ドキッ☆ 男だらけの相撲トーナメント ｉｎ Ｌｅａｆ
written by 李俊
場所は某国技館。
そこでは、ある意味最もすごいイベントが開催されようとしていた。
さおり「…それではこれより、『ドキッ☆ 男だらけの相撲トーナメント ｉｎ Ｌｅａｆ』を開催しまーすっ♪ 司会進行は私さおりんこと新城沙織と…」
マルチ「マルチですぅ〜。この２人で進行させていただきます〜」
さおり「なおこの大会は、明日を担う来栖川グループと、おいでませませ鶴来屋への鶴来屋グループ、そして」
マルチ「アイドル育てて３００年、早いぞ旨いぞ安いぞの緒方プロダクションの提供でお送りしまーす」
理 奈「…あのキャッチフレーズ考えたの、もしかして…」
弥 生「…英二さんです」
マルチ「では、これより出場されるＬｅａｆ男性キャラを紹介しますー！」
さおり「冷酷無比な悪の狩猟者、柳川祐也さん！」
マルチ「かつてストリートファイト界の帝王と呼ばれた、最強の執事、セバスチャンさん！」
さおり「最強のエルクゥ、筋肉ムキムキの柏木耕一さん！」
マルチ「見た目は平凡でも電波使い、長瀬祐介さん！」
さおり「隠された格闘センスは抜群の、藤田浩之さん！」
マルチ「音楽的才能がどう生きるか、緒方英二さん！」
さおり「浮気な性格が命取り、藤井冬弥さん！」
マルチ「名前もない男、矢島さん！」
マ ナ「藤井さんの紹介文って…」
由 綺「…英二さんが書いてたけど…」
智 子「…矢島って誰や？」
雅 史「クラスメイトだよ…」
さおり「えー、以上８人のエントリーがありました。気になる組み合わせの方ですが…」
マルチ「１回戦は、Ａブロックが浩之さんＶＳ柳川さん、セバスチャンさんＶＳ矢島さん、Ｂブロックが藤井さんＶＳ緒方さん、耕一さんＶＳ祐介さんとなってます〜」
さおり「では、早速始まるようですね。実況席の長岡さーん？」
志 保「はいはい〜。最近はパーソナリティとしても活躍中の志保ちゃんです〜。今日は、世紀の相撲対決の実況をやらさせてもらいまーす。解説席には、１戦ごとに違う方をお招きするので、お楽しみに」
たかたん、たかたん、たかたん。
☆☆☆
志 保「さて、１回戦の第１勝負、藤田浩之ＶＳ柳川祐也さん。この勝負の解説はエクストリームチャンピオン来栖川綾香さんにお願いしまーす」
綾 香「よろしく…って何で私なの？ 相撲はあまり知らないんだけど」
志 保「まあまあ、出番あるだけマシだと思わないと」
綾 香「はいはい」
志 保「さて、行司は月島拓也さんです」
月 島「ひがぁしぃ…藤田山〜。にぃしぃ…柳川富士〜」
志 保「さて…どう見ます、この勝負？」
綾 香「そぉねえ。狩猟者である柳川さんに、どれだけ浩之が対抗できるかね。普通にやったらまず勝ち目はないわ」
志 保「ま、そんなとこでしょう。結局は普通の人間、どこまで通用するかっ！？」
柳 川「フフフ…浩之くん。君に恨みはないが、勝たせてもらうよ」
浩 之「…お、お手柔らかに頼みますよ…」
月 島「…はっけよい、のこった！」
バーン！
志 保「さあっ、両者ぶつかりましたっ。とりあえず２人ともつっぱらずにまわしを取り、互角の体制です！」
柳 川「ふ…さすがに頑張っても、人間の力ではこの程度だな」
浩 之「くっそー、びくともしねえ！」
柳 川「さて、では本気を出させてもらおうか…」
志 保「おおーっと、柳川さんがエルクゥチェンジを始めたようだぁぁぁっ！」
綾 香「これはもう絶望的ねぇ。浩之に勝ち目はないわね」
浩 之「わーっ、別に鬼にならずとも勝てるでしょうに！」
柳 川「甘いな…相手が何であろうと、全力を持って答えるのが漢（おとこ）！」
浩 之「全力出されたら死んじゃいますよーっ！」
志 保「おおっとヒロ、すでに恐怖で泣き喚いています！ 情けない！ それでもToHeartの主人公かぁぁぁっ！？」
綾 香「…実況に私情が入ってるんじゃない？」
志 保「おっと、こりゃまた失礼」
柳 川「フフフ…狩ってやる…狩ッテヤルゾ…狩猟ノ時間ダ」
浩 之「ひいいいいいいいい！」
レミィ「ナニ！？ ハンティングタイム！？」
響 子「きゃあああああ！ あなた、弓矢なんて構えて何なのぉぉぉ！？」
由美子「だ、誰か助けてぇぇぇっ！」
葵 「お、おお落ち付いてください宮内先輩〜っ！」
綾 香「何だか客席の方も騒がしいけど…」
志 保「ヒロ、悲鳴を上げつつも、柳川さんがガッチリまわしを掴んでいるために逃げることもできません！ これは万事休すか！？」
綾 香「…無視しないでよね」
志 保「あ、ごめん。…柳川さんが完全にエルクゥとなりました！ 身体がかなり大きくなっています！」
浩 之「わわわ、自分の負けでいいですからぁぁぁ」
柳 川「ダメダ！ 貴様ヲ狩ッテヤル！」
志 保「絶体絶命、ヒロ！ ヤツの命は風前の灯火だぁぁ！」
綾 香「…あら？ 行司の軍配が…！？」
月 島「勝負あった！」
志 保「…えっ？ 行司の月島さんが、軍配を東…ヒロの方に上げています！ ヒロの勝ちなんでしょうか！？」
柳 川「ナッ…ナゼダ！？ 私ガイツ負ケタ！？」
月 島「まわしが取れたら負けですよ」
柳 川「ナニッ！？」
志 保「おおーっと、エルクゥ化した時にまわしが取れてしまっていたようです！ これはマヌケ！」
綾 香「ファミコンにあった『つっぱり大相撲』みたいねぇ…」
志 保「なんでそんなの知ってるのよ…」
藤 田「よ、良かった…死なずに済んだ…」
志 保「ヒロは死なずに済んだのを喜んでいるようです。…まあ無理もないでしょう」
綾 香「自力で勝ったわけじゃないけどね」
志 保「拍子抜けする結果になりましたが、ヒロが１回戦を突破しました！」
アナウンス（セリオ）「──只今の決まり手。──モロ出し。モロ出しで藤田山の勝ち」
☆☆☆
志 保「さて、次の勝負行きましょう。次はセバスチャンＶＳ矢島です。ゲスト解説は、来栖川芹香さんです」
芹 香「…………」
志 保「あ、あの…全然聞こえないんですけど…」
芹 香「…………（ぺこ）」
志 保「いや、謝られてもですね…。まあいいや、とりあえず勝負を見てみましょう！」
月 島「ひがぁしぃ…セバス岳〜。にぃしぃ…矢島海〜」
矢 島「よーし…ジジイが相手なら、俺にも勝ち目はある。俺の強いところを、神岸さんに見せてやるんだ！」
セバス「フッ、若造がいきがりおって」
矢 島「見ててくれ神岸さん！ 俺の華麗な勝利を！」
あかり「お疲れ様、浩之ちゃん。はい、お茶」
浩 之「おう、すまねーな。さすがに死ぬかと思ったぜ」
あかり「でも、勝てたから良かったね」
浩 之「ああ、あかりのためにも、次も勝ってやるぞ」
あかり「うふふ、うれしい♪」
志 保「こらーっ！ そこ、イチャついてるんじゃなーい！」
芹 香「…………」
志 保「…えっ、あっ、ごめんなさいっ。勝負に集中しますですっ。（くっそーヒロめ、後で見てろ）」
芹 香「…………（こくり）」
志 保「さて、この勝負は、セバスチャンの体力がキーポイントになるでしょう。最強の男だったと言えど今は爺さん、矢島が体力面では有利か！？」
月 島「両者見合って…はっきょい、のこった！」
矢 島「速攻で、決める！」
志 保「おおーっと矢島、セバスチャンに向かって突撃だっ！ セバスチャン、危うしかっ！？」
芹 香「…………（ふるふる）」
セバス「かぁぁぁっ！ …食らえいっ！
セバスチャン・レインボーつっぱり！」
びしっ
びしっ
びしっ
びしっ
びしっ
びしっ
びしっ！
矢 島「ぐはっぐはっぐはっぐはっぐはっぐはっぐはっ！」
志 保「おーっと、セバスチャン怒涛のつっぱり攻撃！ 矢島、これは堪らない！」
芹 香「…………（こくこく）」
セバス「セバスチャン・ゴールデンのどわぁぁぁっ！」
ぐいいいいいいいいいいいっ！
矢 島「ぐぼおおおおおおおおおっ！」
志 保「セバスチャンののどわ！ これはキツイでしょう！」
芹 香「…………（こくこくこく）」
ぐわっし！
セバス「そしてとどめっ！
セバスチャン・カタストロフ上手投げぇぇぇっ！」
矢 島「どわあああああっ！？」
ずっだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん！
志 保「スゴイ！ セバスチャン、矢島を豪快に投げてしまったあああ！！」
芹 香「…………（ぶいっ）」
月 島「勝負あった。セバス岳〜」
矢 島「そ、そんな…ジジイに負けるなんてぇ」
セバス「かっかっか、まだまだ青いわ！」
志 保「セバスチャン、強さを見せつけました！ もうジジイなどとは呼べません！」
芹 香「…………（こくこく）」
セリオ「──只今の決まり手。──上手投げ。上手投げでセバス岳の勝ち」
矢 島「負けた…しかもジジイに…。くそ〜」
千 鶴「大丈夫ですか？」
矢 島「あ…あなたは千鶴さん」
千 鶴「お怪我とかしてませんか？（にっこり）」
矢 島「（て、天使の微笑みだ）…す、すいません。ちょっと腰骨のあたりが痛むんですけど…」
千 鶴「まあ、それはいけないですね。すぐ医務室へ行きましょう」
矢 島「……（これはこれで、結構役得かも♪）」
千 鶴「それから、何か暖かい物でも食べさせてあげますよ…」
矢 島「ううっ、ごちそうになりますぅっ！」
矢 島「うぎょおおおおおおおっ！」
浩 之「ん？ 医務室の方から怪しげな叫び声が聞こえなかったか？」
あかり「そぉ？ 私には聞こえなかったけど…」
楓 「やってしまいましたね、姉さん…」
耕 一「ああ…あの人に傷の手当てをさせるとは…愚かな…」
矢 島「まずぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ！」
…しぃぃぃぃん。
耕 一「また１人、殺人料理の餌食に…」
楓 「ナムアミダブツ…」
☆☆☆
志 保「さあ、たったかたーと参りましょう！ 次の勝負は藤井冬也ＶＳ緒方英二さん。解説は川名…じゃなかった、澤倉美咲さんです」
美 咲「今、わざと間違えませんでした…？」
志 保「いいえっ（きっぱり）」
美 咲「はぁ。よろしくお願いします」
英 二「どうだ青年。まわし姿というのも美しいとは思わないか？」
冬 弥「……（全然思わないっての…）」
英 二「男と男の肉体がぶつかり合う…これ以上の芸術的なスポーツはないだろう」
冬 弥「……（最近この人オカシイのでは？）」
月 島「ひがぁしぃ…緒方錦〜。にぃしぃ…藤井岬〜」
美 咲「えっ…『ふじいみさき』って…（ポッ）」
志 保「コラコラ、何を想像してるんですかっ」
美 咲「あっ、ご、ごめんなさい。つい…」
志 保「まあいいけど。…ところでこの勝負、どう見ます？」
美 咲「そうですね。先ほどまでとは違い、地味な勝負になると思います」
志 保「…ていうより、さっきまでが派手過ぎだと思いますが…」
美 咲「そうとも言えますね…ふふっ」
月 島「見合って見合って…はっきょい、のこったっ」
冬 弥「てぇぇいっ！」
英 二「はぁぁぁっ！」
志 保「さあ、掛け声だけは良かったですが、予想通り地味な勝負になりました！ つっぱるでもなく強引に投げるでもなく、がっぷり組み合ったまま動きません！」
美 咲「冬弥くん…頑張って」
冬 弥「くううう…」
英 二「ふふふ…やるな青年。このしめつけが堪らん…」
冬 弥「…げっ！？変態！？」
英 二「さあ、もっと楽しませてくれよ」
冬 弥「うわあっ！ 離せぇぇぇ！」
英 二「はぁぁぁっ…もっと、もっとなじってぇぇぇ」
志 保「こっ…これはある意味、最も危険だっ！ 冬弥ピーンチ！？」
美 咲「冬弥くん頑張って〜っ！」
理 奈「あンの…バカ兄！」
弥 生「藤井さん…ゾクゾクします」（ォィ）
英 二「いいぞ青年…」
冬 弥「わああああ！ 寄りかかってくるなぁぁぁ！」
志 保「おーっと藤井冬弥、緒方さんの手を振り解いて、横に逃げた！」
美 咲「チッ惜しい」
志 保「えっ…何か言いました？」
美 咲「いえいえ、何も」
冬 弥「うりゃっ！」
英 二「うわぁっ！」
ばたんっ。
月 島「勝負あり！ 藤井岬〜」
志 保「バランスを崩した緒方さんの背中を押して、見事土俵に沈めました藤井冬弥！」
美 咲「冬弥くんすごい♪」
セリオ「──只今の決まり手。──はたき込み。はたき込みで藤井岬の勝ち」
英 二「ふうっ…よかったぞ青年…」
冬 弥「ううっ、全然勝った気がしないのはナゼだ〜」
☆☆☆
志 保「さて、１回戦も残すところあと１つ。柏木耕一さんＶＳ長瀬祐介さんです。解説は、月島瑠璃子さんです」
瑠璃子「わっ！」
志 保「どわっ！ ななな何ですかっ！？」
瑠璃子「いけないいけない、驚かせちゃったよ」
志 保「誰でも驚くわぁぁぁぁっ！ 誰よこんなのに解説頼んだのはぁぁぁ！？」
千 鶴「え？ 呼びました？」←コレが頼んだ
志 保「…い、いえ。何でもないです…」
月 島「ひがぁしぃ…柏木丸〜。にぃしぃ…長瀬ノ花〜」
志 保「で、この勝負どーみますかー瑠璃子さん」（ちょーなげやり）
瑠璃子「長瀬ちゃんが勝つよ」
志 保「はあ、そりゃー良かったざんすねー。その根拠はー？」
瑠璃子「だって長瀬ちゃんだもの」
志 保「あーそーざんすかー」
耕 一「さて、祐介くんが相手か。本気でかからないといけないな」
祐 介「…電波で、どうにかできれば…勝てる」
月 島「見合って…はっきょい、のこったっ」
耕 一「鬼の力を…身体が変わらない程度に開放する！」
祐 介「電波よ…集まれ…」
志 保「両者見合ったまま動きません…どうしたんでしょ？」
瑠璃子「力を貯めてるんだよ」
志 保「へーそうですかー」
耕 一「よし…いくぞっ！」
祐 介「くっ、間に合え…『動くな！』」
耕 一「なっ身体が…動かなくっ！？」
祐 介「やったか！？」
志 保「おやっ！？ 耕一さんの動きが止まった！？」
瑠璃子「晴れた日はよくトド食うから」
志 保「食うなっ！」
ぐらっ…。
祐 介「えっ…」
耕 一「た、倒れる…」
祐 介「うわあっ！？ お、重い！？」
志 保「おおっと、身動きの取れない耕一さんが、祐介さんに倒れかかった！」
瑠璃子「演歌届いた？」
志 保「届くかあっ！」
祐 介「だ、ダメだ重過ぎるぅぅぅっ！」
ばたんっ！
月 島「勝負あり！ 柏木丸〜」
志 保「重さに耐えかねて、祐介さんが倒れました！ 耕一さんの勝利です！」
瑠璃子「…だって長瀬ちゃんだもの」
祐 介「重い〜助けてぇぇぇっ」
耕 一「そんなこと言われても、動けねぇぇぇっ」
セリオ「──只今の決まり手。──押し倒し。押し倒して柏木丸の勝ち」
志保「１回戦が終わったところで、一旦マイク返しまーす。…その前にＣＭです」
☆☆☆
しいえむ・すたーと
香奈子「へっくす…」
瑞 穂「え？」
香奈子「へっくすっ！ へっくすっ！ へっ…くしゅっ！」
瑞 穂「香奈子ちゃん、風邪？ はい、ティッシュ」
香奈子「あんがとぉ。（ちぃぃぃん！）…いやー、何か鼻がムズムズしちゃって」
瑞 穂「風邪には気をつけてね。そうだ、これ飲んだ方がいいよ」
香奈子「あ、これこれ！ 風邪には良く効くのよねー」
ごくっごくっごくっ…。
＜風邪の引きはじめには、電波印の「雫内服液」をどうぞ♪ よく効きます＞
香奈子「ぷはぁ、まずいっ！ …もう１本！」
瑞 穂「わーっ、薬なんだからそれ以上飲んじゃダメ！」
しいえむ・えんど
☆☆☆
さおり「それでは２回戦からですねっ。その前に、１回戦を勝ち抜いた方々をもう一度紹介しておきましょう！」
マルチ「はいっ、Ａブロックを勝ち上がったのは、浩之さんとセバスチャンさん。お２人ともＴｏＨｅａｒｔからですねー」
さおり「Ｂブロックの方は、藤井さんと耕一さん。この中では耕一さんが最有力と見るべきね〜」
マルチ「それでは２回戦のスタートです〜。長岡さん、お願いしますぅ〜」
志 保「はーい。再び志保ちゃんが実況席からお届けしまーす。２回戦…というより準決勝と言った方がいいでしょう。準決勝第１勝負は藤田浩之ＶＳセバスチャン。解説は姫川琴音さんに来てもらいました〜」
琴 音「よろしくお願いします」
志 保「よろしくー。ところで、姫川さんは相撲とか見るの？」
琴 音「えっ…いえっそんなっ…いつも欠かさず水戸泉さんの取り組みは見てるなんて、口が裂けても言えませんっ…」
志 保「…へぇ、水戸泉のファンなんだ…」
琴 音「ええっ！ なんでわかっちゃうんですか！？ もしかして長岡先輩ってエスパー！？」
志 保「自分で言っておいて何がやねん！」
月 島「ひがぁしぃ…セバス岳〜。にぃしぃ…藤田山〜」
浩 之「さて爺さん、今日こそ決着をつけようか」
セバス「フォフォフォ…このセバスチャン、まだまだ若い者に負けるわけには参りません」
琴 音「気合入ってますね、藤田さん…」
志 保「どうせあかりに『君のために勝ち続けるぜベイベー』とか言ったんでしょ」（注・ベイベーとは言ってません）
琴 音「妬けますね…」
バチッ！
志 保「わっ！？ なんか今、火花が散ったような！？」
琴 音「多分気のせいだと思います」
志 保「そ、そう？」
月 島「はっきょーい、のこた〜」
浩 之「でぇぇぇい！」
セバス「ふんぬぅぅぅ！」
志 保「さあ、セバスチャンが必殺の張り手攻撃に出た！」
セバス「ぬうぅぅぅっ！ セバスチャン・レインボーつっぱり！」
浩 之「なんのっ！ その技、すでに見切った！」
セバス「…なんじゃと！？」
浩 之「あーたたたたたたたた！」
志 保「おおーっと！ ヒロ、セバスチャンの虹色の張り手に対し、同じく張り手をくり出して防いでます！」
琴 音「はたから見てると、『せっせっせーのよいよいよい』って感じですね」
志 保「た、確かに横から見ているとマヌケです！ ですが当人たちはいたってマジメなんでしょう！」
浩 之「レインボーつっぱり敗れたり！ 鏡のように張り手を受け止めることにより、このように防ぐことが出来るんだ！」
セバス「ぬううっ！ 小癪な…ならばっ！ セバスチャン・ゴールデンのどわぁぁぁっ！」
浩 之「甘いっ！」
セバス「何っ！？」
志 保「おーっとヒロ、つかみ掛かるセバスチャンをかわし、後ろを取った！」
琴 音「これで藤田さんが断然有利ですね」
浩 之「ぬおお！ 藤田流、
大雪山おくりだし〜！」
セバス「ぬわぁぁぁっ！」
琴 音「あ…あの技は！？」
志 保「何か知ってるの！？」
琴 音「大雪山おくりだし…そう、かの伝説の力士『姥捨山』が編み出した、必殺のおくりだしですっ！」
志 保「何ですって！？」
琴 音「相手の動く直線運動を円運動に変え、凄まじいスピードで回転し、相手をおくりだしてしまうという恐ろしい技です！ それを藤田さんが使えるとは…」
志 保「…派手なワリにはタダのおくりだしですか」
琴 音「ええ、イマイチ情けないことから、この技を継承する者はいなくなっていたんですが…」
浩 之「でぇぇぇい！」
セバス「ぐあっ…負けたぁっ！」
月 島「勝負あった！ 藤田山〜」
志 保「ヒロ勝ちました、これで決勝へ進出です」
琴 音「なかなか見応えのある勝負でしたね」
志 保「マニアから見ればそうかもしれないけど…」
セバス「よ、よくぞワシを超えた…。お主にもう教えることなど何もない」
浩 之「…最初から何も教えてもらってねーぞ」
セバス「最後まで口の減らないヤツじゃな」
浩 之「どっちが！」
セリオ「──只今の決まり手。──おくりだし。おくりだして藤田山の勝ち」
☆☆☆
理 緒「えー。おせんにキャラメル、ポップコーン、ビールにコーラはいかがですかぁ〜」
かおり「梓せんぱぁい、私コーラ欲しい♪」
梓 「あーはいはい。すいません、コーラひとつ」
理 緒「わかりましたー。…はい、２００円になります〜」
梓 「ほら、かおり」
かおり「ありがとぉございますぅ。梓先輩、やさしいから好きぃ〜♪」
梓 「だぁっ、くっつくな！」
…ぐううううううう。
梓 「…何の音？」
理 緒「さ、さあ、わかりませんねぇ、あははは…。ではでは〜」
梓 「…変な娘」
かおり「梓先輩、らぶらぶぅ〜ん♪」
梓 「だーかーらー離れろっ！」
理 緒「我慢…我慢よ理緒、いくらお腹が減っていても売り物に手をつけてはいけないわ…」
長瀬１「そこのお姉ちゃん、コーラくれないか〜」
理 緒「あ、はーい。」
長瀬２「俺にはビールね」
長瀬３「私は燻製イカでも食べたいですねぇ」
長瀬４「……」
理 緒「お、同じような顔の人が…４人も…？」
☆☆☆
志 保「さあてお次は準決勝第２勝負！ 藤井冬弥ＶＳ柏木耕一さんになります！ 解説には柏木初音ちゃんをお呼びしております〜」
初 音「あ、よろしくお願いしまぁす」
志 保「初音ちゃんは相撲はよく見る？」
初 音「たまに見ますよ〜。…でも千鶴お姉ちゃんの方が良く見てるの、中でも寺尾さんのバリバリのファンで…」
…どどどどどどどどどどどど。
千 鶴「初音ちゃぁん、余計な事は言わなくていいからねぇ〜」
どどどどどどどどどどどど…。
志 保「…この話題については、触れない方がいいわね」
初 音「そ、そうしてもらえると助かりますぅ」
月 島「ひがぁしぃ…藤井岬〜。にぃしぃ…。柏木丸〜」
冬 弥「…どうせ負けて元々なんだ、やれるだけのことはやるぞ」
耕 一「気合入ってるな、冬弥くん。なら俺も手加減はしないっ」
志 保「さてこの勝負、どう見ても耕一さんの方が有利に見えるけど…どう？」
初 音「そうですね〜。冬弥さんはひょろっとした軟弱な身体ですし、油断さえしなければ耕一お兄ちゃんが負けることはないと思います」
志 保「…けっこうズバズバ言うわね、あんたも」
初 音「あっ、いえっその、そんなつもりじゃ…」
月 島「はっきょーのこたー」
耕 一「うおおおおお！」
冬 弥「くぅぅっ！」
初 音「気合入ってるね、お兄ちゃん！」
志 保「…あたしとしては、やる気のなさそうな行司の月島さんが気になるわね」
耕 一「鬼の力を、少しだけ解放！ そして…」
冬 弥「…来る！？」
耕 一「一気に決めるっ！」
志 保「おおーっと耕一さん、もの凄い勢いで冬弥に掴みかかるぅぅぅ！」
初 音「いけーお兄ちゃん！」
冬 弥「…今だ！」
がっ！
耕 一「なっ…うわあっ！」
ずだんっ！
月 島「勝負あった！ 藤井岬〜」
志 保「なっ…何が起きたんでしょう！？ 耕一さんが、冬弥に軽々と倒されてしまいました！」
初 音「出足払い！？」
志 保「えっ、何？」
初 音「相手が踏み込もうとした足をひっかけ、バランスを崩させて倒す柔道の技です！」
志 保「…そ、そんな技を…。ただの軟弱軟派男ではなかったのか、藤井冬弥！」
初 音「でも…うっ…くうう…」
志 保「ど…どうしたの、初音ちゃん？」
初 音「うらああ！ 卑怯くせえ手使いやがって！ ぶっ殺してやる！」
志 保「うわあああ！ いきなりキレたぁぁぁ！？」
初 音「男なら男らしく、正々堂々勝負しやがれぇぇぇ！」
志 保「お、落ち付いて初音ちゃぁぁぁん！」
初 音「離せこのタマネギ頭！ あたいがアイツをぶっ殺してやるんだっ！」
志 保「ひいいいいいい！」
…どどどどどどどどどどどど。
千 鶴「えいっ！ 当て身！」
びしっ。
初 音「はうっ…(ガクリ)」
志 保「…千鶴さん？」
千 鶴「当て身を食らわせました。これで安心です♪」
志 保「は、はあ…」
耕 一「どんな形であれ、負けは負けだ」
冬 弥「耕一さん…。すいません、こんな勝ち方で」
耕 一「いやいや、勝負の世界は非情なもんさ。別に気にしやしないよ」
冬 弥「耕一さん…」
耕 一「ただ…」
冬 弥「…ただ、何です？」
耕 一「暗い夜道には気を付けるんだな(ニヤリ)」
冬 弥「こ、こここ耕一さん！？」
セリオ「──只今の決まり手。──卑怯くさい出足払い。卑怯くさい出足払いで藤井岬の勝ち」
冬 弥「何だそのアナウンスはぁぁぁ！？」
志 保「さあ、これで決勝の対戦カードが決まりました！ 東は藤田浩之、西は藤井冬弥！ 休憩時間を挟みまして、いよいよ決勝です！」
☆☆☆
彰 「冬弥、決勝進出おめでとう」
冬 弥「彰…ありがとう」
はるか「おめでとう、冬弥」
冬 弥「はるか…嬉しいよ」
はるか「これ以上ないくらい卑怯な勝ち方だったね」
冬 弥「……(ぐさっ)」
彰 「さすが冬弥、全く男らしくない勝利だったね」
冬 弥「……(お前に言われたくない)」
はるか「決勝も卑怯な戦い方で頑張ってね」
冬 弥「…ちくしょぉぉぉぉ！」
ぱたぱたぱたぱた。
彰 「行っちゃった。何か悪いこと言ったかな」
はるか「さあ」
マ ナ「あ、藤井さんっ」
冬 弥「マナちゃん？」
マ ナ「すごくカッコ良かったよ〜」
冬 弥「ははは、ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ」
マ ナ「私って、昔から悪役が好きだったんだぁ」
冬 弥「は？」
マ ナ「藤井さん、悪役ぶりがすごく良かったよ。決勝でも悪役っぽく卑怯に勝ってね♪」
冬 弥「…うわぁぁぁん！」
ぱたぱたぱたぱた。
マ ナ「あれ？ どうしちゃったんだろう？」
冬 弥「…くそっ、みんなで卑怯卑怯言いやがって」
理 奈「あら、冬弥くん？」
冬 弥「理奈ちゃん？」
理 奈「どうしたの？ 浮かない顔して」
冬 弥「実は…」
かくかくしかじか。
理 奈「ふうん。そうなんだ」
冬 弥「俺は技を駆使して勝ったつもりなのにさ…」
理 奈「冬弥くん、気にしない方がいいわ」
冬 弥「そ、そうだよな。自分が納得してれば、それでいいよな」
理 奈「(ふるふる)そうじゃないの。冬弥くんは、卑怯なことをしてナンボのキャラだから」
冬 弥「ガガーン！ 理奈ちゃんまでも！？」
☆☆☆
さおり「はい、司会のさおりんです。休憩時間も終わり、いよいよ決勝と相成るわけですが、ここで発表があります」
マルチ「はい〜。それは、優勝商品です。参加者のみなさんには、優勝商品は『とにかく凄いモノ』とだけ教えてありましたが、ここでその正体を明かしたいと思います〜」
さおり「さて、その優勝商品の正体とは！？」
マルチ「発表は、大会企画長である柏木千鶴さんからです」
千 鶴「……(ジロリ)」
マルチ「(ビクッ)はわわ〜っ。私、何か間違いましたぁ〜？」
さおり「(小声)マルチちゃん、打ち合わせ通りに言わなきゃ…」
マルチ「あっ…はい、それでは、
『とてもお美しい絶世の美女』
柏木千鶴さんからの発表です！」
千 鶴「はい、ご紹介にあずかりました柏木千鶴です。美女だなんて恐れ多いですけどオホホホホ」
さおり「(ぼそ)自分が言えって強要したくせに…」
千 鶴「ゴホッゴホゴホッ！カーッペッ！ …はい、では優勝商品の発表です。優勝商品は、来栖川グループの御好意により提供いただいた、カスタムメイドのメイドロボです！」
おおおおおおおおおお！
千 鶴「このメイドロボは感情制御装置＆サテライトサービスを搭載、感情豊かで高い汎用性を得ることが出来ました！ 料理も上手く、しかも！」
ごくっ。（全員、ツバを飲み込む）
千 鶴「…しかも！ 男性向けに女性機能が付いていますので夜のお世話もバッチリ、多い日も安心です！」
おおおおおおおおおお！
浩 之「よっしゃあぁぁぁ！ 絶対ゲットするぜぇぇぇ！」
あかり「浩之ちゃん！(ジロッ)」
浩 之「あっ、いやっ、マルチも妹が欲しいかな〜なんて思ったんでな、は、はははははは」
冬 弥「うーん…由綺の世話係として使えるかな？」
由 綺「世話係って…私、小学校で飼われてる動物と同じレベル…？」
冬 弥「世話がかかるという点では、全くもってその通り」
由 綺「ガーン…。や、弥生さぁん」
弥 生「この件に関しては、私も冬弥さんと同意見です」
由 綺「ガガーン！」
耕 一「うーん。欲しかったなぁ」
楓 「耕一さん…」
耕 一「ああっウソウソ！ 全然いらないって！ 料理は梓程度で十分だし、夜のお世話は楓ちゃんがいるしっ！」
初 音「ほお。夜な夜な楓の部屋から妖しげな声が聞こえると思ったら…」
耕 一「げっ…初音ちゃん！？ しかも反転してる！？」
梓 「『料理は梓程度で十分』って、程度とはなんだ、程度とはっ！」
耕 一「ぐあーっ！ 梓まで！？」
初 音「耕一、覚悟しな(ニヤリ)」
梓 「準備はいいね？(ニコリ)」
楓 「……(逃げよう)」
どかっ べきっ ぐしゃ めきょ
むしゃ ばきっ ずばっ ぼきゃ
ぶりっ ばりっ ぐちゃっ！
祐 介「メイドロボかあ」
沙 織「祐くん？ 欲しいの？」
祐 介「ううん、別に。だって、僕には沙織ちゃんがいるからね」
沙 織「ゆ、祐くんてば…恥ずかしいじゃない」
祐 介「……(テレテレ)」
沙 織「エヘヘ…」
マルチ「沙織さぁん、そろそろ戻ってくださぁい」
沙 織「は〜い。…また後でね、祐くん♪」
マルチ「あれぇ？ ご機嫌ですね、沙織さん」
沙 織「そ、そう？ 別に普通だよ〜。それより、千鶴さんの説明が終わるわよ」
千 鶴「…以上で、説明を終わります。お２人とも、頑張ってくださいね♪」
沙 織「はい、ありがとうございました〜。それでは、これより決勝戦です！」
マルチ「というわけで、実況席の長岡さんどうぞ〜」
志 保「はいっ、再び実況席からお届けします！ それでは決勝戦の選手入場です、まず東から入場は、藤田浩之！」
ちゃっちゃらっちゃっ ちゃ〜ちゃ〜 ちゃっちゃらっちゃっちゃっ ちゃ〜ちゃ〜ちゃ〜
志 保「さあっ！ 藤田浩之、『テクニカルパワー』の音楽に乗っての登場です！」
浩 之「あかり、行ってくるぜ」
あかり「頑張ってね」
浩 之「おう、まかせとけ」
あかり「浩之ちゃん…」
ちゅぅ。
志 保「おおーっと、これは勝利を願うキスか！？ 見せつけてくれますこんちくしょーめっ！」
浩 之「…いくぜっ！」
あかり「いってらっしゃいっ」
わあああああああああ！
志 保「す、スゴイ歓声です！ さすがＬｅａｆ一番人気作品の主人公、老若男女に関わらず人気があります！」
ちゃ〜っちゃっちゃらっちゃっ！（音楽終わり）
浩 之「なんばーわーん！」
うおおおおおおおおお！
志 保「観客に乗せられたか、人差し指を高々と挙げて決めポーズを取ってます！ さて、次に西から入場は、藤井冬弥！」
ずぅ〜ず〜ず〜 …だだっだ だだっだ だだっだ だだっだ
志 保「おーっと、藤井冬弥、意表を突いてリーフファイト９７・ラスボスのテーマでの入場だぁぁぁっ！」
冬 弥「こ、この選曲は！？」
弥 生「英二さんが、冬弥さんにお似合いだと…」
冬 弥「ひ、ひでえ…」
由 綺「…頑張って、冬弥くんっ」
冬 弥「う、うん。何とかやってみるさ」
由 綺「冬弥くんっ」
ちゅ。
志 保「おおーっとアイドル森川由綺、藤井冬弥の頬にキスだぁっ！ これは特ダネですっ！」
冬 弥「…いってくるよ」
由 綺「悔いのないようにねっ」
ぶうううううううううっ！
志 保「こ、これはものスゴイブーイングです！ なんという不人気か、藤井冬弥！」
だだっだ だだっだだっ！（音楽終わり）
冬 弥「こうなったらとことん悪役になってやる…。ふぁっ○ゆうぅぅぅぅぅぅ！」
ぶうううううううううっ！
志 保「おっと藤井冬弥、とうとう開き直ったか？ 中指をおったててヒワイな表現をしております！」
月 島「ひがぁしぃ…藤田山〜。にぃしぃ…藤井岬〜。なお、この勝負を持って、本日の結びの一番〜」
浩 之「勝負だ、冬弥！」
冬 弥「うるさい！ 俺は今日こそあんたを超える！」
浩 之「それは無理なんじゃないか？ …特に人気面は」
冬 弥「やかましいわい！」
志 保「…さてこの勝負の解説には、先ほど２人を見送ったヒロインたちに来ていただきました」
由 綺「森川由綺ですっ。よろしくお願いしますっ(ぺこっ)」
ごすっ。
志 保「ま、マイクに頭ぶつけないでね？」
由 綺「すみません…(じんじん)」
志 保「で、もう１人」
あかり「神岸あかりです。よろしくお願いします」
志 保「よろしくね、あかり。…さてこの勝負、人気では大きくヒロに傾いてはいますが？」
由 綺「大丈夫です。冬弥くんは、勝ちます」
あかり「(ムッ)…どうしてそう言えるんです？」
由 綺「理由はありません。ただ私は、冬弥くんを信じているだけです」
あかり「私だって…浩之ちゃんを信じてるもん！」
志 保「あかり、落ち付きなさいって。(ヒロのこととなると人が変わるんだから)」
あかり「ご、ごめん」
志 保「あかりは、ヒロが勝つと信じてるの？」
あかり「もちろんっ。だって浩之ちゃん、この日のために猛特訓してきたんだから」
志 保「それって、どんな特訓？」
あかり「錆びた刀で木を切ったり、崖の上から滝つぼに飛び込んだり、木の枝の上に立って長い時間静止し続けたり、坂の上から大岩を転がしてそれを受け止めたり、それはもう血の滲むような特訓だったのっ」
志 保「た、確かにすごい特訓ね」
由 綺「すみません、ちょっといいですか？」
あかり「何です？」
由 綺「今言った特訓って、どういった所が相撲に役立つんでしょう？(ニコニコ)」←全く悪気はない
ぴしっ。(あかり、石化)
志 保「あかり！？」
由 綺「だ、大丈夫ですか！？」
あかり「……(私たちの特訓の日々は…一体何だったのぉぉぉ)」
月 島「両者待った無し！ 見合って見合って…はっけよい、のこたぁぁぁ！」
浩 之「いくぞぉっ！」
冬 弥「こいっ！」
志 保「おおっと、もたもたしている隙に勝負が始まってしまった！」
由 綺「冬弥くん、ガンバレ！」
あかり「…浩之ちゃん、勝って！」
浩 之「うおお！ 藤田流秘技！『ギャラクティカ猫だまし』！」
冬 弥「なんの！ 藤井家秘伝！『超絶ハッソウ跳び』！」
浩 之「てえい！ 藤田流奥義！『デンジャラス脇固め』！」
冬 弥「ならば！ 藤井家超技！『真・流星切り返し』！」
浩 之「はあ！ エビ反り大回転チョップ！」
冬 弥「ぬお！ 爆裂究極ラリアット！」
浩 之「酔舞！ 再現江湖デッドリーウェーブ！」
冬 弥「超級覇王電影弾！」
浩 之「食らえ！ ダークネスフィンガー！」
冬 弥「爆熱！ ゴッドフィンガー！」
志 保「ななな、なーんという技の応酬でしょう！ まさに決勝戦に相応しい、凄まじい闘いですっ！」
由 綺「でも、だんだん相撲の技じゃなくなってきているような…」
あかり「あ、やっぱりそう思った？」
志 保「おっと、離れての闘いでは決着が着かないと判断したか、両者がっぷり組み合った！」
浩 之「ぜえ、はあ…やるじゃないか」
冬 弥「はっ、お前もな…しかし、これで終わりだっ！」
浩 之「くっ！？」
志 保「おおお！ 冬弥、上手投げに出た！ 体制十分、ヒロピーンチ！」
由 綺「冬弥くん！」
あかり「浩之ちゃん！？」
冬 弥「俺の勝ちだあっ！」
浩 之「い、いやだ…俺は負けられないっ！ 俺は、俺は…」
がきっ。
冬 弥「何！？」
浩 之「俺は、絶対にメイドロボをゲットするんだぁっ！」
ずだぁぁぁん！
志 保「おおお！ ヒロ、強引に切り返して河津掛けを繰り出しましたっ！ ヒロの勝ちです！」
由 綺「浩之さんのメイドロボに対する執念が、冬弥くんを上回ったんですね」←全く持って悪気はない
あかり「浩之ちゃん…(ヒクヒク)」
月 島「勝負あり！ 藤田山の勝ち〜」
浩 之「勝った…勝ったぞ！ 俺は勝ったんだぁぁぁ！」
冬 弥「いてて…。負けたよ、浩之」
浩 之「冬弥…いいファイトだったぜ」
冬 弥「お前はすごいよ。完全に俺の負けだ」
志 保「おおーっと、ヒロと冬弥、がっちり握手を交わしました！ これは感動的な瞬間だぁぁぁ！」
由 綺「立派だよ冬弥くん」
あかり「浩之ちゃ〜ん、かっこいいっ」
セリオ「──只今の決まり手。──河津掛け。河津掛けで藤田山の勝ち」
☆☆☆
さおり「さあ、表彰式です。優勝者の藤田浩之さんに、優勝トロフィーが贈られます」
千 鶴「おめでとう浩之くん。はい、トロフィーです（ひょいっ）」
浩 之「(デカイトロフィーだな…重くないのかな？)あ、ありがとうございます」
…ずしっ。
浩 之「お、重い！？ 重過ぎるぅぅ！？」
千 鶴「浩之さん！？」
浩 之「だ、ダメだぁぁぁっ！」
ばたーん！
マルチ「ひ、浩之さんがトロフィーの下敷きに！？」
あかり「浩之ちゃぁぁぁん！ 死んじゃいやぁぁぁ！」
浩 之「ま、まだ死んじゃいねぇ〜」
さおり「き、緊急事態です！ 救急車を呼んでください！」
浩 之「それよりトロフィーどけてくれぇ〜。潰れるぅ〜」
耕 一「大変なことになったな…って、どこ行くの千鶴さん」
千 鶴「ギク」
梓 「『ギク』じゃないですよ。あんな重いトロフィー、なんで作ったんです？」
千 鶴「だ、だって…耕一さんが優勝すると思ってましたから、エルクゥ用に特注で作らせたんですぅ…」
耕 一「はあ…そうですか。…特注ってどれくらい重いの？」
千 鶴「１トンですぅ」
耕 一「い、１トン！？
千 鶴「ええ、そうです」
耕 一「…それを軽々と持った千鶴さんって…」
千 鶴「……」
耕 一「……」
千 鶴「……」
耕 一「……」
千 鶴「そんなに見つめちゃいやですぅ」
ちゃんちゃん。
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