○ 第十一章 「ろりっ子、世にはばかる」 ○ 
209年のリプレイを始める前に、他勢力の状況を説明しておきます。
まずはマップを御覧ください。
白縁の文字が君主勢力、黄色縁の文字が異民族です。

209年1月勢力分布図
209年勢力図

209年中に戦闘が行われた地区に、×印がついています。
そのうち、都市占領に至ったものを挙げておきます。
・曹操軍が公孫康領の襄平を占領。これにより公孫康軍、消滅
・曹操軍が劉備軍の新野を占領。これにより劉備軍、消滅

また、君主が捕縛され斬られたのが一件。
・曹操軍、武関の張芽軍を殲滅。その際に張芽が斬られる。後継は申耽。

以上です。
なお、金旋軍の動きについてはこれまでのリプレイをご覧ください。
それでは、リプレイを再開します。


〜209年1月

209年の元旦、場所は武陵。
金旋は執務室で、娘の金玉昼の挨拶を受けていた。

   金旋金旋     金玉昼金玉昼 

金玉昼「成人致しました故、本日より幕下に加わりまする金玉昼にゃ!
    よろしく頼みまひる!」
金 旋「……なあ、玉。成人したからには、
    その言葉遣いをどうにかしなくては、と思わんか?」
金玉昼「こればかりは、どうにもならないまひる」
金 旋「はあ……ま、いいだろ。
    頭はいいんだから、皆の助けになるはず……」

金玉昼 [キンギョクチュウ]
金玉昼(炉李)
参謀
15歳(209年現在)
統率61
武力27
知力90
政治84
(架空)
兵法:斉射・造営・石兵・罠破・教唆・混乱

金 旋って頭良すぎーーっ!」Σ( ̄□ ̄;)ガビーン
金玉昼「ふっふっふ、まあこの玉に任せてほしいまひる」
金 旋「う、うむ……期待しているぞ」
金玉昼「あ、そうそう。鞏志さんから、
    『今年の目標を決めておいて』って言われてたにゃり」
金 旋「鞏志が?
    そういやあいつ、昨日酔っ払ってフラフラになってたと思ったが」
金玉昼「今日の朝早くに、長沙に戻っていったまひる」
金 旋「……正月くらい、休めばいいのになあ。
    ありゃ、近い将来ハゲるな」
金玉昼「一番苦労を与えてるのは誰かにゃー」
金 旋「で、何の話だったか?」
金玉昼「知らん振りしていまひる……。まあいいけどにゃ。
    それで、今年の目標はどうするのにゃ?」
金 旋「貧乏克服、軍備拡張……ときたからな。ならば今年はこれだ!
    『人は石垣、人材を増やせ!』だ!」
金玉昼「ふむふむ、人を石垣の代わりにする、ということにゃ?
    つまりは『人柱』ならぬ『人垣』を実際に作り、
    民に見せつけてその恐怖によって民を支配しようと……。
    さすがちちうえ、人の斜め上を行く発想にゃ」
金 旋「なぜそうなる!」
金玉昼「冗談にゃ。人材登用を軸とした武将の増員計画にゃりね。
    いわばスカウティングの強化、ということにゃー」
金 旋「う、うむ、そういうことだ(玉も難しい言葉使うなー)」

今年の目標が決定しました。

今年の目標
209年の目標。

金 旋「ふーむ」
劉 髭「なんじゃ、正月そうそう難しい顔してからに」

   劉髭

金 旋「おう、軍師。いや、今年の目標を決めたわけだが……」
劉 髭「うむ、よい目標じゃ。
    金を増やし、兵を増やし、今度は人材というわけじゃな」
金 旋「ああ……。俺もいい目標にしたと思ったんだが……」
劉 髭「なんじゃ、なんぞ問題でも?」
金 旋「うむ……」

金 旋「人材はどうやれば増えるんだ?」

劉 髭「…………」
金 旋「あ! 呆れてるな!? 呆れてるだろ!?」
劉 髭「そりゃ呆れるわい。
    おぬし、1年目も人材を集めようとしておったじゃろうに。
    もう忘れたのか? ワシよりも老化が激しいのかのう」
金 旋「忘れてはいないって。自軍領内の探索と他勢力からの登用。
    この2つ、そりゃもう何度もやったからな」
劉 髭「じゃ、何が問題じゃ」
金 旋「いや、探索しようにも、もう武陵も長沙も散々探してきた。
    もう新たな人材はそう出てこないだろう。
    また登用しようにも、そうそう不満ありそうな奴らもいない。
    登用しに行っても門前払いがオチだ」
劉 髭「なんじゃ、そんなことか」
金 旋「そんなことって……。じゃどうやるってんだ」
劉 髭「ふふん、まあ教えてやろうぞ。
    まず探索じゃが、こればっかりはしょうがないの。
    探してもそうは出てこんであろう」
金 旋「おいおい、やっぱダメじゃねーか」
劉 髭「まあ、そう慌てるな。
    次に他勢力からの登用。確かに以前と違い、不満を持ってそうな者は少ないのう。
    しかし、じゃ。無理矢理に不満を持たせてやったらどうじゃ?」
金 旋「は? 無理矢理だあ?」
劉 髭「うむ。要は計略じゃ。離間の策……という奴じゃな。
    その者に、仕えてる君主のあることないことを吹き込んでやるのじゃよ」
金 旋「ははあ……。ようするに君主への不信感を植えつけてやるわけだな。
    なんだよ、前に登用できずに困ってた時、それやってくれればよかったのによー」
劉 髭「それが、ダメなんじゃな。
    ワシでもなかなか成功させるのは難しい。
    これは知力勝負なんじゃ。怪しまれたらアウトじゃからのう」
金 旋「……じゃ、ダメじゃねーか。
    軍師がダメなら、他の者じゃもっとダメだ」
劉 髭「ちっちっち、ところがじゃ。
    以前は誰もおらんかったが、今はそれに適役がおるのじゃ」
金 旋「もしかして……?」
劉 髭「うむ。玉昼ちゃんじゃ。
    あの子は実に頭の回転が速い。うってつけの役じゃ」
金 旋「なるほど……。たしかに玉なら、ころっと騙してくれそうだ」
劉 髭「ま、これが効くのは、それほど頭はよろしくない者にだけじゃがな。
    というわけでそれでもダメならば、第3の方法じゃ」
金 旋「なに? 第3の方法なんてあるのか?
    コマンドは探索と登用しかないのに!?」
劉 髭「……こまんど?」
金 旋「あ、いや、気にすんな」
劉 髭「ん、まあええわい。第3の方法は、な。
    ぶっちゃけた話、とっ捕まえろということじゃ」
金 旋「……ああ、戦争で捕虜にしろってことか」
劉 髭「まあ余りスマートなやり方ではないがな。
    捕虜にしてしまえば、通常の時よりも登用に応じやすい」
金 旋「んじゃ、やっぱり劉度のとこか」
劉 髭「そうじゃのう。
    あそこの配下には質のよい文官が揃っておるようだしな」
金 旋「結局、戦しかねーのね……」
劉 髭「ま、乱世じゃからな」
金 旋「じゃ、さっそく玉に頑張ってもらうか……」

数日後。

場所は益州、建寧。南蛮出身の君主、蛮望が治める地である。
その蛮望の配下である張常(32歳独身)の元に、一人の少女がやってきた。

金玉昼「ごめんくださいにゃー」
張 常「ん、どなたかな……はあっ!?

   金玉昼金玉昼 
ドッギャーン

張 常「か、可憐だ
金玉昼「……ん?」
張 常「い、いや、どうしたのかね? 私の家に何か用かな?」(ドキドキ)
金玉昼「張常さまにお会いしたくてきたまひる。
    あ、申し遅れたにゃ、私は金玉昼といいまひる」
張 常「金玉昼……? どこかで聞いたような。
    ……たしか、最近金旋の配下になった者がそんな名だったか」
金玉昼「はいにゃ、金旋は私のパパ……もとい、父なのにゃ」
張 常「ほう……で、その金玉昼どのは私を登用しに来たのか?」
金玉昼「うーん、確かに来てくれれば父は喜ぶにゃ。
    でも今回は違うにゃり。ご忠告を言いに来たまひる」
張 常「……忠告?」
金玉昼「あなたのような人が蛮望に仕えているのは、勿体無い、ということまひる」
張 常「いや、そうは言うが……蛮望さまにはそれなりに良くしていただいている。
    裏切るわけにはいかん」
金玉昼「……あの男の実態を知っても、そう言ってられますかにゃ?」
張 常「実態?」
金玉昼「あの男がなぜ貴方を厚く遇するのか……。
     その実を知りたくはないですかにゃ?」
張 常「何か知ってるというのか?」
金玉昼「実は、あの蛮望という男……。
    ホモなのにゃ」
張 常「な、なんと!?」
金玉昼「そして、配下の将をいただいちゃってるとのもっぱらの噂にゃ」
張 常「そ、そんな。信じられん」
金玉昼「次はあなたの番かも知れないまひる……。
     悪いことは言わないまひる。早く違うとこに鞍替えした方がいいにゃ」
張 常「いや、しかし……。
     君は敵軍の将だ、その言葉を信じるわけには……」
金玉昼「この目が、嘘を言ってるように見えますかにゃ?」

キラキラ

張 常……可憐だ
金玉昼「ん?」
張 常「い、いや、なんでもない。
    た、たしかに嘘をついてる目には見えないが……」
金玉昼「まあ、今日明日襲われるとは思えませんにゃ。
    少しは猶予もありまひる、その間よく考えてほしいにゃ。
    それでは、さようならにゃ」
張 常「あ、金玉昼どの……」
金玉昼「ん?」
張 常「ま、また来てくださるかな?」
金玉昼「うん、来ていいなら、また来まひる。では〜」

張 常「蛮望どのが、ホモ……。
    たしかに私を見る目には、何か妖しい光を感じるような……。
    あまり近づかぬ方がよいのかもしれんな。

   参考までにウッフン蛮望蛮望の顔
 
    そ、それにしても、金玉昼どの……。
    なんと、なんと可憐な少女なのだ


この後から張常の元に、金旋から登用の使者が何度か来るようになる。
だがその使者の言葉に、張常は頷くことはなかった。
しかし、1月末に金玉昼が登用に再度訪れた時、
彼は実に嬉しそうに金旋の将となることを承諾したのである。

……また妖しい人材が、金旋軍の幕下に加わった。

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