ザ・Leaf・オブ・ファイターズ2001・主役争奪戦
第二話「マルチ 三段変形」


written by 空飛ぶイノブタクッキー


「ただいまより、第一回 ザ・Leaf・オブ・ファイターズ 主役決定戦を開催致します」

オオオオオオオオ・・・・!!!!!!

湧き上がる歓声、そしてむせ返るような熱気が会場を包み込む。

「さて、総合司会を務めさせていただきますのは私【新城沙織】と【柏木楓】です、よろしくお願いします。そして、総合ジャッチを務めさせて頂きますのはこの男!!」

沙織がステージ中央に手をかざすと何所からともなくカードマスターピーチのテーマが流れ、スポットライトが照らされるとある一人の男が写しだされる。

「マァァァァァイ・ブラザー・オア・マァァァァァイ・シスターの諸君!! 今、此処に流れる熱きオーラ力を感じる事ができるか? いや、出来ぬであろう。感じる事が出来るのは、聖戦士だけなのだ!! そして我輩もその一人 九品仏大志がこの戦いを裁かしていただく」
「と言っても、オーラバトラーを動かせと言うのは無しだ、それに〇スカ〇〇−ネも無理だからな!!・・・っと話がずれてしまったようだ。オホン・・さて、バトルステージの説明だが。妨害工作を未然に防ぐ為に、バトルステージは完全に外部ブロック構造になっていることを注意しておく。
いくらファンのキャラがピンチでも、ステージに入り込み、妨害をされれば勝負が台無しになってしまう事を忘れないで欲しい。我輩からは以上だ。トウッ」

説明を終えると大志は、大きく飛翔してどこかに消えていった。


「さて、次は対戦カードを紹介いたしましょう、楓ちゃんよろしく〜」

「はい、まず第一回戦 第一試合はToHeartチーム VS DR2ナイト雀鬼チーム 第二試合はこみっくパーティチーム VS WHITEALBUMチーム そして第三試合はFilsnownチーム VS 痕チームの戦いになっております。
なお雫チームはシード権を得ましたので決勝戦からの戦いになります。
そして特設コーナでは人気投票を行っております。この結果により、敗者チームの中から決勝戦への切符を1チーム得ることができますので、皆さん奮って投票をお願いします」


沙織&楓「それでは、リーフファイト。レディィィィ!!・・・・」
観客「ゴーーーーーーーー」

この番組は、おいでませませ おいでませの 鶴来屋ホテルグループ

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土曜のお昼はヤクドの日 ヤクドナルド株式会社の提供でお送りいたします。


CM中

「ふうっ、何とかオープニングは終ったわね。あ、楓ちゃん気分はどう?」
「ええ、大丈夫ですよ。まだ三ヶ月ですから」
「そう、だけど無茶は駄目よ」
「はい」
楓の幸せそうな顔を見て、沙織はため息をつきながら愚痴をこぼす。
「でも、いいわね楓ちゃんは。もう好きなひとからプロポーズされて」

「え? 裕介さんまだ言ってくれないんですか」

「そうなんだ〜。早くしてくれないと、他の誰かの所に行っちゃうぞ〜ってね」

「ふふふっ、沙織さん達って付き合い始めてもう何年になるんです?」

「もう、6年になるかな・・・・って、楓ちゃん。私達って、そんなに発売日はなれて居なかったような気が・・・・」

沙織が初音に突っ込みを入れようとしたその時、ADがCM明け10秒前を言いにやって来る。

「そろそろ、CM明けます」

その事を聞くと沙織は先ほどと同じテンションに戻って行った。


この夏、俺はどんな出会いをするのだろう

それは!! ヤクドナルドで決まるかもしれない

ToHeartセットこの夏ヤクドナルドに登場。

「あの・・・・・滅殺・・・です・・」

ヤクドナルド

「それでは、一回戦第一試合、選手達の入場です」

「まずはToHeartチーム」

「無類のクマ好き クマの為なら何所でも行きます 炎の熊コレクター神岸あかり」

会場にPC版オープニング「Brand−New−Heart」が流れると、会場中から「あかり」コールが沸き起こる。

「あかり あかり あかり」

「か・み・ぎ・し あ・か・りぃぃぃぃぃぃぃぃ、おす。ファイトファイトあかり ファイトファイトあかりぉぉぉぉぉぉぉす」

それを縫うようにマルチの紹介が始まる。

「お掃除一途に 魂燃やし 掴んだ奇跡は 超ど級 HMX-12 マルチ」

「マルチぃぃぃぃぃぃぃ、かんばれぇぇぇぇ。ほっちゃんファンも応援しているぞ」


その応援を悲しい表情で聞いている少女が一人・・・。

「やっぱり、私のファンの方って少ないんですね」

松原葵その人である。

だが、葵ちゃんの考えを観客が吹き飛ばしていった.



「片時も格闘魂忘れずに、戦う姿は世界一 エクストリームファイト世界2位 松原葵」

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!! あおいボンバーィェー、あおいボンバーィェー、あおいボンバーィェー、あおいボンバーィェー・・・・・」

観客の猪木コールならぬ葵コールが、会場にあつまる人々の「闘魂魂」に火をつける。
そして、会場に流れるBGMが燃える闘魂のテーマ(アントニオ猪木のテーマ)に変ると葵ちゃんは満面の笑顔で観客に答える。
「いくぞーー 1、2、3、だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

会場の空気がまるで「故ジャイアント馬場氏対アントニオ猪木氏」のゴールデンバトルのように熱くそして濃い空気へと変わっていく。

その空気を余りよく思ってない者達がいた。そう、ToHeartチームの対戦相手である「DR2ナイト雀鬼チーム」である。


「まったく、リーフもちゃんと組み合わせ考えなさいよ」

と声をあげたのはルミラ=ディ=デュラル

「まあまあ、抑えて抑えて。私達が勝てばいいんですから」

その横でルミラを抑えているのがメイファ=ピクチャー

その光景を無言で見ている人物はエビル『地上界では江美という名前でCDショップに勤めている』(byナイトライター)

「(芳晴が応援に来ると言っていたな。無様な姿だけは見せたくは無い)」

エビルは密に闘志を燃やしていた。それを知ってか知らずか、客席では・・・・・。

「まったく何やってんだよ、コリンの奴。もう試合始まっちゃうぞ」
ナイトライターの城戸芳晴は、パートナーのコリンが中々帰ってこない事に心配と苛立ちを覚えていた。
コリンの仕事仲間であった【ユンナ】が起こしたある一件で、友人となったルミラ達を応援する為。
芳晴はコリン、たま、アレイ、イビル達と共に試合を観戦に来ていたのだが・・・・・」

「まあまあ、城戸さん。女性には色々とあるんですから。それより、もう言ったんですかあの事? エビルさんに・・・」
アレイも待つことに飽きたのか、ニコニコしながら芳晴で遊び始める。
「え! な、なな、何言ってるんですか。アレイさん、変な事言わないでくださいよ」
「うふふふっ、冗談ですよ。でも、エビルさんも満更でもないようですから、頑張ればどうにかなるかもしれませんよ」

アレイ芳晴がで遊んでいると、其処に両手いっぱいに物を持った青い髪の女性「イビル」が戻ってくる。

「おーい、ジュース買ってきたぞ」
「あ、おかえりなさいイビルさん。お願いしちゃってすいません」
「うん? ああ別に構わねーよ。お前が代金全部出してくれたんだからな」
「ほらよ、芳晴、アレイ」
イビルは二人にジュースのペットボトルを渡すとそのまま、座席に座る。するとため息をついた。

「どうしたんですか、イビルさんがため息なんて珍しいですね」
「そうか? まあ、いろいろとあってな・・・」
そう言ったまま、イビルは何か思いつめた表情で俯いてしまった。

「そういえば、たまさんは? 確かイビルさんと一緒に行ったのに」
「ああ、あいつはちょっと野暮用でな。それよりルミラ様達が入場してくるぞ」


芳晴がステージに目を向けると同時に沙織の選手の紹介が始まる。

「続きまして、DR2ナイト雀鬼チームです」

「いつまでも消える事無いその美貌 戦う心で煌きます リーフ世界一のバンパイヤ ルミラ=ディ=デュラル」

オオオオオオオオ

湧き上がる歓声の中から一つの声がルミラには際立って聞える。

「ルミラさーーーーーん、がんばってーーーーーーー」

その声の持ち主は、ルミラが家庭教師をしている「真一」と言う少年であった。

真一の声援にルミラは投げキッスをして答える。

「続きまして。ある時は絵の中の美女、またある時はギャンブル好きなお姉さん。そしてその実態は・・・伝説の画家 メイファ=ピクチャー」

「姉さん、がんばってくださいーーーーー」

観客の歓声と共に一人の青年が大きな大漁旗を振っている姿がメイファに飛び込んで来る。

「(綾斗・・・・まったく仕事ほっぽり出してなにやってるのよ。後で、お灸据えなきゃ駄目ね・・・)」

と心の中では思って居たが、顔を満面の笑みを浮かべていたメイファであった。

そして、エビルの紹介が終るとすぐに第一試合が開始されていく。

『第一試合マルチVSルミラ=ディ=デュラル』

カーン!!! 戦いの始まりを合図するゴングが鳴り響く。

まずここで、両者の性能を書いておこう。


マルチ Gパーツ装着モード(ゲッターGの略)

特殊機能 パーツ換装 (必殺技機能なし)

武装 アクアビーム ダブルモップブーメラン お掃除サイクロン

ルミラ=ディ=デュラル

武装 ダークファング 銀玉鉄砲

必殺技 快楽と言うなの地獄 黒き翼が奏でるレクイエム 漆黒色の熱き牙
特殊機能 飛行

「さーて、始まりました第一ラウンド。特別解説者として【コリン】さんに来ていただいてます」

「よろしくおねがいしますねぇ〜」

「さて、この対戦どうでしょう」

「マルチちゃんの「愛」の属性がルミラさんの属性「闇」の力をどう抑えるかが勝負の分かれ目でしょう〜」

「ほうほう、マルチちゃんにはパーツ換装と言う特殊技能がありますが・・・・」

「パーツ換装をするときに一瞬でも隙ができれば、ルミラさんの必殺技が炸裂して、マルチちゃんの愛のパワーが強くても敗れてしまうでしょうね」

「さて、コリンさんのお話を参考に、バトルステージにカメラを回しましょう」

バトルステージをカメラが映し出す。そこでは、両者距離をとって砲撃戦を展開していた。

銀球鉄砲を乱射し、弾幕を張ろうとするルミラの作戦を、マルチのダブルモップが阻止していく。

ダブルモップの回転が生み出す風が、円状のバリアーを展開し。銀球鉄砲が着弾する際に巻き起こす粉塵を消し飛ばす為、マルチの視界が悪くならないのである。

そして、マルチは銀球鉄砲の攻撃が終った瞬間! ダブルモップを2つに分離させ一つをルミラに投げる。
「モップブーメラン〜〜〜」

モップは物凄い回転力を帯びながら、ルミラに向かい飛んでいく。そのコースはあまりに正直すぎた為、ルミラは簡単に回避行動を取った。だがマルチの本当の攻撃はモップブーメランではなく、お掃除サイクロンだったのだ。

お掃除サイクロンは、マルチのモップ掛けダッシュ力をフルに解放し、円を描くように高速でモップ掛け、その生れた竜巻により敵にダメージを与える技である。 
その速度は約マッハ3。下手にその行動を妨害しようものなら、その強大な回転力により通常よりもダメージは大きくなってしまう。

だが、この技は大きな弱点を持っていた・・・・・。それは、パイロットも凄まじい回転力により一定時間思考能力を失う為、敵パイロットに反撃を貰ってしまうことだ。

攻撃を受け、半分程のダメージを受けたルミラは。必殺技「快楽と言うなの地獄」と「黒き翼が奏でるレクイエム」同時に放つ。

マルチのCPU内に、ルミラの力によって生み出された幻想が広がっていく。

「なあ、マルチ。俺の事好きか・・・」
「はい、大好きです・・・・」

マルチが幻想に支配されている時を狙って、ルミラは翼を大きく広げバトルステージいっぱいまで上がると。翼に闇のエネルギーを注ぎ込み、そのままマルチの機体に体当たりを開始した。

ガシュン!ガシュン!ガシュン!

その振動はマルチの幻想の中では、浩之に頭を撫でられている物に変っている。

「はぅ〜〜〜〜」
マルチは、浩之の胸に顔を埋めて幸せをもっと感じるハズだった。だが、マルチは異変に気づき浩之から離れる。
「おい・・・どうしたんだマルチ?」
浩之はマルチを抱きしめようと近づいてくる。だが浩之が一歩踏み出すと、マルチも一歩後ろに下がり一定の距離を取る。
「あなたは、浩之さんじゃないですね」
「何を言ってるんだマルチ。俺は藤田浩之だ、本物も偽物も有るか」
「いいえ、浩之さんはあなたみたいに冷たくは無いです。それにあなたからは全然体温が感じられません」

マルチは何所からかモップを取りだすと、浩之に向かい振りかぶった。
「ええぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いっ」
スカッ・・・・・・
マルチのモップは浩之に直撃した筈だった、だが手ごたえはなくモップは空を斬る。
すると浩之は消え去っており、マルチは幻から目覚めた。

マルチが目を覚ますと、ルミラは空中で突撃体制を取っていた。
「あら、起きちゃったの。もう少し眠っていて欲しかったけど、しょうがないか」
ルミラは突撃体制を止めて、再び銀玉鉄砲を撃ち始めた。
上空から撃ちだされる無数の銀玉を流石に全て回避行動を取るの不可能な事である。

「主任さん、MパーツとGGGパーツを交互に転送してください」
長瀬はマルチの通信を受けると、まずMパーツを転送する。
コックピット内のマルチの体に黒い鎧が装着されると、バトロイドも機体形状を変える。そして黒いボディが凛々しい鉄(くろがね)の城が出来上がった。
Mパーツは重装甲パーツであり、通常の攻撃を完璧にシャットアウトする。だが装甲重視の為、スピードを全て犠牲にしているのが欠点だ。

パーツ換装が行われた事に気づかないルミラは、銀玉鉄砲の発砲の手を緩めない。バトルステージを白い粉塵が包みマルチの存在を隠す。
「今です、GGGパーツを」
長瀬の表情が一転し緊張が走る。
「わかりました。神岸さん、ファイナルフュージョン承認です」
「了解。ファイナルフュージョン、プログラムドライィィィブ」
あかりは目にも止まらぬスピードで、ノートパソコンのキーボードを叩き、GGGパーツをマルチに転送していく。

「ふぁいなるふゅーじょぉぉぉぉぉん〜〜〜〜〜〜」

某勇者王をモデルに作られたGGGパーツ。それはMパーツとGパーツの性能を兼ね備えた地上最強のマルチ専用パーツである。
ただし、今回のGGGパーツはマルチサイズに設計されている為。パイロットであるマルチのボディに直接装着し、通常なら使う事のないリミッターを解放しないと使用する事が出来ない。
だが、リミッターを外した状態で長時間試合を行なう事はマルチに凄まじい負担をかける為、GGGパーツの多用は避けなければいけないのだ。

マルチの体に浩之と出会うきっかけとなった高校の赤い制服が装着される。
続いて、四年前にガディムとの最終決戦の際にFilsnownチームのティリアから貰ったフラッシュリングとシルバーブレイザーが腕に装着され、最後は浩之が初めてマルチにプレゼントした麦藁帽子が装着されると。
バトロイドは形を大きく変貌させ、魔人のような鋼の体と、風のようなスピードそして炎のような攻撃力を持った機体へと変った。

マルチのGGGパーツへの換装が終った頃・・・未だにルミラの攻撃は続いていた。
「そろそろ、終了のゴング鳴っても良いんだけど・・・。まだ、終わらないのかしら」
ルミラは攻撃を止めて粉塵が消え去るのを待つ。するとマルチのバトロイド【マルチガイガー】は白い粉塵の中から姿を現した。

マルチガイガーのコックピット内部に取り付けられた、行動限界時間を表示する液晶時計がカウントを始める。
「行動できる時間は1分だけ、一気に決めないといけないですね」
やる気満々のマルチを後目にルミラは半ばやけくそになっている。
「な、なんなのよ。あれだけの攻撃受けて動けるなんて、反則なんじゃないの? もう、こうなったらフルパワー出して引き分けに持ち込んでやるだけよ」
ルミラは闇のパワーを全て翼に乗せ突撃体制を取る。

一方、マルチガイガーは両腕を光らせルミラの攻撃を待っている為、動かない。液晶時計が刻々と時を刻む、35・・34・・33・・・・。

液晶時計が30秒を告げた瞬間、ルミラはマルチガイガーに向かい突っ込んでくる。だが、マルチガイガーは今だ動く気配を見せない。
「ふふっ、これで終わりよ!!!」
ルミラの攻撃がマルチガイガーに炸裂したはずだった。 だが、マルチガイガーは光る両手で翼を掴み、闇と反対の属性を持つ光の波動を撃ちこむ。
「シルバーフラッシュ・ブレイカーァァァァァァ」

まぶしい光がバトルステージ全体を覆い隠す。
しばらくして、光が止むとルミラのバトロイドは機能を停止しており、マルチのバトロイドはパーツを強制排除はしていたが。動く事ができる為、大志はマルチの腕を上げて高らかに「勝者マルチ」と叫んだ。

「浩之さぁぁぁぁぁぁん、私、勝ちましたよ」
観客の歓声が響く中、マルチはどこかに居る浩之に聞えるように、大きな声を出して喜んでいた。

──続く──

次回予告

マルチの勝利によって第2回戦へと近づいたToHeartチーム。だが、ナイト雀鬼チームも食い下がってくる。

はたして、戦いの結末は?

次回 ザ・Leaf・オブ・ファイターズ2001・主役争奪戦 第三話

「似たもの同士の二人」

次回もファイナルフュージョン承認!

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