よく晴れた日、耕一は一人とある高校の屋上への階段を上っていた。
 突然従妹の初音ちゃんから電話があったのだ、高校の屋上まで来て欲しい。と、もちろんここは初音ちゃんの通う高校。(どうして耕一が初音ちゃんの高校になぜ入れるのかは突っ込まないでくれ)
 耕一は、屋上のドアに手を掛けた。
 ぎぃぃっと重い鉄のドアが開いていく。
「・・・初音ちゃん?」
 夕陽が降り注ぐなか初音ちゃんは屋上のフェンスにもたれ、耕一を見ていた。
 赤いリボンをした栗色の髪が風になびいている。
 耕一はその幻想的な風景に見とれていたが、ふと初音ちゃんの異常に気づいた。
「どうしたんだい、初音ちゃん。学校の屋上に来てなんて」
 クスクスと初音ちゃんは笑った。
 やはり普段と様子が変だと耕一は感じていた。初音ちゃんの頭のてっぺんにピンと跳ねたくせっ毛がいつもよりも・・・。
「・・・晴れた日はよく届くんだ」
「え・・・?」
 初音ちゃんが耕一に歩み寄ってくる。
 空気のように軽い足取りで。
「耕一お兄ちゃんも解るよね・・・」
 初音ちゃんが耕一の胸に頭を重ねる。
「は・・・初音ちゃん・・・?」
 チリチリと頭に電気のような物が走る。
「は、は・は・・つ・・・ね・・・・ち・・・」


痕2〜千鶴は生きていた、マテコラッ!〜 


「!!」
 ガバッと跳ね起きる。朝陽が眩しい・・・。
「夢・・・か・・・」
 耕一は頭をふるふると振った。まだ寝覚めの為か意識がぼんやりとしている。
 時計を見るとまだ七時だった。今日の講義は特に重要でなく出席する必要はないので、ゆっくりと寝ていることが出来る。
 相変わらずぐーたら学生を続けている耕一だった。
「もう一眠りしよう・・・」
 再び耕一は布団に潜り眠りについた。

 耕一が次に起こされたのは郵便のチャイムでだった。
「柏木さーん、郵便でーす」
 通販もしてないのに宅配物なんて無いはず・・・と思いつつ耕一は布団から起き玄関に向かった。
 そこには小包を持った配達員が立っていた。
 ハンコを押して小包を受け取る。
「誰からだ・・・?」
 差出人は書いていなかった、しかし耕一のアパートの住所がしっかりと書き込まれている。
 とりあえずカッターを持ってきて封を開けてみる。
「ビデオ・・・・??」
 思い当たる事を片っ端から考えてみるが、そのような物を注文した覚えはない。よくある雑誌の通販のアダルトビデオ・・・(耕一には必要のない物じゃないのかぁぁぁ??)
 考えてみたがどれも当てはまらなかった。
「とりあえず見てみるか」
 耕一はビデオを入れ再生を押す。(もう解ったと思いますが、あのネタです。ぉ)
 ザーーーーーーーッと何も映らない。
「誰かのいたずらか」
 停止ボタンを押そうとすると画面に畳の部屋が映った。
 長い黒髪の女性が髪を梳いている。
「まさか千鶴さん・・・!?」
 しかし後ろ姿なので誰だか解らない。それに千鶴は昨年の夏、鬼の手に掛かり亡くなっている。
 画面が切り替わる。木造の台所が映りそこで先ほどの女性が包丁を研いでいる。
「・・・冗談か何か・・・。最近こういう映画が流行ってたし」
 そして料理が始まる。
 しかし、それは料理といえるのだろうか・・・・。
 野菜や名前も知らぬ材料をぶつ切りにして鍋に詰め込んでいくだけ。そして調味料をばっばっと量も考えず振りかけるだけ。
「でも、まるで千鶴さんみたいな人だな・・・・やっぱり誰かのイタズラか」
 一瞬映像の女性が睨んだような気がしたが気のせいだろう。
 ぐつぐつと妙な色の湯気を発てて鍋を煮込んでいる。
 絶対に食べたくない。
「・・・オチは・・・ないのか・・・?」
 器にその料理らしき物を盛って映像は終わった。
 ビデオはそれで終わりだった。
「・・・パチンコにでも行こう」
 非常に意味の解らない映像に呆れて、耕一はビデオをそのままにして出かけていった。

『電波・・・・届いた?』
 テレビの画面にはそんな文字が綴られていた。

「よっしゃあーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 耕一は握り拳を高く掲げた。
 久々に勝ちモードに入った耕一は、地道に留め打ちを続けていたが、高確率に突入したまま連チャンを繰り返すうち、鬱陶しくなって、最終的には打ちっ放しになった。
 それでも最終的に17連チャン、2箱のまれてからノーマルで一回引き当て、そこで止め。
 両替して9万円ほど貯金を下ろすことができた。
 耕一はほくほく顔で店を後にし、街のファーストフード店で夕食を取り帰宅した。
「今日はやけについてた」
 機嫌良く布団に潜り込もうとして、ふとビデオが付けっぱなしな事に気づいた。
「消したはずだけどなぁ・・・」
 ビデオの電源スイッチをオフにするが付いたままだ。
「あれ・・・?」
 テレビに映像が映り驚いて飛び退く耕一。
「・・・まさかえるくぅ・・・!?・・・んなわけないよなぁ・・・」
 再びあの長い黒髪の女性が映る。先ほどの映像で作った料理を盛った器を片手に持ち。
 そして彼女はこちらに向かって歩み寄ってくる。
「・・・冗談にしては・・・」
 画面から器が出てくる。
「う、嘘だろっ!?」
 女性の上半身がゆっくりと這い出てきて、そして全身が映像から抜け出て耕一の前に立った。
 呆然と耕一は女性を見ていた。
 だらーっと長い黒髪を垂らしており顔が見えない。
 髪の隙間から口が見える。
 にやーーっと笑った。
「ひ・・・ひいいっ!!」
 誰でも逃げる。当たり前だ。耕一は自分が鬼であることも忘れそこから逃げたしたが足に力が入らない。
 玄関で躓いてしまった。
 玄関に座り込み後ずさっている耕一の前にぬっと女性が立つ。
 勿論片手にはあの料理の盛った器を持っている。
「・・・ふふふふふっ」
 器が耕一の前に差し出される。
「た・・食べろって言うのか・・・」
 食べると死ぬかもしれない、と耕一は思った。けれどこの状況だと食べなかった方が怖い、もしかしたら何ともないかもしれない・・・。
 いつのまにかスプーンも添えられている。
「た、食べるよ・・・」
 ガタガタと震えながらスプーンを持つ。
 その緑色の液体を軽くスプーンですくう。においは無い。
 ゆっくりと時間をかけて口元に持っていく。
 女性の表情は解らないが、多分早く食べろという風に急かしていると思われる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 口を開ける。
  ガシャンっ!
 けれど目の前で器が砕け散った。
 何事かと女性が玄関を向く。
「曇っていると電波届きにくいんだよ」
 おかしな事を口走っているけど玄関前の廊下に初音ちゃんがいた。
 とりあえず女性の料理は無くなった、耕一はほっとため息をついた。
「駄目だよ、千鶴お姉ちゃん。電波は正しく使わなきゃ」
 夢で見た時と同じように初音ちゃんの様子は変だった。
 そして、その女性をはっきりと千鶴と呼んだ。
「・・・・・」
 垂らした髪を左右に分け。素顔を見せる。たしかに・・・千鶴さんだった。
 けれど今までの行動は一体なんだ?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ち、千鶴さん・・・・」
 略。
 と、ここで千鶴さんが耕一に説明。
「じゃ、じゃあ千鶴さんの思念体がいつのまにかあのビデオの中に入って気が付いたらビデオ内の呪いにうち勝っていた、って・・・」
「そ、そうなんです。初音が名前を呼んでくれて、それで・・・」
 クスクスと初音ちゃんが笑っている。
「電波の色で解るんだよ。一人一人みんな違うの」
「は、初音ちゃん・・・何かあったの・・・?」
 結局千鶴さんはその呪いのビデオテープを乗っ取ったわけでそのビデオテープが壊れない限り生きていけるらしい、さすがえるくぅ(設定に無茶が有りすぎ、ってか良いのかそれで!?)
 しかし、初音ちゃんは明らかにおかしい。
「くすくすくす」
「こ、耕一ぃぃっ!!」
 梓らしき声がし階段を駆け上ってくる音がする。
「初音来てないかっ!?・・・って・・・・・・・・・・ち、ち、千鶴姉!!!????」
 柏木家2女、梓が耕一の家の前で千鶴さんを見て呆然としていた。(そらするわな)
「どうしたの梓お姉ちゃん?」
 不自然な笑み。
 その微笑みを見て梓の顔が引きつる。
 何かあったのだろう・・・・。
「何があったんだ、梓?」
「・・・・デンパジュシンダケ」
 いつの間にか梓の後ろに立っていた楓がぼそっとそう言った。
「千鶴姉の遺品を整理してた時に出てきた茸を初音が間違って食べちゃったんだよ」
 また無茶苦茶な。
 耕一は呆れて何故か千鶴さんを見ていた。
「でも、どうして千鶴姉が・・・・・・!?」
 冷静になった梓が千鶴さんをじろじろと見ている。間違いなく自分の姉千鶴だ。
「話すといろいろあって、というかあった所というか、とりあえず部屋にあがれよ」

 千鶴さんはビデオを入れっぱなしにしておくことで存在を維持でき、初音ちゃんは翌日元に戻っていた。また何も憶えていない初音ちゃんに千鶴さんのことを説明して、話は丸く収まり。千鶴さんの生死については公然の秘密となった。結局千鶴さんのビデオテープは鶴来屋の会長室の奥のビデオデッキで常に回り続けることとなった。
 めでたしめでたし。(良いのかそれで・・・け、結局オチは何なんだ!?ぉぃぉぃ)

 後日、ふと魔が差した耕一は柏木家に帰ったときにそのビデオテープを勝手にダビングしてみた。
 帰宅しテープを再生すると再び千鶴さんが映り、二人目の千鶴が現れたとさ。
 テープに一人千鶴さんが現れる・・・・ダビングしテープが増えるごとに千鶴さんも増える・・・・。
 耕一は一つ誤算をしていた、千鶴さんの殺人的料理を食べなければならないと言うことを・・・・・。

「呪いのテープがあるんだってぇ。テープが回り続けている間綺麗なお姉さんが出て来るんだけどね、そのお姉さんの下手な料理を毎日食べないといけないんだってぇ、怖いよねぇ」
「しかも、ダビングする毎に増えるんだって」

 良いのか、それでっ!?
 まったく・・・分け解らぬ文章で済まんです。
 とはいえリング見て、電○少女を思いだした俺って・・・・。


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