったらどうぞ」
金 旋「はっはっは、バカいえ。俺がそうそう酔うものか」
魏 延「お持ちいただくだけでもよいので、どうぞ」
金 旋「まあムダになるだけだと思うがな」
2月上旬、公安港を出港した魏延船団が、江津港に攻めかかった。
公安が奪われたばかりで何の準備もしていなかった江津港は、
抵抗らしい抵抗も見せず数日のうちに陥落。
魏延船団に続き、後発の金旋船団も入港した。
ちなみに金旋のエチケット袋には、
謎の液体がタプンタプンと入っていたという。
金 旋「うぷ……。船ってあんなに揺れるもんだったかね……?
おっとっと」
金玉昼「ちちうえ、地面に降りても身体が揺れてまひる」
魏 延「歳を取って三半規管が弱ると、酔うようになると聞いたことがありますが」
金 旋「魏延……お前まで年寄り扱いするかぁ〜」
金旋は酔いが落ち着いた後、金玉昼と今後について協議する。
江陵付近現状(字・金旋)
金 旋「江津港も取ったな」
金玉昼「そうにゃー」
金 旋「玉の戦略通りなら、次は江陵からここに攻めてくるから、
それを迎撃すればいいんだよな」
金玉昼「うん、そうにゃ」
金 旋「そういやー迎撃するとなると、それが我が軍初めての野戦になるんだな。
うーむ、腕が鳴るなー! 劉表軍め、ギタンギタンにしてやるぞー」
金玉昼「あー、ちちうえ」
金 旋「ん? なんだ?」
金玉昼「ちちうえは戦っちゃダメにゃ」
金 旋「なっ、なんでだ!? 大将だから大事を取れってのか?」
金玉昼「んーん、よわいから」
金 旋「がーーーーーーん!」
金玉昼「ちちうえが兵率いても損害大きくなるばかりにゃ。
ここのところの戦いでそれがよく判ったにゃり」
金 旋「ぐおーーーーー!!
なんてハッキリと言ってくれるのだ!」
金玉昼「というわけで、劉表軍が攻めてきた場合には、
あにじゃと魏延さん、恋ちゃんたちでどうにかしまひる。
ちちうえはボーッとしてていいにゃり」
金 旋「な、なんじゃいそりゃ!
それじゃ、俺がここにいる意味なんてどこにもねえだろ!」
金玉昼「そんなことないにゃー♪
ちちうえには、ちちうえにしかできないことがありまひる」
金 旋「そ……そうだよな! 何もない訳ないよなあ、ははは」
金玉昼「はいにゃ。
江陵を取ったあとに、港に残った兵たちを連れてくるという、大事な役目があるにゃ。
これは兵を多く率いることのできるちちうえにしかできないにゃ(※)」
(※金旋は君主なので、一般の武将より兵を多く率いることができる)
金 旋「……それって、つまり運搬係……」
金玉昼「まあ、そうとも言いまひる」
金 旋「そうとしか言わねー!
もういい! 俺は武陵に帰るぞ!」
金玉昼「ちちうえ」
金 旋「な、なんだ」
金玉昼「あにじゃも、恋ちゃんも魏延さんも、他の人たちも、
皆ちちうえのために働いてくれていまひる」
金 旋「う、うむ」
金玉昼「なのに、ちちうえはやりたくないからと帰っちゃうのにゃ?」
金 旋「う、ぐぅ……」
金玉昼「みんなの苦労なんて考えず、自分のことだけ考えるのにゃ?
それが将たちをまとめる君主の姿なのかにゃ?」
金 旋「ム、ムムム」
金玉昼「何がムムムにゃ。
それに、劉髭の爺さまはそんなちちうえを見たら、なんて言うかにゃ……」
金 旋「あーわかったわかった! やりますよやりゃーいいんでしょ!
俺は責任ある君主だからな!」
金玉昼「うんうん、流石ちちうえにゃ」
金 旋「(玉、最近とみに理屈っぽくなったよなー)」
金玉昼「なんか言ったかにゃ?」
金 旋「んーん、なんにも言ってないにゃー」
金玉昼「……真似しないで欲しいにゃ。
ちちうえがやるとキモイだけにゃ……」
戦略の確認をした金旋は、今後は兵の訓練と港の補修を行いつつ、
江陵の劉表軍が動くのを待つことにする。
江陵の兵が減らねば、こちらから攻撃はできないのだ。
……さて、江津港陥落から数日経ったある日。
荊州周辺の勢力に異変が起きた。
荊州の西に位置する永安城。
ここを拠点にしていた卞霊の勢力が、劉璋に攻められ滅亡した。
ここ数ヶ月、劉璋の梓潼や江州からの軍に激しく攻め立てられていたが、
ついに陥落してしまったのだ。
10人の優秀な息子を持ち、戦い続けた卞霊であったのだが、
やはり領有するのが永安1都市では、劉璋軍には勝てなかった。
卞霊は捕らえられたが、彼の息子たちの何人かは逃亡し、野に下っていった。
この報は、江津港に駐留する金旋の本陣にも届けられた。
金 旋「ふうむ、卞霊がねえ……。
劉璋侮るべからず、といったところか」
金玉昼「確かにあそこは君主はボンクラだけどにゃ、領地も将兵も揃ってまひる」
金 旋「今は領が遠いからいいが、江陵を奪えば隣同士になる。
気をつけなければな」
金玉昼「ま、それを気にするのは後からでもいいにゃ。
それより今は、卞霊の遺産を貰っておきまひる」
金 旋「……遺産?
なんだ、隠し金塊か何かがあるのか?」
金玉昼「金はないけどにゃ。えーと、『なにはともあれ子は宝』。
昔ちちうえが言ってた言葉にゃ」
金 旋「おうおう、子は宝だぞ。
俺にとって玉は大事な宝なんだぞ〜」
なでなでなで
金玉昼「にゃ、にゃふ〜」
金 旋「よしよしよし」
金玉昼「……はっ!? い、いや、それはおいといてにゃ。
実はその卞霊の宝がこの港の近くにいまひる」
金 旋「ほう……奴の子を登用しろってんだな。で、誰だ?」
金玉昼「名は卞柔、十人兄弟の末っ子で一番まとまってる良将なのにゃ」
金 旋「よし。それじゃ俺が自ら会ってこよう」
金玉昼「ちゃんと冷静に話すようにしてにゃ?
ちちうえ、すぐ頭に血が上るから」
金 旋「う、うっさい。ちゃんとやるわい」
港近くの小さな旅館。そこに卞柔がいるらしい。
金旋は、すぐにそこを訪ねた。
金 旋「失礼するー。卞柔どのはおられるかー」
卞 柔「誰だ……劉璋の手の者か?」
金 旋「いやいや、そうではない」(と言って、顔を見せる金旋)
金旋
卞柔
卞 柔「……私は金を借りた覚えなどないぞ。借金取立なら人違いだ」
金 旋「金の取り立てなんかではない!」
卞 柔「と、いうことは……私をスカウトしに来たのか?」
金 旋「うむ。貴殿の腕を見込んで、直々に会いに来たのだ」
卞 柔「ふむ。腕を買われるのは光栄だ。しかし……」
金 旋「しかし?」
卞 柔「私はヤクザになる気はない! 帰ってくれ!」
ピシャリ
金 旋「……え〜と」(呆然としている)
金 旋「……ん〜」(いろいろ考えている)
金 旋「……はっ!?」(思い当たることがあったらしい)
金 旋「俺はヤクザじゃねーー!」
結局、金旋はそのまま港まで戻る。
そして翌日、金旋は部下たちに昨日の話をして聞かせた。
金旋
魏延
鞏恋
金 旋「……と、いうわけでヤクザに間違われたってわけだ。
まったく、失礼な話だよなあ!」
魏 延「そ、それはそれは……。災難でしたな」
鞏 恋「その人の方がね……」
魏 延「こ、こら鞏恋どの」
金 旋「鞏恋……。やはり、この虞羅参が悪いのか?」
鞏 恋「うん。ダメダメ」
金 旋「こんなにカッコイイのに皆はダメだという……。
カッコイイのに……」
魏 延「そ、そう落ち込まれずとも。
初対面の人間には良くないというだけでしょう」
金 旋「そ、そうだよな、ははは。
確かに多少は怖い印象を与えてしまうかもしれんな」
鞏 恋「多少どころじゃないような」
金 旋「む、むむむ」
伝 令「申し上げます!
金旋さまにお会いしたいと申す者が参っております」
金 旋「俺に? その者の名は?」
伝 令「はあ、それが。
『賢人を求めるつもりがあるのなら、名など聞かずとも会うであろう』
と言っただけでございまして」
魏 延「ほう。面白いことを言うものですな」
金 旋「ふふん、俺を試すようなことを言う。よし、連れてこい」
伝 令「はっ」
???「お初にお目に掛かります。
金旋さまが有能な人材を欲しているとお聞きし、こうして参りました。
よろしければ幕下に加えて頂きたく思います」
金 旋「うむ。確かに人材は欲しがっているぞ。
が、しかし……。貴殿、どこかであったような……」
???「はて……? 以前にお会いしたことなど……あ」
卞柔
金 旋「ああーーーー! 卞柔!」
卞 柔「あ、あのときのヤクザ!?
な、なんでこんなとこに……って金旋……え、ええっ?
ええええええ!?」
鞏 恋「凄い驚愕ぶり」
魏 延「そりゃそうでしょうなあ」
金 旋「そこ、外野うるさい。
……そーかそーか、仕官しに来たのは卞柔だったか」
卞 柔「え〜と、その〜、あのですねぇ〜」
金 旋「ふっふっふっふっふっふっ」
卞 柔「ひ、ひぃぃぃぃ」
金 旋「卞柔!」
卞 柔「は、はひぃぃぃ!」
金 旋「幕下に加わることを許す! 以後我が軍の将として働くがいい!」
卞 柔「……は?」
金 旋「お前は会ったこともない金旋という君主に、仕えるに値するものを感じた。
だからこうして仕官しに来たのだろう?」
卞 柔「は、はあ。これから必ず勢力を伸ばしていくであろうと思い……」
金 旋「そうお前が思ってくれたことの方が、ヤクザに間違われたことよりはるかに大事だ。
そのような男を俺は配下にできる。何の不満があろうか?」
卞 柔「は……はっ! 以後、忠勤に励みます!」
金 旋「うむ、期待するぞ!」
魏 延「見事ですな、殿。人の心を掴む術を心得たようですな」
金 旋「ふっ……そうか? ふふーん」
鞏 恋「そーでもないと思う。今日はたまたま」
魏 延「きょ、鞏恋どのっ!
本音はそうでも、ここはおだてておくのが基本ですぞ!」
金 旋「……そーか、ただのおだてか」
魏 延「ヒィー、しまった!」
鞏 恋「……墓穴掘ってる」
この後、魏延を相手にキ●肉マンごっこに興じた金旋だった。
金 旋「どりゃああああ! ハリケーンミキサー返しぃぃぃぃ!」
魏 延「うわーーーーーーーー!」
(ゲーム中でも、卞柔は登用を断った後に仕官してきた。
どういう性格しているかさっぱりわからん)
江津港に軍を留め置き、江陵を狙う金旋。
金玉昼の戦略眼通りに、劉表軍は出てくるのか?
そしてその戦いに勝利し、江陵を奪うことが出来るのか?
それでは次回へファイナルフュージョン承認!
これが勝利の鍵だ!
『君主元気で留守がいい』
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