208年のリプレイを始める前に、他勢力の状況をしておきます。
まずはマップを御覧ください。
208年勢力図
前年から領地の変化はないものの、戦闘はいくつかの箇所で起きています。
曹操軍が公孫康領の襄平に侵攻。
それに反応したか、北の異民族の烏丸が、曹操領の北平、薊にたびたび侵攻。
馬騰軍、曹操領の長安に侵攻。
張魯軍、同じく長安に侵攻。
張芽軍、これも同じく長安に侵攻。武関(関所)を落とす。
劉備軍、曹操領の汝南に侵攻。
董蘭軍、蛮望領の建寧に侵攻。
確認された戦闘は、以上です。
未だどの勢力も、侵攻した都市は占領に至っていません。
それでは、リプレイを再開します。
〜208年1月
208年1月2日、武陵。
城の中心にある大きな建物。
正式名称は判らないが、便宜上「太守府」としておく。
そこで、武陵太守とその軍師が論議していた。
その議題は……。
金旋
劉髭
金 旋「だからさっきから言ってるだろう。
大きさが戦力の決定的な差ではない!」
劉 髭「いやいや。確かにおぬしのいうこともわかる。わかるのじゃが……。
しかし、大は小を兼ねる。大きさこそが第一じゃ!」
金 旋「わっかんねージジイだな。
肝心なのは大きさよりも、形だっつーの!」
劉 髭「おぬし、実際に見たことがないのであろう。
ワシが昔見たときは、もの凄い迫力だったぞ?
おぬしも実際に見てしまえば、そのように小にこだわることなど無くなる!」
鞏志
鞏 志「これはまた……熱心に論を交わされてますな」
金 旋「お、鞏志。いいところに」
劉 髭「おぬしはどうじゃ! どっち派じゃ!?」
鞏 志「どっち、とは……?」
金 旋「『乳はデカければいい派』と
『形、色が良ければ大小は関係ない派』だ」
鞏 志「…………」
劉 髭「ビッグなナイス乳に敵うものなどない!」
金 旋「あほぅ! いくら大きくても形の悪い乳に用はない!
見事なお碗型の張りのある乳! そうであれば大きさは問わん!
むしろ大きすぎる乳はキモい!」
劉 髭「おっぱいは決して怖くないぞい! 自信を持てい!」
金 旋「そっちこそ、でかけりゃいいってもんじゃないことを肝に銘じておけ!
女性の敵だぞ!?」
鞏 志「がーーーーーーー!」
劉 髭「おわ!?」
金 旋「わっ、どうした鞏志!?」
鞏 志「女性を胸で判断するのは良くないことです!」
劉 髭「む。確かに」
金 旋「その通りだな」
鞏 志「いや、それ以前に、一国の君主とその軍師のする会話ではありません!
何をクソ真面目に乳論議など交わされてますか!」
劉 髭「……確かに」
金 旋「……その通り」
鞏 志「と、いうわけで。
真面目に今後のことを考えながら、今年の目標を決めてください」
金 旋「おう、あれか。去年の目標『貧乏を克服しよう』は見事達成したな」
劉 髭「うむ、途中はどうなるかと思ったが、今はもう財政は十分潤っておるな。
民の暮らしも良くなっておるぞ」
金 旋「ああ、実に充実した一年だった」
鞏 志「それも踏まえて、今年はどうするかお考えください」
劉 髭「そうじゃな……。今年こそは脱童貞を……」
金 旋「それはもういいっちゅーねん」
劉 髭「まあ冗談はこれくらいにして。
……そろそろ外に目を向けてもいい頃合いかもしれんな」
金 旋「外か。……とはいえ、攻めるには兵も将もまだまだだな」
劉 髭「まあ、すぐにどうこう出来るとは思えんがな。
しかし準備を進めることは必要じゃろ」
金 旋「よし。それじゃ軍備拡張路線で行こう。兵ももう少し欲しいと思ってたとこだ。
で、チャンスがあれば他国侵攻……ということで」
鞏 志「ふむ、外征……ですか。意外ですね」
金 旋「ん? そうか? 気にいらんか?」
鞏 志「いえ、少しびっくりしただけです。そのようにお決めならそれでいいと思います。
字はまた玉昼さまに書いてもらうということで、よろしいですか?」
金 旋「うむ」
鞏 志「それでは、失礼致します」
ちゃちゃーん。
208年の目標が決定しました。
208年の目標。
劉 髭「ゲット……だぜ?」
金 旋「あー、爺様は元ネタがわからんのか」
劉 髭「ば、バカにするでないぞ! 確かあれだ、あの歌!」
金 旋「……歌?」
劉 髭「『ゲットだぜー! ぱわーふーるだまーしいー』とか唄ってたかの」
金 旋「年配の人はそっち方面に行くのね……」
劉 髭「おぬしも年配じゃ」
金 旋「いや、まあ、そうなんだが」
早速、軍備拡大を図る金旋軍。
多くの兵を徴兵し、兵を2万人に揃え、訓練を始めたのだった。
そして、1月も下旬に差し掛かる。
〜208年1月下旬
金目鯛
鞏恋
金目鯛、鞏恋は揃って兵の訓練をしていた。
金目鯛「今旬も訓練訓練、と。いやー武官の仕事があっていいな!」
鞏 恋「……武官じゃない仕事もあるの?」
金目鯛「おう。小銭が落ちてないか見て回ったりだな(※探索のことらしい)
人を訪ねて門前払いを食ったりするんだよ(※登用のことらしい)」
鞏 恋「……それはそれで面白そう……」
金目鯛「まあ、書類を前にしてウンウン唸る仕事よりはマシだがな。俺にゃ無理だ。
その点、お前の親父さんは凄いよ。親父も頼りにしてるしな」
鞏 恋「……そうでもない。あの人、あんまり頭良くない」
金目鯛「そうか?」
鞏 恋「ただ、ああいう仕事が好きなだけ」
金目鯛「そんなら、それでいいだろ。
孔子も言ってるだろう、『汁物、飲み物に敷かず』ってな」
鞏 恋「……え?」
金目鯛「たしかな、
『その事を知ってるだけの者よりも、その事を好きな者の方が勝る』
って意味だったはずだ」
鞏 恋「……それなら『知る者は好む者に如かず』だったはず」
金目鯛「……あー。確かに、そうとも言うな」
鞏 恋「そうとしか言わない……」
伝 令「失礼致します!」
金旋直属の伝令が、二人の前に来ていた。
金旋から将に何かを伝える際には、いつも彼が走って伝えている。
金目鯛「どうした。親父からの伝令か?」
伝 令「はっ。太守より皆の耳に入れておけ、と言われました故、お伝え致します」
金目鯛「うむ。聞こう」
伝 令「長沙の韓玄、揚州の孫権に対し宣戦布告!
時を同じくして長沙より軍を発し、兵1万5千にて柴桑を目指してるそうにございます!」
金目鯛「ほう……」
鞏 恋「……ふぅん」
金目鯛「ご苦労。承知した」
伝 令「はっ、では他の方の元にも参ります故」
伝令は走って去っていった。
〜同年同月同日
金旋
劉髭
場所は変わって太守府の執務室。
金 旋「フッ……動き出したな、韓玄のバカが」
劉 髭「うむ。金旋のバカが狙ってるとも知らずにな」
金 旋「誰がバカだ!」
劉 髭「バカじゃないのかの?」
金 旋「いや、確かにバカだが……。
ええい、シリアスにやろうとする矢先にこれだ!」
劉 髭「似合わんからいつも通りにした方がいいぞい」
金 旋「はいはい。じゃ、荊南の地図と情勢がこれだ」
荊南情勢
劉 髭「韓玄軍が長沙を出、柴桑に向かっておる。その兵、1万5千。
差し引き、長沙の兵は1万じゃ。留守を守る将は魏延」
金 旋「魏延か、長沙じゃ黄忠に負けず劣らずの良将だ。
守勢に置いとく将じゃねーよな、もったいねえ」
劉 髭「まあ、それだけ韓玄も守備を気にしているということじゃろ」
金 旋「さて、ここで俺らはどう出るか、だが」
劉 髭「このチャンスを逃す手はない、攻めて攻めて攻めて、やめてやめてやめて……」
金 旋「何言ってる」
劉 髭「お、おうすまぬ。ま、ここは攻めていくしかないじゃろ」
金 旋「そうだな。まあ今の兵じゃまだ少ないから、徴兵して2万5千……。
できれば3万くらいまで兵を増やしてから攻めたいものだ」
劉 髭「しかし、あまり悠長にしていては機を逸するかもしれぬぞ?」
金 旋「そこはまあ臨機応変にいこうや。
幸い、長沙から柴桑までは遠い。かなり時間的な余裕はある」
劉 髭「ふむ。となればその後、兵をどう進めるかじゃが……」
金 旋「どうって、こうしかねーべ? 長沙に向かって一直線、と」
金旋案
劉 髭「いや。長沙を落とすだけならそれで良いかもしれんが。
その後のことを考えるとマズいのう」
金 旋「ん? その後?」
劉 髭「兵を減らした長沙、武陵に、劉度・趙範が攻めてくる可能性がある」
金 旋「……そんなこと言ったら、攻めることなんて出来ないぞ?」
劉 髭「いや、攻めるルートで迎撃できるようにしておけばよいのじゃ。
すなわち……」
劉髭案
劉 髭「この衡陽の地に、城塞を築いておくのじゃ。(※1)
さすれば、長沙を攻めるにも行軍が短くて済む。
また、戦後に劉度軍や趙範軍が攻めてきた場合でも、
武陵、長沙のどちらに向かうにしろ、山や川のせいで必ずこの衡陽を通らねばならぬ。
それをこの城塞で迎え打つ!」
(※1 今作「三国志9」では、都市の他に『地域』という概念が存在する。
収入はないものの、城塞や砦、陣などの施設を建設することにより、防衛や出撃の拠点にすることができる。
ただし、ひとつの地区にひとつの施設しか建設できない。
今回の場合、武陵郡に属する衡陽に城塞を築こうとしている)
金 旋「す、すげえ……なんて戦略だ!
ただの色ボケじじいじゃなかったんだな!」
劉 髭「カッカッカ。今頃気付いたか」
金 旋「よっ名軍師!
貴方はわしの范増だ!(※2)」
劉 髭「カカカ、そう持ち上げるでない」
(※2 范増[ハンゾウ]……『項羽と劉邦』の時代の人物。項羽の軍師を務めた爺さん。
項羽に亜父(父のような、尊敬すべき人)とまで呼ばれるほどの名軍師だったが、
後に項羽は劉邦軍の離間の策に嵌まり范増を遠ざけてしまう。
范増は失望し項羽の元を離れ、その後すぐ背に腫れ物が出来て死んだ。
「范増のような人だ」という言葉は、老軍師にとって最大級の賛辞と言えよう)
金 旋「とまあ、おだてるのはこのくらいにしておいて」
劉 髭「……素に戻るのが早いのう」
金 旋「しかし……なるほど、こうすれば武陵にも戦火は及ばんな。
領民も安心ってわけだ」
劉 髭「うむ。まあ城塞を作るのに金がかかるが、我が軍にはやりくり上手な将が多い。
あまり金を使わず作れることじゃろう」
金 旋「ふっふっふ、これならもう勝ったも同然だな」
劉 髭「いや、まだまだ判らん。
魏延が守将では、そう簡単に落城させはせんじゃろ。
こちらの将兵も選りすぐった者を送らねばならんのぅ」
金 旋「それはまあ、考えておかねばならないな。
とにかく、まずは城塞の建設だな」
劉 髭「その前に徴兵じゃ。兵を増やした後、訓練を重ねながら城塞建設じゃ」
金 旋「よし。できるだけの数、徴兵しよう」
戦略は決まった。
1月は徴兵を重ね、武陵の兵は2万5千余となった。
そして2月。
未だに、韓玄軍が柴桑へ侵入を果たしたという報告はきていない。
韓玄軍の柴桑城到達は、まだまだ時間がかかるようだった。
そして、武陵では……。
鞏 志「それでは、行って参ります」
劉 髭「堅牢な城塞を作っておくでな!」
金 旋「ああ、それまでこちらは残った兵を鍛えておこう」
鞏志を大将に、劉髭、鞏恋、潘濬、劉巴、及び兵1万5千を衡陽城塞の建設に派遣。
見積もった工事期間は1ヶ月。
この間、武陵では残った兵を鍛え、戦に備える。
いよいよ、金旋軍の初の外征が、間近に迫ってきていた。
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