ある日、俺は千鶴さんと一緒に買い物に出かけた。
その帰り道でのことだ…。
…。
…苦しい。
頭の中をひとつのことだけが駆け巡っている。
(…シタイ)
(死体?)
(イヤ、ソウジャナクテ。…シタインダッテ)
(しゅたいんべっつ?)
(…ナンジャソリャ)
…と、頭の中で漫才をしてしまうほど俺は苦しんでいた。
千鶴さんと買い物をしている時は大丈夫だったのに。
店を出てから、少しずつ少しずつ沸き上がって来ていた。
…今じゃただ歩くだけでもかなり苦しい。
…シタイ。
シタイ…シタイ…シタイ…シタイ…シタイ…。
もう…限界だ。
「うぅ、千鶴さん…」
俺の声を聞いて、前を歩いていた千鶴さんが振り向く。
苦しそうな俺の姿をみて、すぐに俺がどういう状況か、悟ったようだった。
「耕一さん!大丈夫ですか!?」
心配そうな顔をして俺の顔を覗き込む。
「千鶴さん…。ここでさせて…」
…もう、我慢できなかった。ここがどこかなんて関係なかった。
頭にあるのはひとつのことだけ…。
(…シタインダヨ…)
「な…だ、駄目です!こんなところでそんなこといけません!」
顔を真っ赤にして首を振った。…恥ずかしがっているようだ。
「…千鶴さん、俺が苦しんでるってのに、世間体の方が大事なんだね…」
…俺は悲しかった。
千鶴さんなら、「いいですよ」と言ってくれると思っていたのに。
「…そんなことはないです。私は耕一さんを大事に思ってます。それだけはわかってください…」
千鶴さんがふし目がちに言う。
普段の俺なら、今の千鶴さんの言葉で十分だろう。
しかし…今の俺は違う。
(シタインダ!)
「なら、させてくれよ、ここで!」
怒鳴りつける俺。びっくりして俺を見る千鶴さん。
「で、でもここじゃ駄目なんです!」
首を振って拒絶する。
…なぜだ!俺達は愛し合ってるんじゃなかったのか!
そんな言葉をつい出してしまいそうになる。
こんなことも許してくれないのか!!
「そんなこと言われても、もう限界なんだよ!千鶴さんが悪いんだからね、ずっと待たせるから!」
そうだよ…そうなんだよ。
買い物をしている間も、ずっと心の奥底で思っていたんだ。
ただ、千鶴さんが楽しそうに買い物をするのをみて、我慢してたんだ…。
「そんな…ね、もう少しで家につきますから、それまでの辛抱でしょう?」
千鶴さんがやさしく問い掛ける。
でも…こうしている間にも俺の中でどんどん膨らんでくる。
(ヤラセロ!!)
ついに俺は我慢しきれなくなった!
「駄目なんだよ!我慢できないんだ!」
がばっ!!
「な、なにをするつもりなんですか!?」
千鶴さんは驚いた顔をしている。
…何を驚く必要があるんだ?
俺は可笑しかった。生きている者なら必ずやることじゃないか。
…人間だって例外じゃない。
「そんなの見りゃわかるだろ?ここでするんだ…」
そう言って俺はベルトに手をかける…
「そ、そんなの駄目!やめてください、お願い!」
千鶴さんはイヤイヤと首を振った。
「無理だよ千鶴さん。ここまで来たらもう引けないんだ!」
俺はベルトのバックルを外し、ジーンズを下げた!
「いやあぁっ、そんなことやめてぇぇぇぇぇっ!!」
キモチイイ…。
心の中の俺がつぶやく…。
☆☆☆
ぶりぶりぶりぶり…
………。
ふきふき。
………。
………。
「…ふう、すっきりした。千鶴さん、終わったよ」
…妙にさっぱりした顔で告げる耕一。
「うう…こんなとこでこんなことするなんて…私悲しいですぅ…」
千鶴は羞恥に顔を赤く染めながら、泣いていた。
耕一は「うーん」とひとつ伸びをしてから、言った。
「いいじゃないか、我慢できなかったんだから。野グソくらい、大目に見てよ」
ちゃんちゃん♪
あとがき
作者:どうも、はじめまして。李俊です。
千鶴:アシスタントの柏木千鶴です。さて、この作品についてですが…。品がないですね。
作者:誉め言葉、どうも。
千鶴:(全然誉めてないんだけど…)
作者:さて…みなさんも小さい頃に、このような経験(の・ぐ・そ)をしませんでしたか?
千鶴:しないと思いますけど。
作者:…もしかして私だけですか?
千鶴:(うなずく)おそらくは。
作者:がーん。…ま、それはともかく、次回はもうちょっとまともなもの書きます。