最高のチョコレート
written by 李俊
「耕一さん…」
声が聞こえる。
「耕一さん…」
これは…千鶴さんの声だ。
目をこらすと、次第に千鶴さんの姿が見えてきた。
彼女は微笑みを浮かべ、俺の側へ近付いてくる。
…ドクン。
…なんだ?
一瞬、俺の中で何かが蠢いたような気がした。
「耕一さん、探しましたよ」
千鶴さんは微笑みを絶やさず、俺を手を取った。
…ドクン…ドクン。
また、何かが俺の中で蠢く。
今度は気のせいじゃない。確かに、それは感じられた。
何か、俺の本能のようなものが呼びかけている…そんな感じだ。
「さあ耕一さん、こっちです」
千鶴さんは、俺の手を引いて、歩き出す。
「…千鶴さん、どこに行くんです?」
…ドクン…ドクン…ドクン…。
俺の中の何かは、何かを訴えるかのように、蠢く早さを上げていく。
まるで、この先に危険があると教えるかのように。
「ふふふ、それは着いてからのお楽しみです」
千鶴さんは口に人差し指を当てて、それだけ言う。
…俺は魅入られたように、千鶴さんの手に引かれて歩き続ける。
「…さあ、ここです」
千鶴さんが示したその場所は、テーブルがひとつあるだけだった。
「ここが…どうしたの?」
「座ってください」
千鶴さんは俺の質問には答えず、テーブルのそばの椅子に、俺を導く。
千鶴さんに促されて、俺はその椅子に座った。
ドクンドクンドクン…。
俺の中の何かは、これ以上ないくらいの早さで蠢き続けていた。
「それでは、今日のお食事です」
「はいいい!?」
「ですから、今日のお食事です。食べてください」
テーブルには、知らないうちにいろいろな皿が並べられていた。
見ると、カエルが逆立ちしている奇妙な盛付けがされた皿があったり、
コポコポと泡が立っている鮮やかな緑色のスープがあったり、
そうかと思えばショッキングピンクのドギツイ色のソースがかかった、黒焦げになっている魚(だった物体)があったりする。
「これを、食え…と?」
おそるおそる聞く俺。
「はい♪」
これ以上ない、というほどの千鶴さんの笑顔。
「つかぬことをお伺いしますが、これを作ったのは…」
「はい、私です♪」
「…味見、しました?」
聞きたくはなかったが、しかし聞かずにはいられなかった。
「いえ、味見しなくてもおいしいことはわかってます♪」
…汗が流れ落ちる。冷たい汗だ。
俺は今、猛烈に命の危険を感じている!
「さあ…食・べ・て」
にこやかではあるが、逆らえない威圧感が俺を包む。
ダメだ…彼女に逆らうことなどできやしない。
さようなら、楓ちゃん、初音ちゃん、ついでに梓…。
ついに旅立つ時が来たようだ…。
親父…母さん…今から行くよ…。
「さあ♪」
千鶴さんに促されるまま、俺はあやつられているかのように料理を口にした。
噛むのをためらう気持ち悪い食感。
舌が痺れるような味。
焼けつく咽喉ごし。
身体全部が拒否反応を起こしているような、そんな感じ。
…そして、目の前が暗くなった。
☆☆☆
「…ち」
…声だ。
「…いち」
…誰かの声がする。
「…こういち」
俺を、誰かが呼んでいる…。
「…耕一…」
うっすらと、目を開ける。…ぼやける視界。
そこには…。
「わああっ! 地獄の使者だあああ!」
「…誰が地獄の使者じゃ!」
俺の言葉に、梓が抗議の声をあげた。
梓…がここにいるということは?
…俺はむくりと起き上がり、周りを見回す。
ここは、柏木家の俺が貸してもらっている部屋だ。
俺は、今まで布団に寝ていたようだ。
「夢…だったのか?」
ポツリと呟く。
「…どんな夢見たか知らないけど、とっとと起きろって」
そう梓がジト目で俺を急かした。
そうか、夢だったんだな。
とにかく、俺は生きているんだ。良かった良かった。
「さて、じゃあ朝飯食うかぁ」
うーんと伸びをして、布団から這い出す。
「…ったく、遅く起きておいて態度はデカいんだから」
梓は、俺が完全に布団から出るのを確認してから、すっと立ちあがった。
「お前さんの胸よりは大きくないぜ」
「バカ…」
怒鳴るかと思った俺の予想に反して、梓は顔を赤くして出ていってしまった。
…なんだなんだ、調子狂うなあ。
☆☆☆
「ふう、ごちそうさま〜」
遅めの朝食を終え、俺は手を合わせてお辞儀した。
居間には、俺と梓しかいない。
他の3人は…。
「千鶴姉は仕事、楓は買い物、初音は台所にいるよ…。はい、お茶」
俺の考えを読んだかのように、梓が俺の疑問を解決した。
俺は、渡された茶を受け取り、ずずっとすする。
…梓のヤツ、何だかんだ言ってけっこう気が付くヤツだよなぁ。
「…何だよ、人の顔見てニヘニヘ笑って…」
「いや…何でもない」
反抗さえしなけりゃ実にいい嫁になるだろうに…惜しい、実に惜しい。
「そういえばさ…今日、バレンタインだよね」
ふいに梓がそう呟いた。
ばれんたいん。
そう、今日は聖バレンタインさんを讃える日。
…しかしそのはずが、日本ではなぜかチョコレートばらまき大会になっている。
まあ、キリスト教じゃないヤツらなんて、こんなものなのかもしれないが。
実際、知らん人間を祝うよりも、こっちの方が楽しい気分になれるというもんだ。
…貰えないとものすごく淋しいがな。
今回俺が柏木家に遊びに来た理由も、そこにある。
大学で義理チョコを貰うより、こっちに来て心のこもったチョコを貰った方が数倍いい。
そんな風に考えて、わざわざこちらまで足を運んだのだ。
…ということを今日はすっかり忘れていた…。
まあ、朝にインパクトありすぎる夢を見てしまったからな。仕方がない。
「そうだったな」
俺が返事をすると、梓はエプロンのポケットから手の中サイズの包みを取り出した。
「はい。これあげるよ」
ずいっと、俺の目の前に差し出す。
「…おう、もらっといてやる」
俺はしぶしぶ、それを受け取る。
…内心は嬉しいんだが、それを表情に出すのは気が進まない。
「ま、どうせ大学じゃもらえないんだろうから、こっちに来たんだろうし」
ほれ、こんなことを言われるからな。
「いや、そんなことはないぞ。梓がくれる相手がいないだろうから、わざわざこっちに来てやったんだ」
「よく言うよ」
ニヤニヤと梓は笑っている。
…くそ、信じてないな。
「まあ梓の場合、あげるよりも貰う方が圧倒的に多いだろうがな」
つい俺は、そんなことを口にした。
「…余計なお世話だっ!」
いきなり怒鳴る梓。
…どうやら図星だったようだ。
「そ、それじゃあ初音ちゃんの様子でも見てくるかな?」
機嫌が悪い梓を置いて、逃げるように俺は台所へと向かった。
台所をちらりと覗いてみる。
「あ、耕一お兄ちゃん」
…そこには、初音ちゃんがいた。
よく見ると、エプロンがチョコまみれだ。
チョコレートを作っていたんだろう。多分、俺のために。
「…苦労したみたいだね」
「えへへ、お菓子はあまり作らないから…。はい、これ」
初音ちゃんは照れながら、今作ったばかりの箱を俺に渡した。
「さんきゅ、初音ちゃん」
相手が初音ちゃんだと、礼の言葉も自然に出てくる。
「おいしくないかも知れないけどね」
初音ちゃんが謙遜する。
俺はかぶりを振って、
「初音ちゃんの作った物なら、何でもおいしいよ」
と返した。
もちろんお世辞じゃなく、本心からそう思ってる。
「…えへへ。うれしいな」
いっそう照れる初音ちゃん。
…素直な初音ちゃんの、心のこもったチョコレート…。
くうう、やっぱりこっち来て良かったぁ。
「お兄ちゃん…泣いてるの?」
「…い、いや、これは目から汗が出てるだけだよっ」
☆☆☆
その日の夕方。
テレビを見ようと部屋から居間に向かう途中。
「あ」
「あ、耕一さん…」
帰宅したばかりの様子の楓ちゃんと、ばったり会った。
「あの、耕一さん…」
楓ちゃんは、手に持った鞄の中をごそごそと探る。
「ん?」
「…あの、これ…バレンタインの…です」
楓ちゃんの差し出したそれは、赤い包装紙に包まれた箱だった。
「私、お料理苦手なので…お店で売ってるものですけど…」
「いや、うれしいよ。ありがとう、楓ちゃん」
楓ちゃんはポッと頬を染めると、パタパタと自分の部屋へ去って行った。
…料理苦手だから、店で買ってきた、か…。
誰かさんもそれくらい殊勝だといいんだけどなあ…。
食わされる方の身にもなってほしいもんだ。
「あら? 呼びました、耕一さん?」
ぎっくううううううううう!
後ろを振り返ると、その声の主がニコニコと立っていた。
「ち、千鶴さん…」
「耕一さんが私を呼んだような気がしたんですけど…気のせいでした?」
「え、ええ! 思いっきり気のせいですっ!」
ぶんぶんと首を縦に振る俺。
「そうですか…。あ、そうそう、後で手作りチョコレートをお渡ししますからね」
…ぐあっ。わ、忘れていた…。
そう、この人が『手作り』のチョコレートを渡す、という可能性を…。
わかっていれば、こっちには来なかったかもしれない。…それほど脅威なのだ。
「ちょ、チョコレートですかぁ?」
平静なフリをして、俺は答えた。
「ええ、今作っている最中なんですけどね」
ぐぅ…この言葉はもう、地獄からの死の宣告に等しい…。
俺には、悪魔がおいでおいでしている幻覚が見えた。
逃げるしかない…。
いや、しかし…逃げてどうなる?
その場は生き延びられるかも知れないが、その後が悲惨だ。
…どちらにしても、死ぬしかないのか?
「どうしたんです? 難しい顔をして…」
俺が黙り込んでいるのを見て、千鶴さんは怪訝そうな顔になる。
「…あ、いや、別に…」
悟られまいと、作り笑顔で首を振る。
「そんなに心配しなくても、チョコレートならもうすぐ出来ますよ♪」
いや、そのもうすぐできるモノが心配なんですが…。
…しかし、そんな言葉を表に吐けるワケはなかった。
「そ、そうですかぁ。じゃ、その間テレビでも見てますねー。あはははは…」
と、その場はそそくさと退散した。
…これ以上千鶴さんと話をしていると、ボロが出そうだ。
☆☆☆
どうする、耕一!?
早く対応策を考えないと…。
…テレビには何かのバラエティー番組が流れていたが、俺の耳には届いては来なかった。
それはつまり、それだけ切羽詰まっている、ということだ。
とりあえず、正露丸は1瓶まるまる飲んでおいたが、それで大丈夫なのかどうかはわからない。
相手は一撃必殺の殺人チョコレートだ…。
脅威なのはその味である。
なにせ、食った者を幽体離脱させてしまうほどのまずさを誇る、千鶴さんの料理。
いくらエルクゥの生命力が凄まじい物があると言えど、そのまずさに耐え切れるのかどうか…。
…食べたフリして、どこかに捨てるか?
いや、目ざとい千鶴さんのことだ、食ったかどうかくらいは見分けられてしまうだろう。
ならば、口の中に入れたまま、すぐさまトイレに駆け込んで…。
ダメだ、それも不自然過ぎる…。
があああ! ダメだダメだダメだ!
全くいい方法が見つからん!
「耕一さん♪」
声をかけられる。
そこには満面の笑顔の千鶴さんが、小さな包みを持って立っていた。
ああ…ついに…出来てしまったのか。
「どうぞ、食べてみてください♪」
俺が最後の手段として取っておいた、「後で食べますから」というセリフを未然に封じられてしまう。
…そのつもりがあったのかどうかはわからないけど。
「は、はい…」
手渡された包みを開き、中身を取り出す。
…それは、シンプルにハートマークをしたチョコレートだった。
匂いは、普通のチョコだ。
「耕一さんのために、甘さを抑えてみたんですけど…」
いや、余計なことしなくていいから、普通に作って欲しかったが…。
なーんて言えるわけない。言ったら地獄が待っている。
…コレ食っても地獄が待っているだろうが…。
「どうぞ♪」
千鶴さんは、にっこりと微笑みながら、俺を見つめている。
…ああ…この人の笑顔に騙されて、何人の男が命を落としたのか…。
(注・今まで死人は出したことはありません)
でも…いいよ。千鶴さんのためなら死んでやる。
ぱきっ。
チョコレートの端の方をひとかけら砕き、しばしそれを見つめる。
…見た目はホントに普通のチョコレートだ。
「はあっ!」
気合を入れて、そのままチョコを口の中に放り込んだ。
もぐもぐもぐもぐ…ごっくん。
…食ってしまった。
「…どうでした? お味の方は。私、味見してなかったんですけど…」
期待と不安が入り混じったような表情の千鶴さん。
はいはい…そのセリフはもう聞き飽きましたよ。
しかし…このチョコは…。
「うまい…」
「本当ですか!?」
千鶴さんは喜びの声をあげた。
いや、本当にマジでうまかった。
何ともいえない芳醇な香り、甘味もほど良く、それでいてしつこくない。
まるで口の中に幸せが広がるような…そんな味だった。
この味を知ってしまったら、他のチョコレートなど『リアルウンコチョコうんこ味』同様だろう。
「うまいよ、ホントうまい」
はからずもついつい、うまいを連発してしまう。
「よかった。あれを入れた甲斐があるというものだわ…」
ふう、と千鶴さんは胸を撫で下ろした。
…俺は、その千鶴さんの言葉を聞き逃さなかった。
「…え? 『あれ』って…何?」
俺の言葉に、はっとする千鶴さん。
「あ…いえその…。何でもないですぅ…」
「…チョコに何か入ってるの!?」
「あ、大丈夫です、それ自体は何の害もないですから…」
それ自体って…。やっぱり入れてるんじゃないか!?
「一体何を入れたんですかぁ!?」
俺が強く問い詰めると、千鶴さんは観念したように答えた。
「そ、その…『ミカクハンテンダケ』のエキスを…」
ミカクハンテンダケ? 何それ?
…千鶴さんは俺の考えを読んだかのように、解説を始める。
「ええと…キノコ図鑑によると、
『食した者の味覚を狂わせ、おいしい物をまずく、まずい物をおいしく感じさせるようになる。中毒性はなく、食することは可能』
とありました」
「そ、それは、つまり…」
「ううっ…すみません、チョコレート単体はおいしくないんです…」
うなだれる千鶴さん。
で、ではこの天国のような味わいは、チョコレート単体のものすごいまずさを反転したものだというのか…。
…ぱく。
余ったチョコレートを、また口に入れた。
…元々はまずい物だというのはわかっている。
がしかし、天国のような味わいを求めて、ついつい口に入れてしまう。
はぁぁぁ…なんという至福の味わい!
これこそ、天使のような悪魔の食べ物と言うべきか…。
「うう、うまい、うますぎるぅ〜」
いつのまにか俺は、取り付かれたかのようにチョコレートをむさぼり食っていた。
「こ、耕一さん…うれしいですぅ」
千鶴さんは涙を流して喜んでいる。
うーむ、そんなに『うまい』と言われたかったんだろうか…。
俺も、千鶴さんのために役に立てたという気持ちで、嬉しくなってきた。
千鶴さんも俺も幸せな気持ちだ。
…後はまあ、腹が壊れないのを祈るばかりだな…。
☆☆☆
夜。
全く不思議なことに、腹は壊れなかった。
エルクゥの生命力のお陰か、正露丸1瓶のパワーか、はたまた今回は奇跡的に、安全な料理になったのか。
俺には全くわからないが、それは別にかまわない。
重要なのは…。
「俺は助かったのだーっ! キャッホーイ!」
思わず踊り出してしまう。
まあ無理もない。
ホントにもう戦々恐々としていたのだから。
今を喜ばずして、いつ喜ぶというのだ!…という感じだ。
がら。
不意に、部屋の戸が開けられた。
「…お兄ちゃん…何を…してるの」
初音ちゃんが、戸を開けたところで固まっている。
「あ、初音ちゃん!?」
ピタリと踊りを止め、コホンと咳払いをした。
「別に、何でもないさ…」
「そ、そう…」
妙にぎこちない会話。
「…あ、そろそろ晩御飯になるから…」
初音ちゃんは俺の目を見ずにそう言い残して、パタパタと去って行った。
…変なところを見られてしまったか…。ちょっと反省。
しかし、千鶴さんの脅威から逃れられたことから比べれば、まあ些細なことだ。
はっはっはっ。
「さて、飯だ飯だ!」
俺は、バタバタと居間へと向かった。
食卓に並べられた、梓の手料理。
俺がよくこっちに来ている理由には、このうまい料理を食えるため、というのも含まれている。
「んじゃ、いただきまーす!」
手を合わせて短くお祈りすると、すぐさま箸を素早く動かす。
ぱくぱくぱくっ。
勢いよくおかずを2つ3つ、口に放り込んだ。
もぐ。
おかずを噛みしめた瞬間…。
動きが止まった。
「……」
「どうした、耕一?」
「…ま…」
「ま?」
「まずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅいっ!」
俺は、あまりのまずさに…気を失った。
☆☆☆
「なあ千鶴姉…なんで耕一がぶっ倒れるんだ?」
「さ、さあ…わからないわ」
「私の料理食べて、まずいって言って…」
「わ、私はおいしくいただいたわよ」
「別に変な食材は使ってないし…耕一はアレルギー持ってないはずだし…」
「ま、全くわからないわよねぇ〜」
千鶴は、あたりさわりのない返事をしつつ、考えていた。
(言えない…言えるわけがないわ、ミカクハンテンダケのせいだなんて…。あとであのページ、破っておこう…)
…キノコ図鑑のミカクハンテンダケの欄には、こう記されていた。
「補足・味覚の反転現象は、食してから半日は効果が持続するので、注意が必要である…」
ちゃんちゃん♪
あとがき
どうも、李俊です。
うゆきゅう王国さんの「おめでとう50,000HIT&バレンタイン記念SS」として書きました。
(これが載る頃には5万越えてるでしょう…多分(^^;)
読んでみてどうだったでしょうか?
皆様からのご意見、ご感想、ご要望、苦情、毒電波、コロニーレーザー、シャイニングフィンガー等、何でもお待ちしております(^^)
ではでは。
↓おまけもお楽しみください♪
番外
か「梓せんぱぁい♪ チョコレートですぅ」(にこぱっ)
梓「か、かおり…あたしは別にチョコレート貰いたいとは思ってないんだけど…」
か「…そ、そんな…」(うるうる)
梓「あー泣くな! わかった、貰ってやるから!」(わたわた)
か「ホントですかぁ? ありがとうございますぅ」(けろっ)
梓「こ、こやつ…」
か「開けてみてください♪」
梓「どれどれ…こ、これは…ハートマークゥ…」
か「おまけに『梓先輩ラヴラヴゥ〜』っていう文字も入れたんですよぉ」
梓「何だかなあ…」
か「食べてみてもらえますか? お口に合うかどうか…」
梓「どれ…(もぐ)…へえ、形はともかく、味はいいじゃない」
か「そう言われると嬉しいですぅ」
梓「なかなか、うまい…と思う…よ…」(ガクッ)
か「ふふふ、睡眠薬が効いたようですね」
梓「くーっ…」
か「さすがに象を1000頭眠らせられる量を入れただけのことはあります…」
梓「すーっ…」
か「さあ梓先輩、私の物になってください」(ふしゅるるる…)
危うし梓! どうなる梓!
このままかおりの毒牙にかかってしまうのか!?
というか、象千頭眠らせる量なんて致死量超えてないか、オイ!
ちゃんちゃん。
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