210年のリプレイを始める前に、他勢力の状況を説明しておきます。
まずはマップを御覧ください。
白縁の文字が君主勢力、黄色縁の文字が異民族です。
210年勢力図
210年中に戦闘が行われた地区に、×印がついています。
そのうち、都市占領に至ったものは以下の1件。
・曹操軍が申耽領の西城を占領。これにより申耽軍、消滅。
なお、209年中に結成された反曹操連合は大した効果を挙げぬまま1年が経ち、
7月に解散になっています。
金旋軍の動きについてはこれまでのリプレイをご覧ください。
それでは、リプレイを再開します。
210年1月
210年元旦。
武陵にいる諸将を集め、金旋は年賀の宴を開いた。
宴も盛り上がる中、金旋は昨年負傷した魏延と金目鯛に声を掛ける。
金旋
魏延
金目鯛
金 旋「おーうお前ら。怪我はもう大丈夫か?」
魏 延「はっ、もうすっかりよくなりました」
金目鯛「ああ、ケツに出来た傷も治って、普通に座れるぜ」
金 旋「ケツ? なんでまたそんなとこ怪我すんだ」
金目鯛「いやな、焼き討ちする前に敵兵に見つかってな。
それで隠れようとして、なんとか小さな穴を見つけたんだよ。
で、上半身まで突っ込んだのはよかったんだが、
ケツの部分でつっかえてよー」
魏 延「お約束ですな」
金 旋「それで、ケツにブスっとやられたか」
金目鯛「ああ。まあ、真中に刺さらなかったのが不幸中の幸いだった。
穴に刺さってたら何倍も辛かっただろうな」
魏 延「想像したくありませんな……」
金 旋「その前に想像させんなよ……。
まあいい、お前らも治ったということで、早速いくぞ」
金目鯛「行くって……この後の二次会か?
俺はカラオケがいいなー」
魏 延「い、いや、目鯛どの、カラオケはやめておきましょう」
金目鯛「えー、いいじゃねーかよ」
金 旋「お前の歌は聞くに堪えんからやめれ。
つーか行くってのは二次会じゃねーわい」
魏 延「……と、言いますと?」
金 旋「行くのは港だ」
金目鯛「おー久しぶりだな。
今度は誰をコンクリ詰めにして沈めるんだ?」
魏 延「こ、こんくり? 沈める? なな何をやるんですかっ!?」
金 旋「こら! 俺がいつそんなことをやった!
違うぞ魏延、俺はそんなことはやらん」
金目鯛「おやおや、親父もカタギづらするようになっちまったか〜」
魏 延「……ガクガクブルブル」
金 旋「コラコラ、魏延が震えているぞ。
……って、まぁやるのは似たようなもんなんだがな」
魏 延「ひ、ひぃぃぃぃ」
金目鯛「……マジかよ。冗談だったのに」
金 旋「ま、やる相手は劉表軍なんだがな」
魏 延「……はっ」
金目鯛「お。いきなり雰囲気が変わった」
金 旋「んー武人の顔になったな、魏延。いい顔してるぞ」
魏 延「公安を攻めるのですな?」
金 旋「ああ、すでに玉と協議済みだ。すぐ出陣するぞ」
魏 延「はっ! 承知しましたぞ!」
金目鯛「おいおい、出陣前に酒飲ませんなよ」
金 旋「どうせ行軍中に抜けるだろが」
金目鯛「……ふむ、たしかに」
金 旋「今回は落とせば終わりじゃないからな。
連戦になるぞ、しっかり準備しろ」
魏 延「はっ!」
金目鯛「了解だ!」
宴の後、城は出陣準備のあわただしさに包まれた。
劉表の有する公安港を奪い取るため、出陣するのである。
そんな中、執務室で準備に追われる金旋の元に金玉昼がやってくる。
金玉昼
金玉昼「ちちうえー」
金 旋「お、どうした、玉。出陣準備はもう終わったのか?」
金玉昼「それはまだにゃ。その前に、恒例のアレをやっときまひる」
金 旋「アレ……?」
金玉昼「今年の目標にゃ」
金 旋「ああ、そういやそんなのがあったな。
とはいえ、今はそんな暇ないだろ?」
金玉昼「ダメにゃー! さっさと決めるにゃり!」
金 旋「……頑固だな玉も。
じゃ、『江陵をいただく』でどうだ」
金玉昼「……いただいちゃうのにゃ?」
金 旋「ああ、今年中にはいただいちゃいたいねえ」
金玉昼「そう……じゃ、あっちにも送っておきまひる」
金 旋「??? よくわからんが、頼んだ」
金玉昼「はいにゃ」
金旋軍の今年の目標は、『江陵をいただく』になったわけだが。
……後日、劉表領の江陵でちょっとした騒ぎがあった。
劉 埼「ち、父上! こ、このような怪しいものが、舞い込んできました!」
劉 表「なにっ……どのように怪しいのだ? 早く見せい」
劉 埼「はっ、こちらで」
劉 表「はっ!? こ、これは、確かに怪しいっ!!」
キンセンカード
ババーーーーーン
さて時と場面は戻り、出陣前の武陵。
金旋邸では、バタバタと出陣直前の準備に追われていた。
もう少しすれば、城外で出陣式が行われる時間である。
金目鯛
金玉昼
金目鯛「そろそろ集合時間だな。早く行かないと鞏志どのに怒られるぞ」
金玉昼「ちちうえ早くー! そろそろ時間だにゃー!」
金 旋「ちょっと待ってろ、今行くー」
金玉昼「ちちうえも、もう少し時間に余裕のある行動取れればいいのににゃー」
金目鯛「性格が性格だ、仕方ねえ。俺もそうだしなー」
ばたばたばた
金 旋「おう。待たせたな」
オシャレ金旋
シャキーン
金玉昼「おわあ! ヤ、ヤクザにゃー!
あにじゃーへるーぷ!」
金目鯛「なんだなんだ、この武陵にもいよいよヤクザが進出かー?
しかし、この都市でヤクザの活動は許すわけにはいかん。帰れ!」
金 旋「ヤクザじゃない! 俺だ俺!」
金目鯛「あ、おやじ? なんだ、変なカッコしてるから」
金玉昼「あやしさバリバリにゃ……」
金 旋「ふふん。これは虞羅参(ぐらさん)といってだな、
明るい光を見ても眩しくなくなる代物なのだ」
金目鯛「へえ……黒い何かが透けて、向こう側が見えるようになってるのか。
それ、面白いな。俺にもくれ」
金 旋「これひとつだけだからダメ」
金目鯛「ちっ、ケチ」
金玉昼「でもガラ悪く見えまひる……」
金 旋「そーでもねーだろ? 渋くてカッコイイだろうが」
金玉昼「そうかにゃー」
下町娘
鞏恋
下町娘「まだですかー? 皆さん待ってま……。
うわあ! ヤクザぁー!?」
鞏 恋「……どこの組の人?」
金玉昼「ホラ」
金 旋「傷付くなあ……。
町娘ちゃん、鞏恋。俺だ俺、金旋だ」
鞏 恋「あー。そう言われれば」
金 旋「言われずとも気付いてくれ……」
下町娘「……どうしたんですか、それ?
つぶらな瞳が隠れて男前が台無しですよ」
金 旋「つぶらな……ってなあ。
俺はこっちがカッコイイと思うんだが」
金目鯛「いいんじゃねーの?
どうせ出陣中で外にいるんだ、眩しい光を防げるのはいいと思うぜ」
金 旋「うむ、そうだよな」
金玉昼「うん、眼が老いるのを防止しまひる。
もう歳なんだからにゃ」
下町娘「どうせなら老眼鏡効果のついたものを使った方が……」
金 旋「……あーあーうるせー!
老いた老いた言うなーっ!」
鞏 恋「……歳が気になるようになったら老いた証拠」
金 旋「がーーーー!」
出発直前
鞏志
出陣式を終え、武陵に残る鞏志に金旋は太守の印綬を渡した。
鞏志は一礼してそれを受け取る。
金 旋「それじゃ、後は任せるぞ」
鞏 志「はい、留守はお任せください」
金 旋「いや……留守ではない。
俺は江陵を獲るまでは戻らないつもりだし、
江陵を獲れば獲ったでそこに留まることになるだろう。
つまり、今後武陵のことは全部任せるってことだ」
鞏 志「はっ……はい! お任せください。
今後は資金や兵などを供給する補給基地として、運営致しましょう」
金 旋「ああ、頼んだ。
……お前は戦場ではそうでもないが、後方支援に置くと一番頼りになるな。
『高祖(※1)に簫何(※2)あり』とするなら、金旋には鞏志ありだ」
(※1 漢初代皇帝、劉邦のこと)
(※2 漢三傑の一人に数えられる、漢帝国初代丞相。
秦や項羽との長い戦いにおいて、一環して補給・後方任務を担当した。
劉邦が局地戦では何度も負けながら最後に項羽を倒せたのは、
後方にいた簫何が補給を切らさず、常に兵を供給し続けたことに拠るところ大。
丞相になってからも不安定だった漢の地盤を固め、後世にまで名を残した)
鞏 志「も、勿体ない言葉です……」
金 旋「は、ははは、そう感極まられてもなあ。
今のはただの世辞だぞ?」
鞏 志「はい……わかっております。
金旋さまは世辞が上手にございますな」
金 旋「そうか……そうだろう」
金目鯛「おやじー。そろそろ時間だぞー」
金 旋「ああ、今行く!」
鞏 志「それでは、後はお任せくださいませ。
御武運をお祈りいたしております!」
金 旋「おう! 吉報を待ってろ!」
鞏志らに見送られ、軍は武陵を進発した。
目指すは公安。そして、その先にある江陵……。
いよいよ、金旋軍は北を目指し始めた。
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