○ 第五章 「韓浩 桂陽ニテ再ビ兄ト相対ス」 ○ 

■201年1月

武陵の城にて。
賈[言羽]「新年の祝賀を申し上げます。おめでとうございます」
諸将「おめでとうございます」
韓浩「うん。おめでとう。
  武陵・零陵と2都市を領有できたのも、諸将の頑張りがあればこそ。
  今年は、桂陽奪取を目標とするので、一層の奮起を頼むぞ」
諸将「ははーっ」

賈[言羽]「零陵にて、在野の士を捜索いたしましたところ、
  劉度と申す者がおりました。登用してもようございますか?」
韓浩「うん、軍師に任せます」
賈[言羽]「ならば、黄蓋どのを説得に向かわせましょう」

零陵の劉度宅。
黄蓋「邪魔するぞ」
劉度「何だベ、急なお客さんだなや」
黄蓋「劉度どのじゃな? ワシは黄蓋、韓浩様の家臣で今は零陵の太守をしとる。
  どうじゃ、我が主君の元に臣下として参らぬか」
劉度「んーどうすべぇ。わすはそんなに大した能があるわけじゃねえからのぅ」
黄蓋「まあ、そう言わずに。今は人材不足なんじゃ、厚遇されるぞ?」
劉度「んー」
劉賢「こりゃオヤジ! そっだらことで悩んでられねっぺ!
  韓浩様はこれからでっかくなるお方じゃ、求められとる今仕えずしてどうすっか!」
黄蓋「む、こちらは?」
劉度「あー、わしゃの息子で劉賢と申すんじゃ。口ばっかり達者なんだっぺ」
黄蓋「ほほう、これは頼もしき若君じゃのぅ」
劉賢「ちなみに、わしはまだ成人してねえべ。
  でも、成人しったら韓浩様に仕えて、将軍になって一軍を率いるつもりだべ!」
劉度「こりゃ、まったそんな大言こきおって。……ま、仕方ないわい。
  この劉度、韓浩様にお仕えするべよ」
黄蓋「おお、それはありがたい」

再び武陵。
賈[言羽]「劉度を登用できたとの報告がきております」
韓浩「うん、それじゃ零陵に戻ろうか」
賈[言羽]「わかりました。代わりに零陵より孫翊どのを呼び、
  今月徴兵させた新兵を連れて来させましょう。
  これにこちらで徴兵した兵と、太史慈どのの部隊を合わせれば、
  江陵や永安から多数の兵が押し寄せても必ず防いでくれましょう」
韓浩「わかりました、そのようにしてください。
  孫策、零陵へ戻る準備をしておいてくれ」
孫策「はっ」

零陵より新兵を連れた孫翊が武陵へ移動。
その後、韓浩・賈[言羽]・孫策が零陵へ移動する。

武陵の太守には、孫権を任命した。


■201年2月

孫権「私が武陵の太守か……責任重大ですな」
程普「なに、大丈夫でござる。拙者もおるし、太史慈もおる。
  智謀の士は劉曄どのがおりますし、オマケで張允どのもおられる。
  なんら心配することはありませぬ」
張允「オマケですまんかったな……」
孫翊「ちょ、ちょっと、程普どの! それがしは!?」
程普「あ、孫翊どのもおられましたか。影が薄いんですっかり忘れておりましたぞ(笑」
孫翊「ひ、ひどい……。これでも孫兄弟の三男防なのに……」
孫権「ま、まぁまぁ。とりあえずは、攻められないよう強兵に努めるべし。
  今月の徴兵で、兵は約6万になる。諸将は、訓練に励んでください」
程普「承知です。若君」
孫権「ふ、もう若君ではないと何度言わせるんです?」
程普「は、申し訳ございません」(そう言いつつも笑っている)
孫翊「それがしも若君と呼ばれたい……」
程普「孫翊どのは能力が低いのでダメです」
孫翊「ガーン!」

■零陵では
孫策で徴兵、兵士数が約5万1千に。
黄蓋・蒋欽・李通で訓練。
その他の諸将にて商業開発。


■201年3月

武陵での軍議。
孫策「今月の徴兵で、兵士数が6万になります。
  兵の訓練は必要ですが、数の上では桂陽の軍を上回りましたな」
賈[言羽]「うむ。これを韓浩様や、孫策どのたちが運用すれば、
  桂陽の軍や長沙からの援軍などは物の数ではありません」
韓浩「長沙からの援軍か……。情報では兄上が長沙におるが……」
賈[言羽]「多分、援軍を出すならば韓玄どのも出てくるでしょうな」
韓浩「今度こそは、兄上を我が軍にお迎えしたい。……何としても」
賈[言羽]「……あまり、兄君にこだわりすぎぬように願います。
  韓浩様は、我ら家臣をまとめる存在にございます。
  その韓浩様が迷っては、家臣たちも迷いますれば……」
バン!(韓浩、机を叩く)
韓浩「その程度、判っている!
  ……判って、いますが……」
孫策「韓浩様、私にお任せください。
  戦場にて必ずや韓玄どのを捕らえ、韓浩様の前に連れてきましょう」
韓浩「……すまん、孫策」
孫策「なに……兄弟で戦うというのは悲しすぎますからな」

賈[言羽]「……(韓浩様は、兄君にこだわりすぎる。これは後の災いを呼ぶかもしれん)」


■武陵では
太史慈・程普・孫翊・張允で訓練。
劉曄、商業開発。孫権、治安維持。

■201年4月

零陵の城外。
蒋欽「今月も訓練ですなー」
黄蓋「そうじゃのう」
蒋欽「次は桂陽への出兵らしいですなー」
黄蓋「そうじゃのう」
蒋欽「桂陽戦は是非活躍したいですなー」
黄蓋「そうじゃのう」
蒋欽「……黄蓋どの?」
黄蓋「そうじゃのう」
蒋欽「……黄蓋どのはジジイですか?」
黄蓋「そうじゃのう……って何を言わすかっ!」
蒋欽「黄蓋どのが真面目に返事せぬからです!」
黄蓋「何を〜! やるか!」
蒋欽「望むところ!」

兵士A「おーい、黄蓋様と蒋欽様が取っ組み合いしてるぞー?」
兵士B「お、今のうちに休んどけ。ラッキーラッキー」
兵士A「しかし、李通様の兵は辛いな……休みなしでやってるぞ」
兵士B「いや、あれはあれで癖になっていいらしい」
兵士A「マジか?」

李通「ホーッホッホ、女王様とお呼び!」ビシィッ
兵士C「ああっ女王様〜」

これで訓練度がきっちり上がるのだから世の中不思議。

■武陵
訓練-太史慈・程普・孫翊・張允
開墾-孫権・劉曄


■201年5月

軍議。
孫策「楽浪の公孫[王贊]が袁紹領であった襄平を取り返したようですな」
韓浩「ふむ。楊任、探ってきてくれ」
楊任「ははっ! それでは早速!」タッタッタッ
賈[言羽]「……楊任どの、黒ずくめの服着てましたが何の格好でしょう?」
韓浩「……本人に言わせると、
  『これが東の島より伝わりし密偵の装束でござる』とのことですが……」
賈[言羽]「そうですか……。あまり変なものにかぶれてほしくないですが。
  そうそう、密偵といえば、桂陽も調べておくべきかと思いますが」
韓浩「そうですな。劉度どのを向かわせましょう」
劉度「わっかりました。早速行って来るべや」
韓浩「劉度どのは、普通の格好で行かれるのか?」
劉度「あい。普通にしてりゃ、ただの田舎学者に見られるんで大丈夫だべ」
韓浩「なるほど……」

賈[言羽]「楊任、劉度からの報告書にございます」
韓浩「襄平は、誰も取れないか……」
賈[言羽]「桂陽ですが、以前調べた時と変わりないですな」
韓浩「潘濬・黄祖・呉巨の3将、兵4万2千。これは怖くはない。
  長沙にいる6万以上の兵がどう動くか。そして、兄上……」
賈[言羽]「……次の戦は、私も参加いたします。
  私の智謀にて、敵兵を散らしてみせましょう」
韓浩「おお、それはありがたいです。ぜひ、軍師の知恵をお貸しください」
賈[言羽]「はっ、必ずや……(フッ)」

■武陵
訓練-太史慈・程普・孫翊・張允
開墾-孫権・劉曄


■201年6月

零陵にて軍議中。
孫策「袁紹が公孫[王贊]領の襄平を再び奪還したようです。
  盛んにやり合ってますな」
賈[言羽]「先に送ってある密偵からの報告では、趙雲子龍が袁紹の軍門に降ったようです」
黄蓋「お、その将のことなら聞いたことありますぞ。なんでも牛タンらしい」
韓浩「……牛タン?」
楊任「違いますぞ黄蓋どの、『萬金丹』とかいいましたはず」
賈[言羽]「もしや……『全身胆である』と言いたいのですか?」
黄蓋&楊任「ああ、それそれ」
賈[言羽]「……」がっくり
韓浩「……軍師、趙雲を引き抜けないだろうか」
賈[言羽]「残念ながら、趙雲の登用は無理と思われます」
韓浩「なぜです? 袁紹に忠誠を誓ってるわけではないでしょう」
賈[言羽]「趙雲ほどの義理堅い人間を登用するには、彼を魅了させられるほどの
  カリスマ性がないといけません。しかし、それと共に相性のよさも求められます」
孫策「……私や黄蓋どのなどとは、相性が良くない、ということですかな?」
賈[言羽]「まあ、そういうことです。今回は諦めてください」
韓浩「ぬー」
賈[言羽]「それよりも、今月で兵士の訓練が完了します。
  来月には、桂陽を攻めることに致しましょう」
李通「いよいよですか! 腕が鳴ります」
劉度「秋の収穫を終えたばっかりだら、桂陽の米もごっそりいただけるべや」
蒋欽「攻め取るには、最高の時機ですな」
韓浩「うん、何としても勝つぞ! それでは解散、今月の仕事をやってくれ!」
諸将「ははっ」

孫瑜「……」
孫策「おう、どうした孫瑜。呆けた顔して」
孫瑜「(セリフが……ない)」

■武陵
開墾-劉曄・程普
治安-孫権


■201年7月<激闘、桂陽争奪戦>

楊任「我が君、ご武運を!」
劉度「留守は任せてもらって大丈夫だっぺ」
韓浩「うん、行ってくる。……全軍、出撃!」

零陵の韓浩軍6万は、桂陽に向かって進軍を始めた。
総大将が韓浩、参軍が賈[言羽]、孫策・黄蓋・蒋欽・李通の諸将を従えていた。

韓浩「そういえば軍師……。もう一人、留守の将がいたと思うんですが……」
賈[言羽]「そうでしたな、孫、孫……はて、名前が出てきませんが」
地味な孫瑜は、その名前も忘れられていた。

韓浩軍を迎撃すべく、桂陽から進発した劉表軍は桂陽の街道にて待ち構えていた。
その数、4万2千。
総大将が桂陽太守の潘濬、黄祖が参軍であり、呉巨が将軍として随行していた。

開戦前の韓浩軍。
賈[言羽]「敵側は長沙から援軍が参ります。その数は5、6万程度になると思われます。
  桂陽の兵と合わせて、10万を超える大軍となります。
  我々は本隊の6万しかおりません故、勝負は早めにつけたいところです。
  すなわち、戦法は正面突破。これしかありますまい」
孫策「しかし軍師、敵軍の呉巨は包囲攻撃を受け付けぬ豪の者ですが。
  敵援軍が来る前に勝負をつけるのは難しいと思いますぞ」
賈[言羽]「なに、敵援軍が来るまでに有利な体勢を作れればそれで構いません。
  また、呉巨ならば私がどうにかいたしましょう」
韓浩「軍師が?」
賈[言羽]「は、私の策を用いますれば心配はございません。
  諸将が私の作戦を信じて従っていただければ、必ず勝てます」
黄蓋「大した自信じゃな。どちらにしろ、ワシらは突っ込んでいくしかないわけじゃが」
韓浩「うん、細部は軍師にお任せしよう。全軍、正面突破にて敵本陣に向かうのだ!」
諸将「ははっ」
賈[言羽]「……(さて、全て上手くいけばよいが……)」ニヤ


■桂陽攻防戦2 <賈[言羽]の智謀>

韓浩「よし、まずは目の前にある砦を奪取するのだ! 進め!」
ワーワーワー
韓浩「なっ、待ち伏せかっ」
呉巨「ははは、バカめ! 不用心すぎるわ!」
孫策「韓浩様! 武陵の時と同じ失敗を繰り返してますぞ!」
韓浩「す、すまんっ」

賈[言羽]「呉巨の部隊か。……よし、行け」
密偵「ははっ」ザザッ
蒋欽「なんと……呉巨の部隊が退却していきます」
黄蓋「これが軍師の策か! さすがじゃな。よし、砦を占拠せよ!」

呉巨、虚報により退却。劉表軍の兵、2万8千となる。

賈[言羽]「これでまずは1つめ……次は」
密偵「申し上げます、長沙より敵援軍、到着いたしました!その数、6万8千!」
賈[言羽]「ふむ……思ったより早いな。だが、それも対応できる範囲内。
  ……蒋欽・黄蓋・李通に伝令を。敵増援部隊を迎撃するようにと。
  また、孫策と韓浩様には、そのまま本陣に向かうようにと伝えよ」
密偵「はっ」ザザッ
賈[言羽]「さて、我が隊も本陣を目指す」

劉表軍、長沙より援軍到着。総兵士数は9万3千余りとなった。
韓浩軍は5万8千。

劉[王宗]「我らは長沙よりの援軍、桂陽の兵よ安心せよ!」
ワーワー
[萠リ]越「そりゃ、蒋欽の部隊を混乱させてやれ!」
蒋欽「ハラホレヒレ〜」
黄蓋「何やっとんじゃ! 李通どの、[萠リ]越を包囲するぞ!」
李通「はっ、承知!」
黄蓋と李通、[萠リ]越を包囲、殲滅する。

蒋欽「す、すまぬ」
李通「謝ってる暇がありましたら、他の部隊も相手してください!」
続いて、劉[王宗]の部隊と交戦する3将。
劉[王宗]「んがー! なんて弱いんだ我が部隊は! 責任者出てこい!」
黄蓋「バカが、お前が責任者じゃ!」
3将とも6千ずつの兵しかいなかったが、その倍以上の敵兵を相手に一歩も引かなかった。

■桂陽攻防戦3 <激戦の果てに>

一方、本陣を目指す韓浩、孫策の部隊は。
密偵「韓浩様と孫策様、三の砦の黄祖と戦闘に入りました」
賈[言羽]「うむ、ここからでも見える。……黄祖の部隊を混乱させよ。
  そして、孫策どの、もしくは韓浩様に一騎討ちにて捕らえてもらうのだ」
密偵「はっ」
ワーワー
黄祖「部隊が混乱されられるとは……」
韓浩「黄祖! 韓浩が相手だ、来い!」
黄祖「君主自ら一騎討ちか。そこまでされてはしょうがない、受けてたとう!」
韓浩、一騎討ちにて黄祖を捕らえる。

賈[言羽]「さて、総大将の潘濬はあのお二人に任せればカタがつこう。
  となると、後は……」
兵士「申し上げます、部隊の前方に敵増援の一隊が現れました!」
賈[言羽]「来たか。……手はず通りにやれ」
兵士「……はっ!」

同じ頃、その部隊の将……韓玄も、賈[言羽]の部隊を発見していた。
韓玄「やれやれ、我が軍は倍の兵数だというのに、なんたる様か。
  ……それだけ、浩とその将が有能だということか。
  まあ、とりあえず俸禄分は働かせてもらおう。進め!」
兵士「韓玄様! 一大事にございます!」
韓玄「どうした!」
兵士「はっ、総大将の潘濬様より伝達にございます!」
韓玄「なんじゃ、早く申せ! 目前に敵がおるのじゃぞ?」
兵士「それは……」
韓玄「それは?」
兵士「……お命頂戴する!」ズバッ
韓玄「なっ……! 刺客かっ……」

密偵「韓玄、刺客により重傷を負ったそうにございます」
賈[言羽]「殺れなんだか……。これも天命か、それとも韓玄自身の悪運か」
密偵「いかがなさいますか」
賈[言羽]「潘濬の部隊も、韓浩様が包囲して殲滅しようとしている。
  もはや、桂陽は落ちたも同然であろう。
  黄蓋、蒋欽、李通の3将に無理はするなと伝えよ」
密偵「はっ。……暗殺の件は、よろしいのですか?」
賈[言羽]「それはお主には関係ないこと。心配はいらぬ、早く行け」
密偵「ははっ」ザザッ
賈[言羽]「さて、困ったものだな」

韓浩は孫策と共に潘濬の部隊を包囲殲滅し、これにて桂陽の部隊は全滅した。


■野戦終結、追撃

韓浩「……軍師!」
賈[言羽]「これは韓浩様、お急ぎで何用でしょうか」
韓浩「何用とは白々しい! なぜ、なぜ兄上に刺客を放った!」
賈[言羽]「なぜとおっしゃられても困ります。
  刺客を放ちましたのは、戦の勝利を確実なものとするためです」
韓浩「なんだと……」
賈[言羽]「あのまま放っておけば、孫策どのや韓浩様の部隊が側面を突かれました。
  それ故、刺客を放ち韓玄の武力を削いだまでです。
  無論、韓浩様の兄君ゆえ、命までは取らないよう厳命しておきました」
韓浩「……信じられん。軍師の言葉、偽りに聞こえる」
賈[言羽]「偽りか真実かは、終わってからゆっくりと吟味なされませ。
  それより、敵を追撃する機会を逸します。早く追撃命令を」
韓浩「……わかった、今はあなたの言葉に乗ろう。全軍、敵軍を追撃する!」
賈[言羽]「それでようございます」
韓浩「軍師……終わったら、桂陽にてもう一度話を聞く」
賈[言羽]「は、承知いたしました」

韓浩軍、その後の追撃にて、蔡中、劉[王宗]、韓玄を捕らえる。

韓浩「このたびの戦、孫策が1番の戦功であった。我が軍はお主がいなくては成り立たんな」
孫策「はっ、そのお言葉、実に嬉しく思います」
韓浩「黄蓋を始め李通、蒋欽もよくやってくれた」
黄蓋「はっはっは、韓浩様こそよく奮戦なされましたぞ」
韓浩「そして軍師……あなたの策あっての勝利でもある」
賈[言羽]「は、恐縮の極みにございます」
李通「韓浩様、捕虜の引見を始めようと思いますが」
韓浩「わかった、1人ずつ連れてきてくれ」
李通「承知しました」


■捕虜引見

まずは劉[王宗]が連れてこられる。
劉[王宗]「ゆ、許してくださいよぅ。僕たん、言われるままに救援に来ただけですよぅ。
  韓浩様にたてつく気はないんですよぅ」
韓浩「……前回、解放した時の大言はどうした?」
劉[王宗]「た、大言だなんて、あの時は怪我させられてムシャクシャしてただけなんですよぅ」
韓浩「まあよい、解放してやれ」
劉[王宗]「フフン、甘ちゃんめがー」
韓浩「このヤロ……」

続いて蔡中、[萠リ]越も解放。潘濬は登用に応じた。
次に黄祖が連れてこられる。

黄祖「……お主に降る気はないぞ。とっとと斬れ」
韓浩「長年劉表に仕えているのだ、仕方ないな。解放してやれ」
賈[言羽]「それはなりません」
韓浩「軍師?」
賈[言羽]「この者、粗野にして視野狭く、生きていても人のためになりません。
  速やかにお斬りになられませ」
韓浩「いや、軍師。仮にも将軍である者を、それだけの理由で斬るというのは……」
賈[言羽]「なりません。我が軍に降らぬ者がどうなるか、
  見せしめる必要もありますれば、ここはお斬りください」
韓浩「しかし……」
黄祖「おうおう、確かにワシは粗野で視野も狭いぞ。だから早くせい、全く待ちきれんわ。
  頼むから早く死なせてくれ」
韓浩「……わかった。黄祖を斬れ」
黄祖、斬首。

続いて、重傷の韓玄が引き出された。
韓浩「……兄上、私の元に来てください。私は兄上と共に戦いたいのです」
韓玄「浩、すまんがな……ワシは劉表様の禄を食みすぎたんじゃ。
  今さら裏切るわけにはいかん。それとも、ワシを裏切り者と呼ばせたいのか?」
韓浩「兄上……」
賈[言羽]「申し訳ないが韓玄どの、
  すでにあなたは裏切り者と呼ばれる身になってしまいました」
韓玄「なんじゃと?」
賈[言羽]「密偵を放ち、韓玄は弟のもとに降った、との流言を巻いておきました。
  すでに劉表の耳にも届いておりましょう。
  もはやあなたには、帰る場所も守るべき名誉もございません」
韓浩「軍師!?」
韓玄「……フフフ、そこまでするか。
  よかろう、もはやワシが遠慮するものはない。浩、お主に降ろう」
韓浩「あ、兄上……。ありがとうございます」ぎゅ
韓玄「いででで。傷が痛むから、身体を抱くのはやめてくれんか」
韓浩「は、はい、申し訳ありません」

■韓浩の夢

桂陽に入城した、その夜。
韓浩「軍師、少し話があります」
賈[言羽]「はい」
韓浩「昼間のことですが、まさか、兄上を降らせるために密偵まで放っている
  とは思いませんでしたが」
賈[言羽]「ははは、密偵などただのでまかせにございます」
韓浩「でまかせ?」
賈[言羽]「実際には、何もしておりません。
  あれは韓玄どのを降らせるためのでたらめにございます」
韓浩「そうだったのか……。
  いや、それでも軍師の知恵で兄上を迎えられたのは確かです、礼を申します」
賈[言羽]「いえいえ。兄君を解放して、また韓浩様に苛つかれては困りますからな」
韓浩「ははぁ。そういう意図でしたか。
  ……では、兄上に刺客を放った意図は?」
賈[言羽]「……前にも言いましたが、戦の勝利のためにございます」
韓浩「そうとは思えないのです。これは推測にすぎませんが、
  私が兄上にこだわるのが軍のために良くない、と判断したのではないですか?」
賈[言羽]「……」
韓浩「この際です、はっきりと言っておきましょう。
  私は、兄上に君主になっていただくつもりです」
賈[言羽]「なんと!?」
韓浩「もちろん今すぐではなく、国を広げ、しっかりとした基盤を作ってからになります。
  これは旗揚げする以前から、ずっと決めてことです。
  軍師にはこの旨、しっかりと胸に留め置いていただきたい」
賈[言羽]「……わかりました」
韓浩「そういうことなので、今後、兄上の命を脅かすような真似はしないように。
  よろしいですね?」
賈[言羽]「……もとより、そのつもりですが」
韓浩「それならば、よろしいのです。では、失礼します」

賈[言羽]「韓玄どのを君主に? 本気でそのようなこと可能だと思っておられるのか。
  それでは将も兵も、誰もついて来なくなってしまう……何とかしなくては」

こうして、桂陽をめぐる戦は終結した。
この後、零陵の太守を劉度に任じ、韓浩はそのまま桂陽に留まることにした。


■201年8月 <深謀遠慮>

桂陽にて軍議。

孫策「他の地方より戦の報告にございます。
  袁紹が河内より洛陽へ攻め込むが敗退。
  袁紹が楽浪を取り、公孫[王贊]の勢力は滅亡。
  下[丕β]の劉備軍が曹操軍の小沛へ攻め込みましたが敗退」
韓浩「袁紹の勢力は日増しに増えているな。そして曹操どのの領も脅威にさらされている」
賈[言羽]「将の引き抜きなどで強大化を防ぐ必要がありますな」
韓浩「うん……登用の件は考えておく。では、桂陽の戦後の状況はどうなってる?」
孫策「は。零陵より連れてきた兵は戦にて減りましたが、この桂陽の兵を加えれば
  以前より増えますれば、長沙や南海などが攻めてくることもないと思われます」
韓浩「桂陽の兵……潘濬や兄上の兵か」
孫策「それと、黄祖の部隊だった1万以上の兵が予備兵となっております」
韓浩「1万……? もしや軍師。黄祖を斬らせたのは……」
賈[言羽]「はい。黄祖は一騎討ちにて捕らえられたため、その兵たちは無傷です。
  それ故、彼を解放せずに殺し、彼の兵を吸収することにしたのです。
  もし黄祖を解放すれば、今日桂陽は彼の武とその兵の脅威にさらされたことでしょう。
  粗野がどうこうというのは、韓浩様の名を傷つけぬための方便にございます」
韓浩「……怖い人だ、あなたは」
賈[言羽]「はっ。これこそが、私の私たる所以にて。
  ……目下のところは、この桂陽にて強兵を鍛え、長沙をうかがうことに致しましょう」
韓浩「うん、そうすることにしよう。
  同時に、有能な人材も確保したいところだ」

韓浩の屋敷。
韓玄「浩……じゃなかった、韓浩様」
韓浩「兄上。よろしいのですか、お怪我の方は」
韓玄「なになに、この程度の傷、気にするほどでもないわ……じゃなかった、ないですよ」
韓浩「兄上、別に言葉を直す必要はありません。兄弟ではありませんか」
韓玄「うむ、すまんな浩。
  今日来たのは他でもない、政治の鍛錬をしてもらおうと思ったのだ」
韓浩「あ、兄上!? そ、そうですか……。
 兄上も、やっと、ようやく、勉強される気になったのですねっ!」
韓玄「なんか微妙に失礼なこと言っとらんか……。まあそういうことじゃ。よろしく頼む」
韓浩「はい、この韓浩、手取り足取り腰取り教えて差し上げます!」
韓玄「……腰は取らんでいいわ」

韓玄「そういえば浩。……お前、以前に童貞だと言っておったが?」
韓浩「は、はい。恥ずかしながら」
韓玄「そりゃーいかん、いかんぞ。人生の大部分を損しておる。
  どうじゃ、桂陽にもいい風俗があるんじゃ。これから行くか?」
韓浩「あ、いえ……。私は『初めては好きな人と』と決めておりますので」
韓玄「……おなごみたいじゃな。まあ、無理にとはいわんが」
韓浩「あ、でも『らんじぇりーぱぶ』とかでしたら行きたいですが……」
韓玄「なんじゃ、お前も結局は助平か」

この夜はお楽しみでした。


■201年9月 <旧知の将>

桂陽にて軍議。
孫策「はぁ……」
韓浩「どうした、孫策」
孫策「あ、いえ、戦の報告書がこんなにあったので」(と言って大量の書類を見せる)
韓浩「……聞くのも大変そうだ」
孫策「では、報告いたします。
  洛陽の李[イ寉]が、袁紹の河内を攻め、勝利。
  その後、曹操が手薄になった洛陽に攻め込みましたが敗戦。
  安定の馬騰が、李[イ寉]の長安を攻め取りました。
  [業β]の袁紹が、曹操の陳留に攻め込みましたが敗戦。
  雲南の士燮軍が、劉璋の建寧に攻め込みましたが敗戦。
  汝南の袁術軍が、曹操の許昌に攻め込み勝利しました」
韓浩「えーと……一応我々と接しているところは無いが……。
  軍師、どうしよう(汗」
賈[言羽]「調査させるのは許昌と洛陽でよろしいでしょう。
  他のところからの引き抜きは、大きい勢力の者を有利にさせます」
韓浩「わかった、では零陵の楊任……は兵の訓練させるんだったな。潘濬、頼む」
潘濬「はっ」

調査後。
賈[言羽]「満寵と申す者が、許昌におりますな。元曹操の配下だったようです」
韓浩「満寵だと!」
韓玄「知っているのかアブドゥル!」
韓浩「……兄上、アブドゥルとは?」
韓玄「知らん」
韓浩「えーと……満寵は以前、私が許昌にいた時の同僚なのです。
  冷静沈着かつ情に厚く、政治も智謀にも長け、武も他に引けを取りません」
賈[言羽]「それはそれは。お知り合いでしたら話は早いですな。
  早速、我が軍にお迎え致しましょう」
韓浩「うん……(曹操様怒るかなぁ……元配下を引き抜いたら)
  じゃ、孫策、行ってきてくれるか。手紙書いとくから」
孫策「はっ、承知しました」

許昌。
満寵「韓浩どのが……私を欲しいと」
孫策「はい。昔のよしみのみではなく、あなたの能力を高く評価しておられる。
  このまま袁術軍におるよりは何倍もマシですぞ。
  何しろ袁術は玉璽を手に、皇帝の座を虎視眈々と狙っている痴れ者ですからな」
満寵「そういえば、あなたも独立前は袁術どのの元にいたわけですね。
  ……フフ、昔の同僚に仕える、というのも変な気分ですが、よいでしょう。
  この満寵、韓浩どの……いや韓浩様のために働きます」
孫策「おお、韓浩様もお喜びになりましょう」

韓浩「満寵どの、このたびは嬉しく思う。
  よもやあなたのような有能な士を登用できるとは思わなかった」
満寵「いえ、私こそお誘いを受けありがたく思っております」
劉曄「満寵どの、以前のやに仲良くやりまっせ」
満寵「おや、劉曄どのもこちらにいたのですか……。
  ここでの私は新参者なれば、いろいろと教えてください」

■201年10月

桂陽城。韓浩と韓玄は、城の中を馬で見回っていた。
韓玄「のぅ、浩。何でまた外に出てくる必要があるんじゃ」
韓浩「為政者たる者、たまには街の様子も見ておかねばなりません。
  兄上も、よく覚えておいてください」
韓玄「むー。ワシは街の様子などより、綺麗なおなごを見ていたいがのー」
韓浩「そりゃ私だって、ずっとそうしてられるなら……」
商人「おっ、そこのナイスミドルの渋い人!」
韓浩・韓玄「呼んだ?」

韓浩「……む。兄上、今のは私が呼ばれたのです」
韓玄「バカ言え、ワシ以上のナイスミドルがおるか」
商人「あの……」
韓浩「何をおっしゃいますか、今のは確かに私の方を向いて言っておりました!」
韓玄「でたらめ言うでない、奴の足と身体はワシに向かって一直線じゃ!」
商人「もしもしー」
韓浩「ならば、本人に確認いたしましょう!」
韓玄「おう、のぞむところじゃ!」
商人「えーと……」
韓玄「さあ! 言ってもらおう!」
韓浩「どちらに話しかけたのだ!」
商人「あ、え、その、うーん……どっちもなんですけど」
韓玄「なんじゃその煮えきらん返事はぁぁぁぁぁ!」
韓浩「正直に言わんかぁぁぁぁぁ!」
商人「ひぃぃぃぃぃ」

韓浩「……ん? お主、以前会ったか……?」
商人「あ、あ、はい、以前陳留や許昌で商売しておりました。
  中庸や六韜をお買いになられましたよね?」
韓浩「おお、あの時の! それにしてもどうしてここに?」
商人「はい、韓浩様の治める都市は治安が良いと聞いたもので、こちらに移ってきたのです」
韓玄「ほう、そんな噂までたっとるか。流石じゃな」
商人「そうだ、今日は説宛という書があるんですよ。いかがですか?」
韓浩「それはどういう書なのだ?」

●新登録アイテム紹介
説宛(ぜいえん) 論文 政治+3、発明
前漢末の学者、劉向の著。春秋時代から漢初までの伝記・逸話を集めたもの。

商人「……こういう品にございます」
韓浩「発明ができるようになるのか……」
韓玄「ようするにアレじゃな、『キテレツ大百科』みたいなもんじゃな」
商人「身も蓋もない言い方ですね。……お安くしときますが、どうでしょう」
韓浩「うむ。いただこう」
商人「まいどあり〜。あ、そうです、オマケにこれが付いてますので」
韓浩「……このけったいな形の珠は?」
商人「豆電球、とか言いまして、閃くと光るそうにございます」
韓浩「光る? これが」まじまじ

韓浩はキテレツ大百科、もとい説宛を購入した。


■201年11月

軍議。
孫策「戦の報告です。
  長安の馬騰が、李[イ寉]領の弘農を攻め取りました。
  また、陳留の曹操が袁術領の許昌を取り返しました」
賈[言羽]「馬騰が力を付けてきましたな。
  また、曹操も取られた領をすぐさま取り返す辺り、地力があります」
韓浩「北の袁紹以外は、かなり拮抗した勢力状態だな」
黄蓋「ワシらも、はよう肩を並べられるようにならんとな」
韓浩「うん、それには強兵あるのみ」
孫策「今月、徴兵を行います。これで兵数は10万を超えますな」
賈[言羽]「このぶんでしたら、来年そうそうに長沙に攻め込めると思われます」
韓浩「長沙を取れば、荊州南郡4都市を所有することになる。
  ようやく、他国になめられない勢力になるというものだ」
徴兵後、諸将にて訓練等。

韓浩の屋敷。
呂布「お、お邪魔するんだな」
韓浩「こ、これは呂布将軍。よく来て下さいました」
呂布「お、お腹減ったんだな。何か食わせるんだな」
韓浩「は、はい。これ、呂布将軍に食事をもて!」
下男「はい〜」
ムシャムシャバクバクゴクゴクプハー
呂布「ご、ごちそうになったんだな」
韓浩「いえいえ、この程度気になさらずともよいです」
呂布「じゃ、さ、さよならなんだな」
韓浩「えっ(……ただの飯たかり?)」
呂布「あ、そ、そうなんだな。
  こ、この呂布、ご飯食べさせてもらった恩は、ぜ、絶対忘れないんだな」
韓浩「……(ホントカヨ)」
呂布「し、失礼するんだな」
韓浩「は、はい」

この一飯の恩こそが、後の運命を変えるのであった。(んな大げさな)


■201年12月

孫策「小沛の曹操軍が、劉備領の下[丕β]へ攻め込み勝利。
  呉の劉ヨウが、王朗の会稽に攻め込むが敗戦しました」
韓浩「さすが曹操どの……劉備など相手にならぬか」
賈[言羽]「これで劉備軍は徐州を失い、揚州の3都市に居を移すようになりました。
  長沙を取れば、劉備の柴桑と隣り合いますな。
  曹操に敗れはしましたが、奴は乱世の姦雄。劉表以上に油断ならない相手にございます」
韓浩「うん。また孫策どのを始め、幾人も武将を引き抜いている。
  彼も私を恨んでいるだろう」
孫策「それは我らも同じこと。奴に攻められて国を失いし屈辱、いずれ晴らします」
賈[言羽]「まあ、まずは目前の長沙を落とすことに全力を上げましょう。
  すでに兵士の訓練はほぼ完了しており、兵数も10万を超えております。
  長沙を調べたところ兵は7万程度なれば、諸将の能力を鑑みても、
  滅多なことで敗れることはありますまい」
韓浩「うん、年が明けてそうそう、攻めることにしよう」
賈[言羽]「今回も、私が参軍として参りましょう。
  これで、武においても智においても完璧にございます」

桂陽・武陵にて軍備を整える。



■202年初頭の状況

韓浩 39歳 所在:桂陽(君主)
領地:武陵・零陵・桂陽
名声:8790 官爵:なし
所持:青コウの剣・六韜・中庸・絶影・説宛

武力:97(+10)青コウの剣
知力:90(+8)六韜
政治:90(+5)中庸
魅力:76
特技:(発明)・応射・反計・収拾・偵察・無双・一騎・(強行)・修復
  ・乱射・(神算)・鼓舞・罵声・穴攻・行動・鍛錬・(富豪)

都市情報
桂陽 兵:102000
太守:韓浩 軍師:賈[言羽]
部将:韓玄・黄蓋・蒋欽・孫策・潘濬・満寵・李通

武陵 兵:66000
太守:孫権
部将:孫翊・太史慈・程普・劉曄・張允

零陵 兵:32000
太守:劉度・孫瑜・楊任

勢力状況
袁紹:11(軍師:田豊)……華北一帯
劉表:6(軍師:[萠リ]越)……荊州北部・長沙
劉璋:6(軍師:法正)……益州北部
曹操:6(軍師:荀ケ)……[亠兌]州・豫州・徐州
馬騰:5(軍師:韓遂)……涼州・雍州
李[イ寉]:4(軍師:王粲)……洛陽・宛・河内・武都
士燮:4(軍師:姜伯姫)……交州・益州南部
劉備:3(軍師:諸葛亮)……寿春・廬江・柴桑
韓浩:3(軍師:賈[言羽])……武陵・零陵・桂陽
王朗:2(軍師:周瑜)……会稽・建安
劉ヨウ:2(軍師:管寧)……建業・呉
張衛:1(軍師:閻圃)……漢中
袁術:1(軍師:魯粛)……汝南

友好:曹操 敵対:劉表・袁術・劉備

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