〜207年1月
1月の中旬も終わりの頃。
上旬、中旬と開墾の仕事をこなした金旋は、自室へと戻ってきた。(※1)
どっかと椅子に座り、ふう、とひとつ息をつく。
(※1 今回のターンは旬ごとになっている。上旬、中旬、下旬と流れていく)
金旋
下町娘
金 旋「ああ……疲れたな」
下町娘「お疲れ様ですー。はい、お茶どうぞー」
金 旋「お、悪いな」
ずずっ……ぶばっ!
金 旋「な、なんだ、この苦いような土臭いような舌に絡むような茶は……」
下町娘「どくだみ茶、ウコン茶、朝鮮人参茶、
その他いい感じのものをブレンドしたものですー」
金 旋「(いい感じってどんなのだろう……)
……普通の茶はないのか、普通の茶は」
下町娘「む。これが身体にいいんですよ?」
金 旋「身体にいいかどうかは関係ない。普通の茶が飲みたいんだ」
下町娘「それ全部飲みましたら、普通のお茶お出ししますから」
金 旋「全部飲んだらって……。
このなみなみ注いである、これをか?」
下町娘「はい〜♪」
金 旋「……あー、やっぱりいい。下がっていいぞ」
下町娘「わかりました、失礼します……あ、そうそう」
金 旋「ん? なんだ」
下町娘「お茶、窓から捨てたりしないでくださいね」
金 旋「……」(なんでバレた?)
そこに劉髭が入ってくる。その表情は晴れ晴れとしていた。
劉髭
劉 髭「お、ここにおったか」
金 旋「おう爺様。人材探索はどうだった?」
劉 髭「うむ。見つけて連れてきたぞ、それもなかなかの人物だ」
金 旋「おおっ、そうか! 前回はダメだったからな、今回も望み薄かと思ってたぞ!」
実は上旬にも探索を行っている。
だが、見つけた譚雄には登用を断られていた。
劉 髭「ふふん、そこはそれ、天才軍師たるこのワシがだな……」
金 旋「あー説明はいい。早く紹介してくれ、早く早く!」(わくわく)
劉 髭「……こういう時の自慢話くらい聞いて欲しいのぅ……。
紳士会話のエチケットじゃろが……ブツブツ」
劉髭、一時退室してから戻ってくる。
劉 髭「こちらが潘濬どのじゃ。
政治に関してはエキスパートじゃ、内政面で大いに役に立ってくれるじゃろ」
金 旋「おお、よろしく頼むぞ、潘濬」
潘 濬「はっ。私の力、お役立てくださいませ」
金 旋「立って話すのもなんだ、座ってじっくり話そうではないか!」
劉 髭「ほっほっほ、太守はおぬしを配下に出来て喜んでおるな」
潘 濬「左様ですか、光栄の至りです」
金 旋「当然だ、こんな有能な士が配下になってくれるんだからな。
……おーい、お茶持ってきてくれー。
3つだぞー、それも特上の奴なー!」
下町娘「はーい、今お持ちしまーす」
ぱたぱたぱた……
下町娘「お茶にございます〜」
金 旋「うむ。ささ、遠慮なく」
潘 濬「ありがとうございます。実はのどが渇いてまして……」
劉 髭「そういえばワシものどがカラカラじゃ、さっそく頂こう」
ずずずず……
…………
下町娘「特上のスペシャルブレンドです〜」
…………んぶばっ!
〜207年3月
1月、2月と開墾、巡察を重点的に行った金旋。
潘濬という政治に長けた人材も得て、武陵の開発は順調に進む……かに思えた。
しかし3月に入ってから、意外な落とし穴(でもない、至極当然なこと)が待っていたのである。
金旋
鞏志
金 旋「どれ、今旬は開墾を行おうか。
人員は潘濬、爺様、鞏志、下町娘、俺の5人。
金目鯛は先旬に徴兵した兵を含めて訓練な」
鞏 志「太守……ちょっとお待ちください」
金 旋「どうした、鞏志」
鞏 志「その……金が足りません」
金 旋「は?」
説明しよう。
毎旬、上限いっぱいの5人で巡察や開墾を行っていたため、
資金がものすごい勢いで減ってきていたのだった。(※2)
先旬、徴兵したのもそれに追い討ちを掛けている。
(※2 巡察、開墾といった内政コマンドは、1人につき金50を使用する。
5人だと250。
金がまだ少ない序盤は、これはけっこう大きな出費である。
人数いっぱいでやれば良いというものではない……。
と、いうことにこの時ようやく気付いた)
劉髭
劉 髭「ほっほっほ、貧乏を克服するどころか貧乏促進じゃな」
金 旋「う、うっせーじじい!
それより、あんた軍師なんだからこうなる前に先に教えとけ!」
劉 髭「それは出来ない相談じゃな」
金 旋「なんでだよ?」
劉 髭「ワシも気付かなかったからじゃ」
金 旋「……はぁ、もういい。
とにかく、金の入る来月までは金のかからない仕事するぞ(※3)」
(※3 今作の金収入は季節(春/夏/秋/冬)ごとになっている。
この場合、3月をなんとか乗り切れば4月頭に収入が入り、また内政ができるようになる)
劉 髭「そういうことなら、訓練と探索じゃな。
おぬしと金目鯛どの、鞏志どので訓練、他で探索を行おう」
金 旋「探索か……いい人材いないかねぇー。
前に見つけた譚雄には逃げられたからなー(※4)」
(※4 今回、探索で発見された在野武将は、旅をする。
毎ターンごとに移動するので、発見した際に登用できないと、他の地域に移動されてしまう。
また戻ってくる場合もあるし、そのまま動かない場合もあるが)
劉 髭「ここ武陵は、人口の割にはなかなかいい人材がおるな。
かならずや発見できるであろう。
まあ、登用できるかどうかは太守の徳次第なのだが……」
金 旋「あーあー、悪かったね徳がなくて!」
劉 髭「誰も悪いとは言ってはおらん。韓玄よりもかなり優れておるぞ」
金 旋「あいつの信望は悪すぎだ。
何やったらあそこまで嫌われるんだ?(※5)」
(※5 君主には「信望」パラメータが存在する。
これは天下にどれだけ認められているかの目安となり、人材登用などにも影響する。
金旋は100、これは支配都市1つだけの君主としては標準。
現在のトップは曹操の220、次いで劉備の207。
新君主なども100の中、なぜか韓玄だけ50。謎である)
劉 髭「まあ吉報を待ちなされ。では行って参るぞ」
金 旋「おう、頼むぞ……ってどこへ行く、そっちは女子更衣室だ」
劉 髭「い、いや、下町娘ちゃんと一緒に行こうかと……」
金 旋「探索は単独で実行可能だ! とっとと行ってこい!」
探索を行った結果、李異を発見、しかし呈良く断られる。
同月の中旬、下旬に李異の登用を試みるも、首を縦には振ってくれなかった。
また探索も継続し、沙摩柯を発見する……がしかし、こちらも登用失敗。
やはり君主が小人であるのが嫌気されているのか?
金 旋「違うわー! 立場だ立場!
小国には仕えたくねーんだろ!」
劉 髭「しかし、他の小さな国では登用を成功させてるところも多いがのぅ……」
金 旋「ウワァァァン! モウコネエヨ!」
劉 髭「もう来ないって……どこへ行く気じゃ?」
結局、人材を登用することはできず。
季節は夏になろうとしていた。
初っ端からつまづきまくりの金旋。
彼の覇道(?)は、未だ始まってもいないくらいである。
今後、彼とその配下たちはどうなってしまうのか……? 待て次回!
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