To Heart アナザーストーリー〜Wherever Serika〜

*なーんかしらんけど、気が付いたら書いていた芹香SS。

書いた人:秀


 赤い月。
 満月で尚かつ真っ赤な月のおかげで寝付きが悪く、オレは雅史から借りたマンガを読んでいた。
 ったく世紀末かってーの。
 気味わりぃーな。
 んー、そこそこ面白いけどまだまだだなこの作者。なんてゆーか、オチが無いというか面白く書けてるのに最後で白けちまう。次回に期待だな、うんうん。
 一人前の批評家になったつもりで読書をしてみるのも良いもんだ(マンガだろーが)。

 どぐぅああああああああんっ

 なんだぁ!?
 突然、大音響と共に激震が起こった。
 と言っても、一瞬で静まったけど・・・。
 こりゃマジで世紀末か?

 翌日、普段通りあかりが起こしに来て、学校に行ってあんぐりと開いた口が締まらなくなった。
 そこに学校が無かった
 いや、跡形もなく綺麗サッパリと。
 他の生徒達、そして教師達もポカーンとその空き地を見ているだけだった。
「ちょ、ちょっとヒロ〜〜、何よこれ〜〜」
「オレが知るかっ」
 校舎を含め学校全体全てが消滅し、グランドだけ・・・いや、単なる空き地だ。
「浩之ちゃ〜ん、授業どうするんだろうねぇ?」
「どーせ休講だろ」
 グランドをうろうろと何か無いかなと探しているオレに呼び掛けるあかりに適当に返事を返す。
 学校側も反応に困って連絡網が回って来なかったわけね。
 と、グランドの一角に灰が積もっている場所を発見した。
「なんだこりゃ?」
 よく見ると小さな魔法陣(?)を形成している。
「魔法で学校を消しちまった?ン訳あるはず・・・・・・・・・・」
 居るな。たった一人だけ出来そうな人物が。
 先輩。来栖川芹香先輩・・・。
 しっかし本当に先輩がやったとしたなら、このままにしとくはず無いし・・・いやまずこんな無茶苦茶なことしねぇーよなぁ。
 うーん、じゃあ一体なんでだ?
 思い当たる節は無かった。
 流石に琴音ちゃんではこんな強力な超能力を使えないし。
 マルチが自爆(謎)したっても、跡が残るし。
 セバスチャンが渇ってやってもこんなになるはずねぇし。
 だぁぁぁ、何をくだんねぇこと考えてんだオレは。
「ヒロ〜〜、今日は自宅学習だって〜〜」
 志保が遠くから呼んでる。
 どーでも良いか、とりあえず帰ろ。
 っと校門あんなに遠かったっけ?
 れ?
 足がふらつく。
 地面が揺れる?
 いや・・・オレが揺れてんのか?
「お、落ちる〜〜〜〜っ」

 ばすぅぅぅぅっ

「あううっ」
 マルチの台詞が移ったか?草の上だったみたいで大分衝撃は少なかったとはいえかなり痛い。
 一体どうなってやがんだ。ったく。
 とりあえず、辺りを見回してみる。
 どうやら普通の森みたいだ。
 学校の校庭からこんな所にすっ飛ばされるなんて、まるでどっかのマンガじゃねぇーんだから・・・。いや・・・有り得るな。原因が・・・先輩ならば。
 きっと屋上で待っているはずだ。
 ってなんでやねん。
 森。
 木々が生い茂っていて空気が美味い。オレの住んでる街にもこんな所があれば良いんだけどなぁ。
 森を抜けると・・・屋上があった。
 しつこいっての。(ネタが分かんない人がいるだろ・・・笑。*1)
 フェンス、そして校舎があった。
 作りからいって・・・多分ここは日本だと思う。
 学校から聞こえてくる声も日本語だ。
 どうしよう。取りあえず場所を確認するために校舎に入ってみるか?。
 オレはフェンスを飛び越え、学校内に入った。
 うちの学校に比べると結構広い中庭だ。
 校舎に入る。
 制服で他校の生徒だってバレるか・・・。
 こそこそと中を歩く。
 話の分かりそうな奴は、っと。
 それにしても他校の制服着た奴(オレ)がウロウロしてるのに気にしないもんだな。
「みゅ〜〜〜っ」
 ドンッ
 何かが背中にぶつかった。
 振り向いてみると、女子生徒が走っていてオレの背中にぶつかったようだ。
「おい大丈夫か」
 手を差し出してやる。
 というか、私服じゃねぇかこいつ・・・しかもここの生徒に見えない。
「ほへ?」
「だから掴まれって」
 ぽけーっとしながら廊下に座っている。仕方なく手を掴んで起きあがらせてやる。
「気を付けて歩けよ」
 ぱんぱんと埃を払ってやり、注意するとオレは女子生徒?から離れた。
「みゅ〜っ」
 懲りずに反対方向に走っていったようだ・・・、やれやれ。
 そして曲がり角、階段か・・・。

 ゴンッ、どさっ・・・

 やたら派手な音がした・・・。っうかかなり痛い。
 見事にヘッドトゥヘッド、頭と頭で正面衝突してしまった。
「ちゃんと前見てある・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
『痛いよー、目がチカチカするよー』と声がした。
 いや、その声の内容よりもオレはそこでうずくまっている人物を見て呆然としていた。
「先輩・・・?」
「・・・・」
『浩之ちゃん?』と返してくる。
 なんか妙だ。
 いやかなり変だ。
 そうまず、なにより先に・・・。

「なんて恰好してるんだっ!?」
 オレは叫んでいた。
 何故かバニーガールの恰好をしている来栖川芹香先輩に対し・・。
「?」
 キョトンとオレを見つめ返す先輩。
 というか生徒達誰も先輩のことを気にしてねぇ・・・なんでだ?
「・・・・・」
『どうしたの浩之ちゃん?』ってオレに聞く。
「ほんとに先輩か?」
 なんかわかんねぇ事ばっかだ。
「・・・・・・」
 コクコクと頷いてから『面白くありませんか?』と言った。
「は?あ、そだ。やっぱ先輩がやったの?あれ」
 こくんっと軽く頷く。
「とりあえず凄いな、先輩。だけど、どうしてこんな事を?」
 先輩の事だから何か意味があってやったんだと思うんだけど・・・。オレにはよく解らない。
「・・・・・・・・・」
「『こちらの世界と繋げるときに力が強く出過ぎて・・・』校舎が消えちまった訳ね。いや、それよりも先輩が何故こんな事をしているのかの方が知りたい」
「・・・・・・」
「『浩之さんと・・・・ずっと一緒に居たかったから』くぅーーーっ、嬉しいことを言ってくれるぜ先輩。先輩のためならオレはどこへでも・・・って何でここなんだ?」
「・・・・」
「『ここが永遠の世界へ繋がる世界だから』永遠の世界?、何それ?」
「・・・・・」
「『浩之さんとずっと一緒に居ることが出来る世界です』あ・・・ちょっと先輩?」
 ぽそぽそと何か呪文を唱え始めている、先輩。
 えーといつの間にか足下には魔法陣が描かれてるんですけど。
 いやぁ〜、先輩とずっと一緒なら良いかなぁ・・・・。
「・・・・・・・・」
『浩之さん一緒に』
 ああ〜〜もー、どーにでもなりやがれぇっ。

 どぉぉぉぉぉぉぉぉんっ

 ぼけーっとしてる。
 何も考えない。
 直ぐ隣に先輩が居る。
 同じようにぼけーっと空を見ている。
 ただそれだけで幸せだった。
 時が流れていくけど、老いも死もない。
 ずーっと先輩と一緒だった。
 先輩ってほんとに何も考えてなかったんだな・・・いっつも。
 うーん・・・これもこれで良いかもね。


あとがき

 オチは?
「・・・・・・・」
 『ありません』。だそうです。
 ぉぃぉぃ。いやまぁ、タクティクスの「ONE〜輝く季節へ〜」を少々パロってます(っうか全部か)。ふむ・・・まぁ良いんじゃねぇの、こういう終わり方でも。浩之は芹香と共に永遠の世界で永遠の時を生き続ける。
 いやぁ、やっぱ芹香先輩と言えばあのボケ顔でしょう(ばきぃ)。実際何も考えてないんだと思う(微笑) 

 挿し絵は、私の落書きをネットの知人樹神『たくぽん』拓夜さんに色つけして貰いました♪

#1、屋上。「ONE〜〜輝く季節へ」で主人公浩平が盲目の先輩、川名みさきとどちらが先に放課後屋上に来れるか?と競争をした場所。
   別に「雫」の瑠璃子さんでも可(爆)

 でわ。


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