リーフお約束劇場〜あの娘の憂鬱〜
WHITE ALBUM編
written by かとぱん
森川 由綺編
(なんでもない時の、何でもない会話。そんなことさえ自由に出来ない彼女。せめて、俺といるこのわずかな瞬間だけでも、それから解放してあげたい……)
「そういえば由綺の好きな食べ物って何なんだ?」
(くぅっ、この普通すぎる会話……、今をときめくアイドル森川由綺にこんな事を話す奴なんて全国至る所を探しても、俺含めて指の数より少ないだろうな……)
そんなことを思いながら冬弥は少しほくそ笑んでしまっていた。
そして、そんな下手をすれば答えてくれないような質問でさえも、由綺はきちんと答える。
「え? ……うーん、と、ね……肉まんかな?」
ぴくっ
「なにぃぃぃぃぃぃ!! 肉まん!?」
「きゃあっ!? な、何? 私、何か悪いこと言ったの?」
「肉まんといえば、沢渡真琴の好物として、すでに彼ら内部ではカウントされている!! 他のにしてくれ、他のに!!」
「……さわたりまこと? それに彼らって?」
「うむ、彼らとは、ディスプレイ……おっと、TVの前の諸君のことを指す!! そして、『沢渡真琴』は彼らにとって『森川由綺』や『緒方理奈』並にビッグネームなんだ!!」
「そんなに有名人なの? 私、聞いたこと無いけど……」
「まあ、細かいことは抜きにして……、他に何か無いの?」
「……うーん……えっと、おでん?」
ぴくっ
「なにぃぃぃぃぃぃ!! おでん!?」
「きゃあっ!? な、何? 私、また何か悪いこと言ったの?」
「おでんといえば、雛山理緒の昨日の残り物を詰め込んで持ってくるお弁当の中身として、すでに彼ら内部ではカウントされている!! 他のにしてくれ、他のに!!」
「……でも、PS版だけのイベントだし、雛山さんのお弁当の中身を覚えている人は、そんなにいないと思うけど」
「そ、そうかな……?」
「PS版では、最近出来たサイバースペースアトラクションで私たちデートしたじゃない」
「そ、そうだっけ?」
「えっ!? 忘れちゃったの?」
「あ……そういえば行ったような……」
「もぉ……、それじゃ、理奈ちゃんは今をときめくエクストリームチャンプ『来栖川綾香』がいる西音寺女子学院出身で、その人の一年後輩ということも、あのあたりの本屋さんの前でよくマナちゃんを見かけるってことも、一年中泳げる『アクアブルー』ははるかちゃんのお気に入りってことも忘れちゃってるの?」
「……い、いや……ちゃんと覚えてるよ……たぶん」
「こうなると弥生さんとか美咲さんとか探したくなっちゃうよね……でも見あたらないのは、背景人物のドットを打っている人が実は年上を単に受け付けないロリコン気質の人なのかな? 冬弥君、どう思う?」
「……き、きっとそうかな……ははっ……」
すでに、”何でもないとき”の”何でもない会話”ではない二人だった……。
緒方 理奈編
「おーい! 由綺〜!」
「あ、冬弥君。どうしたの?」
「うん……突然だけど、理奈ちゃんって怖くない?」
「え? どうして? そんなことないと思うけど」
「実はさ……、俺、この前、『エコーズ』でバイトしていたんだけど、英二さんと理奈ちゃん……そのときまでは英二さんの顔も知らなかったんだけど……」
「うん」
「兄妹喧嘩しているようだったんだ。そんな中、俺、注文取りに行ったんだよ。そのとき、英二さんがいきなり俺の身体をつかんだと思ったら……」
そのとき、冬弥を誰かが掴む。
「おっと」
ばきぃっ!!
「……あらっ……きゃあああっ!! 冬弥君!!」
「ふん……相変わらず良い拳だ。青年、また鼻を拭いた方がいいぞ」
「なんで冬弥君を盾にするのよ!! おかげでまた殴っちゃったじゃない!!」
「お前が手を出したのが直接の原因だろう?」
「くっ……貴方が手を出すようなことをしているから……、だいたいねー……」
「それはな……」
二人でわいわい騒ぎながらずんずんと立ち去っていく後ろ姿を見て、一陣の突風が何事もなく通過していったような、そんな雰囲気を由綺は味わっていた。
しかし、通過した傷跡はしっかりと残っていた。
「……いたい」
………
「あの……由綺?」
その言葉に、今まで椅子に座っていた由綺は慌てて、しゃきっ! と立ち上がる。
「は、はい!! なんでしょうか!! 理奈さん!!」
「あ、あの……だから、ね、その……、『理奈さん』は、やめて、ね……、お願いだから」
「あ、あわわっ……申し訳ありません! 理奈ちゃんさん!!」
「……」
由綺の中で自分の立場が明らかに変わった。理奈のそんな思いが、彼女の頬に涙を伝わらせたのだった……。
澤倉 美咲編
講義終了後、講義の内容について事細かに議論している、俺と彰。
「うーん、よく眠れたぁ」
「えっ!? 今の講義寝てたの?」
「ああ。寝ててもあまり気にしない先生だから」
「あーあ、今、テストに出る問題をちらっと言ってくれてたのに」
「なんだって!? 彰、どんな問題だった?! 正直に言えっ!!」
「うーん……、昼御飯でどう?」
「ぐ……」
「だってこの前、僕が頼み事をしたとき……あっ!」
話の途中でいきなり俺の後ろをじっと見つめだした。少し目が輝いている。こうなると彰の目線は一つしかない。
「美咲さーん、こっちこっち!!」
俺は後ろを見もしないで叫び、手を豪快にふって見せた。
「!? 冬弥、後ろ向きなのになんで解ったの??」
「知りたい? なら、さっきの昼飯代と交換だな!」
「えーっ……」
「ふふっ、藤井君、七瀬君、こんにちは」
「こんにちはーっ!!」
これ以上ないほどの元気な声で、満面の笑みを見せる彰。
「こんちは、美咲さん」
「冬弥、なんでそんなぶっきらぼうな言い方するんだよ?」
「そんなに適当に言ってないよ」
「いーや、言ってる!」
「まあまあ……」
これ以上ないタイミングで美咲さんが間に入ってくれた。こういうピリピリした場をあっさりと沈めてもらえるのも、美咲さんの人徳といえるだろう。
「あ……そうだ、一つ聞いていいかな?」
間にはいると同時に美咲さんから珍しく質問してきた。
「「?」」
あまりに突拍子のない出来事に二人して不思議顔をしてしまう。
「さっきの講義、いたでしょう? 私も聞いてたんだけど……」
「あ、うんうん」
彰はなんだかぽやぽやとしながら受け答えしている。しっかり話を聞いているのだろうか?
だがこれこそ天の助け!! テストのことは美咲さんに聞けば教えてもらえそうだ!!
「あ、そうだ! 美咲さん!! テストのことなんだけど……」
だけど、美咲さんは、うん、と頷くと自分の話を進めた。
「うん……そこで先生、『大仏のことはほっとけー』って言ってたでしょう?」
「……あぁ〜」
それこそあの講義地獄の必殺技、『駄洒落凍るど』だ。
最大、そして最高に寒い駄洒落を連発するのだが、単位取得は簡単かどうかはそのギャグが受けるかどうかによって決まるとも言われる。数年前の先輩方は呆気にとられてしまった挙げ句、思わずブーイングをしてしまい、単位を落とす人が続出し、学校内で問題になったということがまことしやかに流れている。
「あれでみんな少し笑ったじゃない?」
「うんうん」
……それは単位を掛けているからだな
と思ったけど口には出さない。彰、お前本当に聞いてる?
「あれ、どうして笑うのかな?」
「「……は?」」
俺達も思わず間抜けな声を出してしまった。
「だ、だからさ、美咲さん、それは駄洒落でさ、大仏様は仏様じゃない? つまり「ほとけのことはほっとけー」って言葉でひっかけているんだ」
一生懸命説明している彰。でも、そこまで言わなくても美咲さんには……
「……ごめん、意味が全く解らないんだけど……ほとけのことはほっとけー、でどうして面白いの?」
通じない!? わわっ……美咲さん、マジだ!! ……よし、ここは俺の技で美咲さんを笑わせる!!
「それじゃ美咲さん……ええっと……『俺、鍋奉行はできないけど、アクだけ取る”アク代官”は大好きなんだ〜。あ〜れ〜ご無体な〜!』」
「? ええっと……アクだけ取る人は悪代官っていうの?」
うわっ……、結構自信あったのに通じない!!
「冬弥……、つまんない」
お前に言われたくない。
「うーん、それじゃ……『土管が爆発!! どかーーーーん!!』」
「? 土管の中に時限爆弾でもあったの?」
ぐぅっ、俺がこれを聞いたときは大爆笑だったぞ!?
ちなみに姉妹品として、「母艦が爆発!! ぼかーーーーん!!」「ズボンが爆発!! ずぼーーーーん!!」などが取りそろえてあった。俺なんかそれぞれに爆笑していたというのに……。
「冬弥……それ僕に言ったよ?」
お前だって笑ってたろう!!
「ええっと……よしこれだ!! 少し下品だけど……」
これに俺の洒落能力の全てをかける!!
「『”じがじさん(自画自賛)”していた俺の健康。でも今の俺は”ぢがひさん(痔が悲惨)”!!」
「え……?」
美咲さんは驚いた顔をすると、がばっと立ち上がり、俺の手を握ったとおもうと、一生懸命引っ張ろうとしている。
「? み、美咲さん?」
「藤井君!! 病院行こう!! 早期治療に越したことはないわ!!」
「え、ええええっ!? ちょ、ちょっと、今のは洒落で……」
「洒落ですむ病気じゃないの!! 恥ずかしいなら私も一緒に行ってあげるから!!」
う、うわあああああっ!!
そして、その日のうちに、俺が痔であるというデマが広がってしまった。
河島はるか編
「お〜い……はるか」
「あ、冬弥……どうしたの? 顔色悪いよ?」
「あ……いや……ちょっと先週、な……」
「ん」
「……なんでもない」
「痔は大丈夫?」
「……だからそれは違うって……はるか、お前も……」
「あはは、問題ないよ」
「……?」
「もともと、ギャグセンスがない上に、変な人って知ってたから」
「……(お前だって充分変の上にブラコンなのにさ……)」
「冬弥……いくら私でも怒るよ?」
「う……な、何で俺が怒られにゃいかんのだ?」
「ん……なんとなく、そんなことを考えていそうだったから」
「……」
「何も考えないのもよくないんじゃない?」
「……お前、何か俺に仕掛けてるんじゃないのか?」
「ほら」
「手を広げて……ってお前、ホントになんか仕掛けてるのか!? ……何もないじゃないか?」
「”嘘”のこと」
「……ああ、なるほどな。”ほら”って大ボラふきとかの”ほら”か……」
「ん」
「お前なぁ、もう少し解りやすいように言えよ」
「それじゃ……英語にしようか?」
「余計に解りにくいっ!! だいたい、お前だって英語は俺とドングリの背比べのくせにまともな会話できるのかっ!?」
「あはは」
「笑うなっ!!」
「………」
「……すまん、俺が悪かった。いきなりシリアスな顔にならないでくれ」
「ん」
「……ところで、なんでママチャリなんだ? シルバーアローはどうした?」
「今うちにないんだ、持ってかれてる」
「誰に?」
「名前知らない」
「ぶっ!?」
「冬弥、きたない」
「けほっ、けほっ……い、いつから持ってかれているんだそれ!?」
「うーーん、1週間くらいになるかな……」
「……」
「……」
「たぶん帰ってこないぞ、それ……」
「ん?」
「……まあ、帰ってこなくてもいいけど。俺のじゃないし」
「良くないよ」
「それじゃお前、なんでそんなに落ち着いてるんだ??」
「ん?」
「くっ……とりあえず警察に行ってだな……」
「どうして?」
「お、お前、シルバーアローを見ず知らずの奴に盗まれて平気なのか?!」
「あ、そうか」
「なんだよ?!」
「ブレーキが故障ちゃったから、買ったところの自転車屋さんに、修理を依頼してるの」
「最初から言えええええええっ!!」
「名前知らないのは本当だよ」
「……!!」
………
「ところで冬弥」
「……今度はなんだよ?」
「何か用なの?」
「?」
「最初に私を呼んだ」
「あ……」
「忘れてた?」
「……」
冬弥とはるか。本題に入るまでの時間、約10分。
観月マナ編
蛍ヶ崎学園高校には一つの伝説があります……。
裏庭にある一本の古木。
――その下で、卒業式の日に女の子から告白したカップルは永遠に幸せになれる――
えいえんはあるよ。ここにあるよ。
「やめなさいよそれ。洒落にならないわよ?」
……はい……↓からです(爆
「あーーーはっはっはっは!! バッカじゃないの!? そんなんで男女が幸せになれるなんて、めっちゃくちゃおっかしーっ!! どこからそんなこと聞いてきたのよ、イヅミ!!」
卒業式前日、予行練習を行うべく集合した教室内で、いつもの3人組は明日別れるということを思わせないような相変わらずのトーンで会話していた。
「マ、マナってば……、そんなに大声で笑っちゃって……でも、夢あるじゃない」
「えーっ? 夢も何もあったもんじゃないわよ。それで永遠の幸せなんてつまらないと思わない? 18の身空で人生の相手決めちゃうの? 私のような美人がそんなことをしてしまっては、世界に名だたる美男子達が可哀想すぎるわぁ〜〜」
「の、ノブちゃんまで……」
なんだか泣きそうな顔をしているイヅミに対して、馬鹿にしたような顔でノブコを見るマナ。
「あんたが美人〜〜? その顔で美人なら、私なんているだけで男共をひれ伏すことが出来るわよ」
「ふん、あたしには顔だけじゃなくてこのナイスバディがあるわっ!! そ・れ・に・く・ら・べ・て、あんたみたいなおこちゃま体型のどこに男をひれ伏すだけの魅力があるのかしら〜」
「何よっ!!」
「あんたこそっ!!」
バチバチと毎度のことのように火花を散らすマナとノブコ。
「まあまあ……」
そして火花を初期消火で消すイヅミ。
(ここで作者の立場上、声を大にして言いたい。初期消火はとても大切だ!!! 以上(ぉ
「でも、ひれ伏す、で思い出したけど、男をひれ伏させるのはマナの得意技だもんね」
「あ、そーそー、家庭教師来たとき、臑(すね)蹴っとばして、その場に跪かせた〜、ってね」
あっという間に顔が真っ赤になるマナ。
「だ、だって大人の私を子供扱いしたあっちが悪いのよ!!」
すると、ノブコは「にやー」と嫌な笑いを作ると、とんでもないことを言い出す。
「ね、その家庭教師好きでしょ?」
「ねー、そう思うよねー」
「なっ……、何を言い出すの!?」
あまりに突然なネタ振りにあわてふためくマナ。
「だってさー、臑蹴り以来毎週のように金曜日を気にし始めたじゃない」
「そうそう、『あー、あと何日であいつ来るー』なんて月曜日から連呼してるもんね」
「だ、だって……」
「この前なんて、くくっ……、マナ授業さぼって金曜日補習受けさせられたとき、先生がトイレ行ってる間に抜け出そうとして、扉開けて猛ダッシュ!! そしたらトイレのところで先生と正面衝突!! 先生吹っ飛ばした挙げ句さらに逃亡!! あれには笑わせていただきましたっ!」
「あっはは! そうか〜、彼にそんなに会いたかったのね、うんうん、わかるよー」
「あ、あれは補習があまりにくだらないから……」
「そのわりには、月曜の説教の後の補習は積極的に受けていたようですけどー」
「りゅ、留年かもしれないじゃない!!」
「ここまできたら留年も何もあったもんじゃないでしょ、ふつーさ」
「そーそー、マナってばさ、この前何を思ったか懐中時計持ってきたでしょ? そのとき、先生に見つかって臑蹴り入れたときは心の底から尊敬したわ〜。それ、家庭教師の男からの贈り物だったんだって〜」
「ええっ!? そうなの!?」
「好きなんでしょ? 伝説、信じてみたら? なーんてね……って、ちょ、ちょっと? マナ??」
「……」
「ノブちゃん……、マナ、目が本気だわ……」
そしてイヅミとノブコで目配せを送りあい、にやりと笑いあった。
………
そして……それから、卒業式。
彼ら二人は伝説の木の下へ……。
「マナちゃん……引っ越し前に話したい事って……なに?」
「うん……あのね」
「そういえばさ、この木の伝説知ってる?」
「!?」
「卒業式の日、この下で女の子から告白したカップルは、永遠に幸せになれる……、って言っておいて」
「??」
「毎年、いかにも引っかかりそうな女の子をチョイスしてみんなが隠れてみている、っていう伝説。みんな知ってるから全然引っかからないんだけど……」
「えええええええええええええええええええええええええええっ!?」
「え?! ま、まさか……」
「それ以上言うなぁっ!!」
げしいいいいいいいいっ!!
「ぐわっ!?」
「となると……イヅミ、ノブコ!! そこねっ!!」
するとマナはいかにも隠れやすい茂みにマシンガンのように下に落ちている石を投げ込むと、茂みの中からごちごちと確かに人に当たっているような音が聞こえてきた。
「……いたっ!!」「……きゃあっ!!」「見つかっちゃった!! 逃げよっ!!」「ま、まってよ、ノブちゃん〜!!」
「待て、このぉっ!!」
「いたた………俺って……一体……?」
蛍ヶ崎学園高校に一つの伝説ができました……。
裏庭にある一本の古木。
――その下で、卒業式の日に女の子が相手に臑蹴りしたカップルは永遠に幸せに……なれる?
「そんな訳ないでしょっ!!」
篠塚弥生編
「由綺さん、そろそろスタジオ入りの時間です。準備はよろしいですか?」
「はい、弥生さん」
「それでは、頑張ってきて下さい」
「はい!!」
元気良く返事をして控え室から出ていく由綺を見送り、扉をかちゃりと閉める。
しかし、突然、にやり、と笑いを浮かべた。
「………ふふふ」
?
「……この服……」
??
「ワンポイントしかないセーター……、飾りっ気がない、なんでもないスカート……」
???
「でも……由綺さんが着たところを想像するだけで……いいわぁ……」
…………(汗)
「!?」
弥生は慌てて後ろを振り向くが、誰もいない。
「……確かに視線が……? 気のせい……?」
………。
「ふぅ……」
じぃっ、とその服を見つめること約1分、弥生は自分の思ったとおりの行動を始めた。
がさがさ……
「……やはり身長15cm差はかなり……セーターは伸びるけれど」
ごそごそ……
「少しきついかしら? ……4cm差もあるし」
ばさっ、とセーターの中に入った髪を取り出すと、鏡の前に立ってみた。
セーターは身体を全部覆うことは出来ず、へそが見えているし、由綺にとって普通のスカートも足が長いせいかミニに感じる。
しかし……、弥生にとって、ファッションなどどうでもよかったのだ。本来の目的は違うところにあったのだから。
「ふふ……由綺さんのぬくもりが感じられるわ……」
……(汗)
ばたん!!
「弥生さん!! 私の鞄の中に……あれ?」
「え?! 由綺さん?!」
「それ……私の服……?」
「え、あの……これは、ですね……」
「可愛い……」
「え?」
「格好いい女性は何着ても似合うと思ったけど……私が着ているような平凡な服でもそこまで魅せられるなんて……、すごいです!!」
「え、あ、その……」
すでに楽屋に戻ってきた意味も忘れて、弥生の可愛さを誉めまくる、どこかずれてる由綺と、見つかってしまったショックで冷静さを失い、嫌いなはずの「感情」をまるだしにしている弥生だった……。
※このリーフお約束劇場は、りりーふ・えーす掲示板にて掲載された、かとぱんさんの書き込みを編集した物です。